●パート1
こんばんは、風鈴館へようこそ……あっ……。
ふふっ。
また、風鈴館に来てくれたんですね。私のこと、サーシャを覚えてますか?
ありがとうございます。
では……こちらに記帳をお願いします。
……。
あ、あのっ……お久しぶりです。
……。
え? そんなに見つめてどうしたのかって……な、なんでもない……わけじゃない、です、よ?
ふふっ……そうですね……。実はこのところ、毎日受付で暇してたんです。
外は相変わらずの雪で……あなたが帰ってから、ずっと吹雪だったんですよ。
だから、ここに来てくれたのは、“あなただけ”なんです。
今日もお客さんは来ないし……そろそろ閉めようと思っていたところだったんです。
それに年末なので、風鈴館にいる他の女の子も実家に帰省してたりして……少し寂しかったです。
長話しちゃいましたね……はい、これで大丈夫。ありがとうございます。
こちらへどうぞ。
靴……、お預かりしますね。
それでは、お部屋に案内しますね。
あっ、そうだ。今日はもう閉めてしまうので、少し待っていてください。
それにしても、こんな雪の日なのによく来れますね。
結構大変だと思うんですけど……あ、もしかして……また、私に、会いたかった? とか?
……いいえ、なんでもないんです。
他の女の子の方が、よかったですよね。
え、また会えるんじゃないかと思って、来てくれたの?
ほ、本当に? そ、そっか……。
……。
案内するから、ついてきてください。
手……握ってあげる。外、寒かったでしょ……。
こうしたほうが、もっとあったかいよ。
……。
年越し前で、いろんな荷物が廊下に置いてあります。足とか引っかからないように、気を付けてくださいね。
あっ……そこにも荷物があるので、私の方に少し寄ってください。
……んっ……。
……いえ、あなたの息が首筋にあたって……ちょっとくすぐったかったです。
で、でも……くっついてないと危ないので、注意しながら進んでくださいね。
私が、ちゃんと案内しますから……。
はい、到着です。
……。
少し背が高いですね……。そこのベッドに座ってください。
……また、あなたが来てくれるの、ずっと待ってました。
ぎゅっと抱きしめてくれる……やっぱりあなたは“優しい人”ですね。
待っていた甲斐……ありました。
ふふっ……私、あなたと出逢って変わったことがあるんです。
……ちょっとだけ……わがままになっちゃいました。
責任、とってくださいね……。
ちゅっ。