01
(SE:雨の音)
(SE:木戸を叩く音/正位置)
(SE:木戸が開く音)
【妹】
(左・通常)
おや。
これはこれは、旅のお方。
こんな雨の山の中、尼寺に何用(なによう)でございましょう?
まあ。
旅の途中に、この雨でお困りなのですね。
しかし、どうしましょう。
ここは尼寺。
男性は入れぬ場所ゆえ・・・。
【姉】
(右・通常)
まぁ、まぁ、妹よ。
よいではないですか。
もうじき日も暮れます。
この雨の中、山道を歩くのは危のうございましょう。
もし。
旅のお方。
ここは尼寺ですので何のお構いもできませぬが、良ければ今夜は泊まって行って下さいまし。
【妹】
(左・通常)
そうですね。
姉様(あねさま)がそう仰るなら・・・。
旅のお方、どうぞお入り下さいませ。
(SE:引き戸が閉まる音)
(SE:雨の音フェードアウト)
【妹】
(左・通常)
姉様。
男ですわ。
【姉】
(右・通常)
ええ、妹よ。
分かっているわ。
【妹】
(左・通常)
うふふ。
あの男、私達が狐の妖怪だとは思ってもいないでしょうね。
【姉】
(右・通常)
そうね。
この尼寺にいた尼僧たちは私達がみ~んな食べてしまったから、もう誰も私達の正体を知る者はいないわ。
【妹】
(左・通常)
今夜はあの男の精をたっぷり頂きましょう?
【姉】
(右・通常)
ええ、妹よ。
ひからびるまで頂きましょうね。
【妹】
(左・通常)
そうしましょう。
【姉】
(右・通常)
ああ・・・。
楽しみ。