起きて下さい旦那様
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[フォ~ン…(まどろみ)]
【男、床に就いてしばらくして、脳裏に訴えかける声に気づく】
ねぇ…起きて…
起きて下さい、旦那様!
いえ、私の声が聞こえてるという事は
深い眠りになんか就かれてないはずですよ?
そう…そのまま心の目をお開け下さい。
でも、お体の方は目覚められない様に…
ようやく気がつかれましたね?
おはようございます…
と言っても、朝はまだまだ先なんですけどね。
驚かれてますね? 無理もありません。
せっかく気持ち良くお休みになられてる所を起こしてしまいましたし…
でも、大目に見て下さいね?
起きて頂かない事には、ご奉仕して差し上げるのも叶いませんので。
あっ、いけない!
ご挨拶がまだでしたね?
コホン…
初めまして。私は淫魔のメイアと申します。
はい、淫魔です。
もしくは夢魔とか、サキュバスとか…
人間の皆様はそう呼んでらっしゃいます。
あ…でも私はまだ見習いですから、
あまり偉そうに名乗れたものじゃないんですけどね。んふ♪
はい?
では、これは夢か…ですって?
ん~…
そうとも言えますし、そうでないとも言えます。
ここは旦那様の瞼の裏に無限に拡がる闇…
夢と現実の狭間にある不確かな世界。
こんなに広い空間ですが、旦那様専用の個室みたいな物。
邪魔者なんか誰一人として居ませんから、安心して下さいね?
えっ? たった今、私が旦那様の眠りを妨げたばかり?
あら、ひどい。私を邪魔者扱いするなんて…くすん。
私がここへ呼ばれたのは旦那様のご意思なんですよ?
身に覚えが無いですか?
いえいえ、心の奥底では欲しておられたはずです。
現実世界での心のほころびを治す癒しを…
そうでなきゃ、私が旦那様の元へ姿を現す理由はありません。
人が現世では果たせぬ想いを、仮初の形だけでも満たして差し上げる…
それが私ども淫魔の務めなんですから。
ある物と引き換えに、という条件付きですが…ぬっふ♪
…と言う訳で、そろそろ始めましょう。
グズグズしてると朝になっちゃいますし。
ん? 何をって…決まってるじゃありませんか。
旦那様は殿方。私は淫魔のメス。
する事と言ったら唯一つ…ぬっふふ…
旦那様を癒して差し上げる官能の儀式…
オナニーのお手伝いです!
【男、期待したものの少々拍子抜け】
えっ、普通はもっと本格的な嫌らしい事ですか? セックスとか?
も~、旦那様のH!
すみません。
先ほど申し上げた通り、私は勉強中の見習い淫魔ですので…
まだ生身の人間と直接触れ合う事は出来ないんです。
ほら、旦那様の体に触れようとしても…
触れられない…触れさせてあげられない…
誠に申し訳ございません…くすん…
しかしながら、こうして姿や声をお届けする事は出来ます。
ですので、今宵は旦那様が自慰にふけるのを精一杯お手伝いさせて頂きます!
いえ、遠慮はご無用。
ご奉仕をして差し上げる代わりに、お体から出された精を頂戴し…ぺろり…
それを隠世(かくりよ)へと持ち帰るのが私のお役目。
ギブ&テイクですので、気兼ねなく射精なさって下さい。
それに旦那様も…既に準備は整っておられる様ですし。
ご立派。んっふ♪
えっ、いつの間に自分は裸になったのか…ですって?
気がつかれてなかったんですか? 私の目には最初からそう映ってましたけど…
どんなに目を背けても、視界の片隅に
大きく膨らんだモノが目に入ってくるんですもの。ぬふふ…