Track 3

ガベーラ草原

 ほら見たことか。  大口叩いといて草原ひとつ越えらんないんだから。  平和なのは神殿の付近だけだって。  あの辺は四六時中お祭り騒ぎでしょ。  先駆者パーティーってだけでいろいろ優遇してもらえるし。  でも私は先駆者として活動するなら万全の準備を整えて奥地へ行きたいわけ。分かる?  だからあと二人揃えてフルメンバーでさー……。  ……またその話かって顔してる! 最悪っ! その態度最悪っ!  私だってねぇ、「またその顔か」って思ってるよ!  ワンパターンだなーっ。お前の顔はなーっ。  あーっムカつく眉だな燃やしてえっ。  だーっ!  ……とにかく、奥地で活動したいって意志だけは一致してるんだからさー。  ……あんた先駆者の巡行甘く見てない?  奥地はもうこの辺の街とは雰囲気全然違うからね?  殿堂入りした先駆者達の苦労知ってたら、そんな甘っちょろいこと言ってらんないはずだけどなー。  殿堂入り先駆者の名前全部言える?  みんな凄いけどやっぱ一番に名前が挙がるのは……北の大地を押し広げたビド様だよね~っ。  この剣を打てたのもビド様のお陰。  北の大地は資源が豊富なんだよな~。  ……何?  ……もしかしてあんた……ビド様に憧れてるとか?  だから二人パーティーに拘ってんの?  確かにビド様はカレル様と二人で北の大地を攻略したけどさー。  あれ最初から二人だった訳じゃないからね。  出発時は四人パーティーで、北の大地に着く頃には二人になってたってだけだし。  あ。私達も出発時は四人だったか。  ……いやいやいや、それとこれとは話が全然違うから。  っていうかまだ出発した街からロクに動いてないんだからいくらでもやり直せるでしょ!  うわっ! 鳥獣!  あんたの所為で鳥獣寄ってきたよ! どうすんだよ!  ……は~ん、また私に戦わせるんだ。  やだねっ。たまにはあんたが一人でやれっ。  ……別にいいんだけどさー、毎回二人がかりでボコボコにしてたら経験になんないでしょ。  だからあんたが一人で戦って経験積むべきなんじゃないの。  この辺は瘴気薄いから鳥獣の凶暴性もまだそこまでじゃないって。  っていうかこの辺の鳥獣に圧されるようじゃあ奥地なんて無理無理。  ほら、行ってこい。