場所不明
こんだけ浴びたんだから……もうそろそろなってもおかしくないよね……。
雪の精霊に……。
マジでもう一生分浴びたわ……。
……あんたの場合はいくら浴びても雪男になるだけだよ……。
別に残念じゃないでしょ……あんた雪男以下の存在なんだから、雪男になったらグレードアップだよ……。
私はもう何になっても頭打ち状態だから……。
可愛さ頭打ちでしょ……。
は……そうでしょ……。
……あ……。
……うん……大丈夫。
大丈夫だって……。まだ口がこれだけ動くんだから、脚も動くって……。
そうでしょ?
……うん。
ちょっとだけ座っていい……?
……。
……ねぇ……あんたが絶対知らないこと教えてあげよっか……。
……今日、私の誕生日。
知らなかったでしょ……。やっぱな~……。
一つ賢くなったな……。
なんか思ったより丈夫だよね、あんたも私も……。
病気も怪我も……何一つ負ってないし……。
お腹減ってるだけなんだよな~……。
……いや言われなくてもあんたが先に死んだら食べてあげるから……。
元々そのつもりだし……。
マズそうだけどね~……。
……あんたってさぁ……どこで育ったの?
…………ふぅ~ん……。
じゃあ食べても問題なさそうか……。
……何やってんの?
……。
……あ……ケーキ……。
うん、分かるよ……。
……うん……ひんやりしてる……。
…………。
歩くか……。
……。
こっち。
まだ途切れてない。
……何も見えないけど……痕跡だけは見える……。
……。
ねぇ……まだ先駆者続ける……?
……そうね……帰り着いた後で考えればいーか……。
珍しく、あんたの方がまともなこと言ってる……。
私今日、歳いっこ増えたけど……まだあんたの方が年上だよね?
……ふ……じゃあ一生年下か……。
……。
……ふぅ……ふぅ……。
うん……大丈夫……歩ける……。
……うん……いけるよ……。
……急に年上ぶってんじゃねーよ……。
はぁ……はぁ……。
散々甘えたくせに……。
……は、はは……。
……。
はぁ……はぁ……。
はぁ……。
……ふぅ……。
……ぁ。
ほら……。
……。
……ただいまって、挨拶しなよ。
あんたのパパに……。
(了)