導入
おかえりなのじゃ。
ふむ、今日もお疲れのようじゃのう。
人間の世界の労働という奴は大変そうじゃ。
儂が慰め、癒やしてやるかのう。
ほれ、はやくこっちに来ぬか。
今日は結婚記念日じゃからのう、盛大に祝おうぞ。
見ての通り、料理もたくさん出来ておるぞ。
どうじゃ、おいしそうじゃろ?
ほほう、どうやら食欲が抑えられぬといった表情じゃのう。
まったく、お主は本当に可愛らしい夫じゃのう。
あまりに可愛いのでギュッと抱きしめてやろう、ほれ。
ふふふ、どうじゃ?
お主より遥かに年上で、じゃが、とても小さい儂の体からほのかにあたたかいのが伝わってくるじゃろ、胸が無いのが少し不満かもしれぬが……肌の柔らかさがあるからよいであろう。
儂もお主の力強い男らしさを肌で感じて、おるぞ❤
半分妖怪で人間界にも妖怪の世界にも馴染めぬ儂の事を愛してくれて、おまけに結婚までしてくれてとても感謝しておる。
これからもよろしくなのじゃ。
最後に少しキスをするかのう。
(十秒程度、舌を絡め合うキスの音)
はぁ、そなたの舌と絡みあって少し体が熱いのう。
本当に、大好き、なのじゃ❤
くすっ、いちゃつくのも儂は好きじゃが、やはり腹が減った。
そろそろ、この晩ごはんを食べようぞ。
もちろん全て儂の手料理じゃ。
どうじゃ、美味(びみ)かのう?
おお、喜んでもらえて嬉しいぞ。
お主の疲れた顔が見る見るうちに元気になってきておるのう。
頑張ってつくった甲斐があったというものじゃ。
ところで……のう、一つ、結婚記念日のプレゼントがあるのじゃが、ほれ、このスマホの音声ファイルじゃ。
お主へのプレゼント……みたいなものじゃ。
どうか、聞いてはくれぬかのう。
直接口で伝えるには少し長いからのう。
どうじゃろうか?
おお、聞いてくれるか。
では再生するぞ。
ふふ、我が夫よ、少しも聞き逃すでないぞ。