Track 3

2-1 『疲れたらちゃんと休まなきゃダメ!』

 おっかえりー♪  おっつかれー♪  さーさー♪ いつものハグしよっか♪ お姉ちゃんのおっぱいの中に飛び込んでおいでー♪  はい、ぎゅーーーーーーーーーーーー……っと♪  ふふっ。おかえりなさーい♪  それにしても、毎日毎日遅いねえ。今日は多分、終電ギリギリだよね?  ご飯は、お外で食べてきたんだよね? うん。電話してくれてありがとー。  そんじゃ、このままお風呂入って寝よっか? 明日も早いだろうし、ぐっすり寝ないとねー。  ……ん? なぁに?  ……これから、家でお仕事しなきゃいけないの?  どーして!?  ……会社で仕事が終わらなかったから……?  …………。  だーめーでーすー。  お姉ちゃん、キミのこと離さないから。  今日はこのまま、お姉ちゃんと一緒に寝るよ! いいね!  いーえー。反論なんて聞きませんー。  家でまでお仕事なんてしたら、もう、お仕事しかすることなくなっちゃうぞー!  ……別にさ? 毎日定時に帰ってきて、それで、何か月かに一回、どうしても終わらない仕事がある、っていうなら、まだギリギリ分かるけど……  毎日夜遅くに帰ってきて、それなのに家でも仕事しなくちゃいけないなんて……  そんなの、めっ、だよ!  というわけで、お仕事なんて放り投げて、このままお姉ちゃんと寝落ちしよう!  今日は、キミが寝るまで、お姉ちゃん、離さないからね!  まったく……。  キミを、三食しっかり食べさせることには成功したけど……今度は、しっかり睡眠をとる習慣をつけさせないと、いけないみたいだね……。  ほら、ベッド行くよ、ベッド! ついてきなさーい!  それで、服、着替える! スーツのままだと疲れちゃうからね! キミはいつもジャージで寝るんだっけ? じゃ、それをさっさと着る!  それから……  ベッドに、どーんっ、だー!  はいっ。今日はこのまま、キミがちゃんと眠るまで、お姉ちゃんがずーっと添い寝するからねー。しっかり見張るから、逃げようとしたって無駄なんだから。  えー? 歯磨き? まー、別に、一日くらい磨かなくたって死なないでしょ。  とにかく今日は寝ること! いい?  んもー。そんな顔しないのー。  本当に、キミは、自分のことに無頓着すぎ。  しっかり食べて、しっかり眠って、ストレスを溜めないのが、健康のためには一番でしょー?  生活するためにお仕事をしてるはずなのに、仕事のために生活を放り出すなんて、本当におかしなことだからね?  休むことは、生きていくために必要なことなんだよー?  それなのにキミは、お仕事を家にまで持ち帰ってきて……  あー、もう、なんかイライラしてきたー!  お姉ちゃん、結構怒ってるんだからなー!  このっ、このっ。キミなんか、お姉ちゃんの胸の中で、ぐっすり安らかに夢も見ずに八時間熟睡してしまえー!  はぁ……。まったくもう。  ……本当に、キミは、真面目だねー。  でも、真面目すぎるっていうのも、不健康のもとだからね。  お仕事なんて、てきとーにやって、てきとーに帰ってくればそれでいーの。真剣にやるのは趣味だけでいーの。  それにさ。キミ一人でお仕事を抱えすぎると、周りの人は、キミが「お仕事を大量に振っても大丈夫なヤツ」だって思いこんじゃうよ? そうなると、どんどんお仕事が増えて行って、いつか潰れることになっちゃうよ?  だから、自分の限界の六割くらいで、もう無理ですって悲鳴をあげて、周りの同僚とかに押し付けるくらいでちょーどいいの。  キミは少し、賢くサボるってことを、覚えたほうがいいよ。  ……うん。そーだね。そーいうわけだから、その第一歩を踏み出すことにしよっか。  明日、ズル休みしようぜー! 会社サボって、お姉ちゃんと一日ゲームしよっか♪  うんうん。決まり♪  うーるさーい。お姉ちゃんが決めたので、もう覆りませーん。  えー? 会社には、なんか適当に、「仕事で根を詰め過ぎて熱出て風邪引きましたー」って言っときゃいいでしょ。  どーせ、有給なんて腐るほど余ってるんじゃない?  大丈夫、ちゃーんとお姉ちゃんが電話してあげるから♪ 会社の人もさすがに、お姉ちゃん相手には文句言いづらいでしょ。  ふふっ。キミが出てこられなくなった、ってなったら、キミの仕事は別の人がやってくれるでしょ。  いいことづくめだねー! じゃあ、そーいうわけで!  ね?  うんうん。素直でよろしい。  それじゃ……今日は、明日の心配なんてなーんにもせずに、ぐっすり眠れるね。  ……うん。ふふっ。よかった。  ……あのね。お姉ちゃんは、本当に、キミが心配なんだよ。  キミに……毎日、幸せでいて欲しいの。  それだけなんだ。  ……うん。ちょっと、熱くなっちゃってゴメンね。  ううん。いいの。  もう眠い? ふふっ。少し話し込みすぎちゃったね。すぐに寝かせるって言ったのにね。  うん。おやすみなさい。  …………。  ……もう寝ちゃった?  ……ふふっ。可愛い寝顔……♪  ……ちゅっ。  ……おやすみなさい♪