おまけ
外はともかく、中はいい雰囲気です。静かで、ほどよい暗さで……
……あ。ええと、注文、ですか。
ご主人は、いつも、何を……?
……パンに、お魚に、スープ、ですか。
では、それと同じでお願いします。はい。
…………。
……とってもいい匂いがします。
さっきまでは、そうでもなかったのに……急にお腹が空いてきました。
早く、食べたいです……。
* * *
きましたっ。
美味しそうです……。
ご主人……よろしい、ですか?
では……失礼して……
……はむっ。もぐ……もぐ、もぐ……ごくっ。
はむっ、はむはむっ、もぐっ、ぱくぱく、ごく……っ。
はぁ……
んん~~っ♪
とっても、美味しいです、ご主人……っ♪
パンは、カリカリで、ほんのり甘くて……
お魚も、味がよく染み込んでて、柔らかくて……
それに……
……ずずーっ。
スープも、温かくて、いい塩加減で……
美味しい、です……っ。
これが、ご主人のお好きな味、なんですね……っ。
お好きなのも、納得の味、です……っ。
もぐ……もぐ。もぐ……もぐ。……ごくん。
美味しい、です。とっても……。
もぐっ。はむ、はむ……はむはむ、もぐ、もぐ、ごくんっ。
はー♪ 幸せ、って感じがします。
ご飯が美味しいって、とっても、素敵なことですね……。
……ご主人? どうかしたのですか。私をじっと見て……
……和む、ですか? ……何に、ですか?
よく分かりませんが……ご主人がよいのなら、それで。
でも、早くしないと、せっかくの料理が冷めてしまいますよ?
あーーん……っ。
ぱくっ、ぱくぱく、もぐ、もぐ……はむっ、はむっ。
このパン、噛めば噛むほど、甘みが出てきて……
一緒に、お魚を食べると……とってもよく合って……っ。
もぐっ、はむっ、はむっ、ぱくぱくっ、はむっ、はむ……っ。
ごく……っ。
んー♪ ほっぺたが、とろけてしまいそうです……♪
手が止まりません……♪
ずずーっ。ずっ、ずずずーっ。
スープの中の、レンズ豆……まろやかで、美味しい……♪
優しい味が、体に染みわたります……♪
ずっ、ずずずー……っ。
は、ぁ……。
美味しすぎて……あっという間に、なくなりそうです……。
……ご主人? これは?
パン、いただける、のですか?
でも……ご主人も、お腹は空いているのに、悪いです……。
……じゅるっ。
はっ。す、すみません。意地汚いところを……
……はい。ありがたく、いただきます……。
もぐっ、はむはむっ、ごくっ、ぱくぱくっ、もぐ、もぐ、ぱくっ。
はむっ、はむ、はむ、はむ……っ、ごくっ、ごくっ。
ずずっ、ずずーっ。
……こくっ。
……は、ぁ……。
いただき、ましたぁ……。
とっても、美味しかったです。ご主人……。
……あの? ご主人、まだ、半分しか食べていないようですけど……
……ずっと私を見てたんですか?
……私、そんなに、はしたない食べ方だったでしょうか……すみません。
え? そうではなく?
……“可愛い”? えっと……私はただ、ご飯を食べているだけ、だったのですが……
……あの。そう言われると、急に恥ずかしくなってきました。
あまり、見ないでください……。
えっ? お、お代わり、ですかっ?
い、いえ……あんまり、食べすぎるのも……ご主人に悪いですし……
……あ、あ、あの……っ。
ご主人、勝手に頼んでしまいました……。
た、確かに……もう少し、入りそうな気は、少しだけ、してましたけど……。
でも……うう……。
わかりましたよぉっ。
じゃあ、お望み通り、いっぱい食べますから……っ。
好きなだけ見ててくださいっ、ご主人っ。