Track 20

三日月の洞窟・最深部

 何かの保存場所として使われたり……。  死体がミイラになることもあるし……。  やっぱり常に暗いってところに神秘性があって……。  ……。  どう?  ……うん。こっちも何もないわ。  ……。  何もなくてがっかりした?  ……。  ……ねぇ、私って霊能力あるでしょ?  だからなんとなく分かるんだけど……。  ビド様とカレル様は……どっちかが予知能力を持ってて……。  その能力のおかげで、将来二人の間に出来た子供が、北の大地に来るって分かってて……。  北の大地は……今もそうだけど、昔は今よりもっと瘴気に覆われてたから……。  だからビド様とカレル様は必死になって、北の大地を開拓したとか……。  だとしたら……あんたにも予知能力が遺伝してて……。  あんたが子供の頃から覚えてたこの洞窟の記憶っていうのは……今日の記憶なんじゃないかな~。  ……。  ……この洞窟さぁ、何もないと思ったけど、やっぱりあったわ。  ほら、微かにだけど……ここにもあるじゃん。  光の痕跡が。  誰が付けたかは分かんないけど、ここに誰かが来たんだよ。  もしビド様とカレル様が北の大地を開拓しなかったら、この洞窟にも痕跡が残ってなかったかもしれないし。  そしたらあんたがこの洞窟を見つけても、中まで入んなかったかもしれないでしょ?  つまり~……ん~……。  ……あは。そうだね。  この場所に痕跡いっぱい付けて帰るか~。