2人の約束(バイノーラル)
《――さらぁ……しゅる》
……いっぱい、しちゃったわね♪
もう汗でベトベト……買ったばっかりなのに、こんなにどろどろにしてくれちゃって♪
それに、あんなに激しく私を求めて……えっち♪
ふふ……なんて、ね♪ いつも優しいけど、あなたのたまーに……強引になる所、私嫌いじゃないわ♪
でも、昼間は本当に吃驚したのよ?
急に……あんな、髪飾りなんて買ってくれたから……あはは、感極まるってあぁいう事言うのかしら?
……勝手に涙が出てきて、貴方も驚いたかもしれないけど……私自身も驚いてたのよ?
勿論気に入ってなかったとか、そんなんじゃないからね!?
むしろ……うん、あの時言った通り、すごく嬉しくて……とっても気に入ってるわ。
……ありがと、ね♪
あー、そうだ! あのピンク色の貝と、青い球が取れる場所ってここからちょっと南に行った場所らしいわよね?
……ねぇ、もうちょっとこの街で腕を磨いたら……ちょっとそっちに遠征してみましょっか?
お金に余裕があるなら、旅行として行くのもいいかもしれないわね……♪
水着とか買って、一緒に1日海で遊んだり……観光地もあるらしいから、そっちに遊びに行くのもいいわよね♪
向こうでなら、もっとあぁいうアクセサリーも安いかもしれないし……ふふ、見かけたらまた貴方におねだりしちゃおうかしら? なんちゃって……ね♪
でも、考えてたらすごく楽しそう……何時か、絶対一緒に行きましょうね?
《――もぞもぞ……きゅっ》
すぅー……ねぇ、貴方?
私ね……貴方と会えて、本当に良かった。
貴方に会うまで、ずっと一人で……しがみ付いて、必死にただただ生きていれば大丈夫って。
何時か、きっとどうにかなるんだ、なんて現実を見ないようにして……自分を騙して、歯を食いしばる事だけを必死になって……生きてた。
まぁ……今だって、別に冒険者として大成した訳じゃないし……言う程、生活レベル自体は楽になった訳じゃないけどさ。
でも……貴方と出会えて、貴方に手を引いて貰って……貴方と苦労を分かち合って、貴方の……ううん。
私達の、この大変でも頑張れる。 日溜りみたいな暖かい日々を過ごせるようになって。
私ね……本当に、本当に……今、とても幸せよ! 全部……貴方のお陰♪
この先、成功するか失敗するか……どうなるかなんて分からないけれど。
……貴方と一緒なら、どんな結果でも後悔しないって決めたわ。
それで……ね? 貴方に、どうしてもお願いしたい事が一つあるの。
いつか……さっき話してた旅行とか、それよりももっと、ずっと先でいいのだけれど!
冒険者として、胸を張れるようになったらね……?
……私の故郷に一度、一緒に来てくれないかしら?
……うん、飛び出して出て行きたきりの私の村の事。
立派になったぞって胸を張れるようになったら、少しは……ちゃんと、お父さんやお母さん、お姉ちゃんの顔を見れるようになると思うし。
何より……あの子の、……幼馴染の事も伝えなきゃいけないから。
伝えるだけなら、本当はすぐに帰るべきだとは思うんだけど……正直ね、すごく……すごく、怖い。
自分のしてた事を知られるのかもしれないとか、あの子を見捨てたって言われるんじゃないかとか考えると。
すごく不安で、恐くて……あはは、意気地なしでしょ……私!
貴方と、もう少し……もうちょっと一緒に頑張れれば、帰る勇気が持てると思うの。
その時……一緒に、来て……くれる?
……いい、の?
あはっ、……うんっ、うんっ……ありがとうっ♪
ぐす……ふふ、やだ……また泣いちゃった……、もうっ! 今日は泣いてばっかり……ふふふ♪
……ありがとう、……本当に、本当に大好きな……私の、貴方♪
これまでも……これから先も……誰よりも、何よりもっ! 世界で一番、愛してるわっ♪ ちゅっ……♪