キスくらいは大丈夫?
;夜、リビングにて
「あ、おかえりなさい。今日もお疲れ様だね……うん、今は夕ご飯の準備中。とは言っても、今日も私と君2人分だけだけどねぇ」
「うん、さっき連絡があったのよ。今日も忙しくてお泊まりですって。新しい機材が入って、その確認ですって……まったく、お嫁さんと弟を放っておいてお仕事なんてひどい話よねぇ?」
「……ふふ、冗談よ、冗談。だから笑うかちゃんと突っ込んで欲しいな。そうじゃないと……ちょっと恥ずかしいしね」
「それとも、やっぱりまだ私とは打ち解けてくれないのかな……お姉さん、寂しいなー」
「ふふ、赤くなって可愛いなぁ……ごめんごめん、でも本当にそう思うわよ? 私、弟や妹も居なかったから君みたいな可愛い弟が出来たのが結婚で一番嬉しかった事だしね」
「んー……まぁね。あの人とは好き合って結婚した訳だけど、昔から忙しい人だったから。今日みたいに忙しいと会えない時って結構あったからねぇ……長いときは半年くらい直接会えなかったのよ? さすがにね、その時はちょーーーっとだけ、別の人と一緒になろうかとも思ったわよ」
「ふふ、意外だった? まぁ、私だって女だしね。君も子供じゃないし、これくらいのぶっちゃけトークをした方が仲良くなれるのかな、って思ってね」
「うーん、あの人の事を嫌いになった、っていうのは無いわよ? そりゃ、ケンカは何度もしたけどね。でも、その度にちゃんと仲直りもしてきたし、忙しくて会えない時期がある、って事以外はそんなに問題ないわよ、ふふ」
「君も彼女とはできるだけ会ってあげないと駄目だよ? そりゃ、ちょっと面倒くさいな-、とか疲れてるのになー、って思うのも判るけどそういう時にあってくれるからこそ、ああ、私はこの人にとって特別な人間なんだな、って実感できるんだから」
「少なくともうちの人みたいに『いやー、仕事忙しくて今日も帰れないや、あはははは』なーんて、嬉しそうに言ったら怒られちゃうんだからね? ……うん、そう。簡単に想像出来るでしょ? あの人、新しい物好きだし、仕事も好きなことを仕事にしちゃった物だからいつまでも没頭出来ちゃうタイプだしね」
「というわけで、ちゃんと彼女とは……え、え? あ、あれ……彼女、居ないの? え、えーと……でも、ほら、いつも帰ってくるの結構遅いし、女友達は……あ、えーと……そ、そうなんだ……」
「あわわわわ、ご、ごめんね? 私、てっきりそういう子が居るのかと思ってたわ……うう、そうよね、なんでそんな勘違いしちゃったんだろう……本当、ごめんね?」
「……でも、どうして彼女作らないの? 君、ちゃんとお話いろいろできるし、別に不潔って事も無いんだからちょっと頑張れば……あははは、そっか。そうだね、確かにそのちょっと頑張る、が大変かもね」
「それに? ……あら、そうなの……女の子と会うと緊張しちゃうんだ……ふふ、本当に可愛いなぁ……でも、そっかぁ……ううん、違うの。ほら、私と話す時もちょっと距離……というか、壁があるなー、ってずっと思ってたんだけどそれが私だけじゃ無くて、女の人だから、っていうなら納得かな」
「あははは、ちょっとは気にしてたのよ? ほら、結婚する前にも君とは何度か会ったけど、そんなに頻繁じゃなかったし。いきなり私がお嫁さんだ、って来たのが嫌なのかなって……さっきも言ったけど、私一人っ子だったから新しい家族があの人以外に増えるの、本当に嬉しかったから余計にね」
「でも、そっかぁ……女の人がちょっと苦手なんだ……うん、判った。それじゃ、お姉さんが協力してあげる」
「ふふ、君のためだけじゃないから安心して? 私とももっと仲良くなって欲しいし、今のうちにそういうの直しておいた方が絶対良いからね」
「ん……お鍋の火を止めて……はい、これで大丈夫。それじゃ、ちょっとこっち来てソファに座って……うん、それで良いわよ」
「それじゃ、隣に座って……ん、しょ……ふふ、やっぱり緊張しちゃうかな? まぁ、こんなに近いっていうのはあんまり無いかもしれないけど、そうなった時にもこういう感じで慣れておけば緊張しないでしょ?」
「そうそう。それじゃまずはこのままお話しましょう? ふふ、普段通りの話で良いから……そうね、練習だしそっちから話してみて? うん、話したいことで良いよ」
「(……って、そう簡単に緊張するのが直れば苦労しないよねぇ。とは言っても、ぶっつけ本番でどうにかできるほど甘い訳もないしね。とりあえずはこれで良いかな)」
「(……ただ、緊張して赤くなっちゃってるのは可愛いなぁ、ふふ……一生懸命お話しようとしてくれるのも良い感じだし……ちょっとだけ悪戯しても良いかな、ふふ)」
「……うんうん……ふふ、そうなんだ……うん、大分慣れてきたかな? それじゃあ、次のステップだね。はい、手を貸して……はい、これで良いかな。ふふ、そうだね、手を繋いで今度はお話だよ? これで緊張しなくなったらもう大丈夫だと思うから、頑張ろうね、ふふ」
「(なーんて、こんな状態になれたら相手の子もオールオッケー、って感じだろうから練習としてはあんまり意味ないかもだけどね……ふふ、でも顔真っ赤にしてるのはやっぱり可愛いなぁ……照れて緊張してるんだろうけど、それを楽しんじゃうのはちょっと可愛そう、かな?)」
「(……って、なんだかもぞもぞしてるし、どうしたんだろう……あ……なんか、えっと……もしかして、ちょっと調子に乗り過ぎちゃったかな……おちんちん、おっきくしちゃってるみたい……)」
「(どうしようかな……ここで止めた方が良いよね……良いんだろうけど……見てたら、ちょっと私も……うう、この子可愛いし、あの人は忙しくて構ってくれないし…………もうちょっとだけ悪戯しても良い、かな)」
;1秒程度間
;次のシーンに続きます