トラック01:その……淫紋を、ください……
■パート1
(パート1部分台詞補足)
(●:エルフシスター)
(◯:娼婦のお姉さん)
(□:店主の老婆)
●どうぞ。
◯シスターシンシアさん、こんにちは、懺悔、というわけではないんだけどさ……仕事に行く前に少し話を聞いて欲しくて来ちゃった。
●分かりました。どうぞ、私にお話ください。
◯夕方にごめんねー。うち娼婦やってるからさ、今くらいの時間がちょうど普通の人の朝の感覚でさー。
●いえ、大丈夫ですよ。それで、話というのは……?
◯えーと、あっ、そうそう。仕事柄、いろいろな客を相手にする訳じゃない?
◯それはもちろんお客さんの中には、腰が砕けるほど上手い人もいるっちゃいるけど……。
◯そういう客は本当に希でねー。テクニックに自信がある! って自分で言う割には全然……。って客の方が多いわけよ。
◯それでね、そんな客ばっかり来ててー。ムラムラって、いろいろ溜まっちゃったりするわけよ。
◯余りに感じないもんだから“ズル”しちゃってさー。
●ズル? ですか?
◯うん。エルフのシスターさんに話す話じゃないかもだけど……。
◯教会の裏通りにある細い道がね闇市になってるんだけど、そこで『淫紋』っていうのが売られててね。
○それをお腹に貼ると、どんなに“下手くそ”でも、もー感じちゃって……。
◯気持ちよすぎて失神しちゃったんだよねー。あははは。
●……失神するほど、ですか……。
◯うん。さすがのうちでもビックリしたよ。いやー、エッチするのは仕事抜きに好きだからさー。
◯ムラムラっとした気持ちが解消されてよかったよー。
◯とはいえ、ズルだっていうのはちょっと引っかかってたから、誰かに聞いて欲しかったんだけど……。
●そう、ですか。それで、気持ちは晴れましたか?
◯うーん、そうだね。少し重かった気持ちはスッキリしたかも。あはは、話せてよかった。
◯あ、そろそろ行かなきゃ。じゃあねシスターさん。シスターさんもお仕事頑張ってねー。
●はい、あなたにも神のご加護を。
●ふぅ……さて、最後の懺悔? も、聞きましたし、今日はこの辺りで終わりですね。
●……それにしても「気持ちよすぎて失神」ですか……彼女は嘘を言うような人ではないですけど、信じがたい話、ですね……。
●“絶頂する”というのはそんなにも気持ちの良いものなのでしょうか?
●性交など知識として知ってはいるんですが、そもそも絶頂という感覚を体験したことがないので、どういった感覚なのか興味があります……。
●シスターになる前に、興味本位で自慰をしたことはありましたが、自慰をしたところで、絶頂はおろか感じるという感覚もよくわかりませんでした……。
●そんな私でも、淫紋?というのを使えば絶頂を体感できるようになるのでしょうか……?
●確か……教会の裏通りの……細い道……。
●神様は寛容なので、一度くらいでしたら、試しても……お許しくださるはずです……。
●誰も……見てないですよね……。
●はぁ、はぁはぁ……。
●あっ……こんなところを見られるわけにはいかないですね。人に会わないようにしないと……。
●はぁ、はぁはぁ……。
●……この辺ですかね? 小さなテントがいくつか見当たりますけど……。
□……何かを、お探しかねぇ?
●あのっ……えっと……。
□おや、これは……これは……、シスターさんではございませんか。
□ここは貴女(あなた)様のような方が来られるところではございませんよ、迷子になりましたかな?
●いえ、探し物をしてまして……。
□シスターさんが探し物……ヒッヒッヒッ……、このようなところで女人が求めるものは限られてますのでねぇ。
□これが「子おろしの薬」に「惚れ薬」、最近人気なのがこの「淫紋」という品物でございますねぇ。
●その……淫紋を、ください……。
□ヒッヒッヒッ……こちらをどうぞ、淫紋は一度絶頂を迎えると消えて無くなりますのでねぇ。
□貴女様のように魔力の流れを読めるエルフ族はともかく、大半の人間には淫紋は見えませんのでご安心を、お代は300リルでございますねぇ。
□ヒッヒッヒッ……まいどありがとうございます。
●はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…、はぁ……。
●……はぁー、買ってしまいました……。なんでしょう? すごく悪いことをしてる気がしてドキドキしてしまいます。
●……ごくっ。
●えっと……? この淫紋は、魔力を込めて描かれた呪印である……。ふむ。
●へそから指三本ほど下の箇所に張り付ける……なるほど。
●へそから指三本ほど下、ですね……ここに、張り付ける……と……?
●……なるほど、描かれていた淫紋がお腹に移ってる、魔法の一種みたいね。
●……。
●これで……本当に効果があるのかしら?