Track 3
■03
うーん……果たして、昨夜のことは夢だったのか、それとも現実だったのか。
いつの間にかベッドで寝てた、なんてのはよくあることだし……あの子とキスする夢とか、普通に見るし。
今朝もいつも通り、慌ただしくてロクに話す時間はなかったけど、態度はいつもと変わらなかった気はする……でも、だとすると、あの子は近いうちに家を出てっちゃうワケで……うん。
もういいや。
このまま出て行かせたくないんだから、あたしから……ごくん!
いいわよ、やってやろうじゃないのよ。
こうなったら、力業で一人暮らしを阻止してやるんだからっ……
ただいまー!
ふ~~っ……ビ、ビールビールっと……え、何よ?
今更あたしの下着姿くらいでビビってるわけ?
胸?
だから、お風呂上がりにブラなんて着けてたことないでしょ……でしょ?
ん、んぐっんぐっ……っぷはぁ~!
ふーっ、やっぱビールがないと始まらないわよね~、ふ~……ね、ねぇ、夕飯は?
うん、あっためて?
ありがと……えと、それで、その、あの。
あっ、ちょっと!
あっためたらあたしのトコまで運んでくるのがあんたの仕事でしょ?
あたしの食事を用意するのが、あんたの役目なんだから……そうそう、言うこと聞きなさい。
ふ~~……あ、ありがと。
え、風邪ひくって?
あぁ、大丈夫よ。
まだあったかいから……それに、ほら。
あ、あんただって、この方が嬉しいでしょ?
だって、チラチラ見てるし?
今までだってしっかり見てきたじゃない。
だから別に……遠慮することないのよ?
見られて減るもんじゃなし。
はぁ?
恥じらいねぇ。
生まれてこの方一緒にいる相手に対して~?
ね、ねぇ?
昨日のことなんだけど……知らないって何よ!
お、覚えてなくないでしょ?
はっはーん……やっぱり、しちゃったんだ。
夢じゃなかったのね?
姉ちゃんとのチュー♪
こら、逃げるんじゃないの!
したんでしょ、チュー。
気持ち良かったでしょ?
嬉しかったでしょ?
だったら、今日もしてあげるから……ほら、こっちおいで?
したくないの?
ふふっ、したいわよね?
だってあんた、姉ちゃんのこと大好きだもんね……いやだから、どうしてそれで家を出て行かなくちゃいけないのよ!
いいじゃない好きで。
何が駄目なの?
あーハイハイ、姉弟だからね。
定番定番っ……その答え、何も面白くない。
そうよ、面白いか面白くないかでいいの!
……と言うか、好きか嫌いかで、いいの……好き、なんでしょ?
はっきり言いなさい!
姉ちゃんのこと好きなの?
嫌いなの!?
……どういう風に好き?
姉ちゃんじゃなくて、女として好きなの?
だから、裸が気になるし、下着が気になるのね。
おいで?
……はい、いい子いい子♪
だったら、やっぱり出ていかなくてもいいじゃない。
今、好きな人と一緒に暮らせてるのに、なんで一人にならないといけないの?
ねぇ。
駄目なコトって何?
ふぅん?
何で、それが駄目なの?
好きな人相手にだったら、そういうコトしたくなるの、当たり前じゃないの?
だからぁ……姉弟でも!
駄目じゃないの!
か、片思いの相手なら無茶なコトしちゃ駄目だけど、あたしたちは……その。
そ、相思相愛、だし?
知らなくないの!
今言ったでしょ?
き、昨日も言った気がするし……でしょ?
もう四年も同棲してるんだから、姉と弟って言うか、女と男って感じだし……きっと、周りからもそう見られて……見られてるの!
できるエリート会社員の年上彼女と、ヒモ大学生っ。
これまではヒモみたいなもんだったじゃない。
じゃ、じゃあツバメ?
若いツバメ……え、知らない。
熟女なマダムが飼ってる若い男の子のことをツバメって言うんじゃ?
あはは……。
と、とにかく……あんたは出ていかずに、ずっとここで姉ちゃんと一緒に暮らすの。
その方が、両親だって安心……お、おかしな心配なんてしないでしょ!
だってそれは……ごくんっ。
あたしたちだけの、秘密にしておけばいいんだし……だ、だから……姉ちゃんも、あんたのこと、好きだって言う……だっ、だから何度も言わせないの!
駄目じゃないんだってば!
だから……して、いいんだってば……我慢するのが辛かったんでしょ?
だから、もう我慢しなくていいから。
姉ちゃんがしてあげるから……え!?
や、やり方くらい知ってるわよ!
いいわ、証明してあげる。
その代わり、証明できたら、あんたはここに残るんだからね?
よし……それじゃ脱いで?
ズボン……パ、パンツも!
ふふふ……気持ち良くしてあげる♪