01.実の妹の愛の告白
01.実の妹の愛の告白(プロローグ/屋上)
こんなところに呼び出しちゃって、ごめんなさい
家だとお母さんもいるし、万が一にも聞かれたら困るから……
話っていうのは、これからのことについて、です
お兄ちゃんと、わたしの、これからについて
お兄ちゃん、卒業したら東京の大学に行っちゃうんですよね? もう、時間がないんです
聞いてください、お兄ちゃん
今から話すことは、嘘や冗談なんかじゃありません。わたしは真剣で、本気です
まるで告白みたい……?
みたいじゃ、ないんです……お兄ちゃん
単刀直入に、言いますね?
実は、わたし……お兄ちゃんのことが、好き、なんです
ずっと昔から……物心ついたころからずっと、お兄ちゃんのことが……
そういうことじゃ、ないんです
家族としてとか、兄妹としてとかじゃなくて、ひとりの異性として、女として――お兄ちゃんのことが好きなんです
軽い気持ちでも、一時の気の迷いでもありません。今日まで一緒に暮らしてきて、わたしはずっと、お兄ちゃんのことをそういう目で見てました
わたしっ……お兄ちゃんの恋人になりたいんですっ……!
おにい、ちゃん……
そんな顔、しないでください……
ま、待って! 行かないで!
わたしっ、本気でお兄ちゃんのことがっ……!
……行っちゃった
……はぁ
わたし、振られちゃったんだよね
お兄ちゃん、完全に引いてたなぁ。理解できないものを見るような目をしてた
覚悟はしてたつもりだったけど、やっぱり、キツいなぁ……
帰ったら、どんな顔してお兄ちゃんに会えばいいんだろ……