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Track1先輩と私の記録〜プロローグ〜
朝、先輩(聞き手)の通学路で待っていたところからスタート。
先輩が歩いてきたところへ声をかける。
あっ、先輩。おはようございます。
今から、学校ですか?
そうですよね?だって先輩、いつもこの時間に、この道を通って通学してますもんね。
ふふ。だから、ここにいれば先輩に会えるかなって思って、待ってたんです。
(自分のことを誰だかわかりかねている先輩を見て)
…あれ、私のこと、覚えてないんですか?
ほら、何年か前に、私をいじめっ子達から庇ってくれたじゃないですか。
まだ今の学校に入学する前の話です。学校からの帰り道で、私のカバン、先輩が取り返してくれたじゃないですか。
あ、思い出してくれましたか?あは、良かったです。完全に忘れられちゃったのかなって思っちゃいました。
でも、そうですね。もう何年も前のことですし、忘れちゃってても、仕方ないかも知れませんね。
私にとっては、今まで男の人に意地悪されることはあっても、ああやって守ってくれることなんて一度もなかったから、凄く印象に残ってるんです。
私が今の学校に進んだのも、先輩の後を追ってなんですよ。
あ、はい。別にその後声をかけたりとかは、無いですね。
でも、私はそれで満足だったんです。先輩と同じ学校に通っていて、同じ空間にいて、少しでも近くでその存在を感じられていれば。
でも、私。先週、聞いちゃったんです。他の女子生徒が、先輩に告白しようと思うって、言ってるの。
だけど、そんなの絶対に駄目じゃ無いですか。先輩のことをずっと前から知ってて、見てて、想い続けてきたのは私だけなのに。
なのに、先輩のこと全然知らない人が告白するだなんて、そんなのダメですよ。
私が、私だけが、ずっとずっとずーっと先輩の生活を見守って、いつかこの気持ちを伝えられたらって思って生きてきたのに、なのに私以外の女が先輩を横取りしようとするなんて、そんなのおかしいです。
だから、今日から先輩には私の家で過ごして貰おうって決めたんです。
今までは外で自由に生活する先輩を眺めて楽しんでいましたけど、このままだと際限なく先輩に虫がたかってきます。先輩は魅力的な人ですから、分不相応な女が次から次へと寄って来ちゃうんです。
その度に虫を処理するのもキリがないですし、もしも先輩が騙されて、タチの悪い女と付き合うことになっちゃったら、私、耐えられません。そんなの先輩が可哀想すぎます。
…だから、決めたんです。先輩を私の家に大切にしまっておこうって。
そうすれば、先輩に他の女が近づくことは二度となくなりますから。
それに、私が一番先輩の事わかってて、先輩の事幸せに出来るんです。
なら、私の家にいるのは、おかしな話じゃないですよね?
ふふ、ふふふ。私を助けてくれたのはもうずっと前のことですし、先輩は私のこと、あんまり知らないでしょうけど、それは私の家に来てから、ゆっくりわかりあっていけばいいです。
今はとにかく先輩を他の女から守らないといけません。
ふふ、今日から先輩は私の家で、私と一緒に毎日を過ごすんです。
勿論、他の女の目に先輩を晒すわけにはいきませんから、一生家の中にいてもらいます。もう面倒な勉強なんてしなくていいし、そもそも学校にだって行かなくて良いんです。煩わしい人付き合いからも解放されるんですよ。
(何言ってるんだろう…的な反応をする先輩を見て)
あはは。何をそんなに怯えてるんですか?
先輩を守ってあげるって言ってるんです。そして、一生養ってあげるって言ってるんですよ。
ああ、そうか、先輩にはまだ想像できないですもんね、私と一緒の暮らしがどれだけ幸福に満ちているのか。今の日常を捨ててまで選ぶべきものなのか。
それを判断することができないんですね。
あはは、なら、なおさら私と一緒に住みましょうよ。そうすれば、先輩のその疑問なんかすぐに晴らせますから。
きっと心からこう思えるはずです。
ああ、ここに来て良かった。彼女と一緒にいられて幸せだって。
すぐですよ、すぐ。先輩は、私と一緒にいることが一番の幸せなんでから。
ふふふ。すぐにそれがわかるようになります。
だから、さぁ、私と一緒に来て下さい。
あれ、逃げるつもりですか?
ふふ。ダメですよ。私から離れちゃ。
どうしました?ねぇ、ほら。先輩。こっちに、来て下さい。
もう、仕方ないですね。
なるべく使いたくなかったんですけど。
撃つしかなさそうですね。
(ギョッとする先輩を見て)
あは、心配しないでください。
形は似てますけど鉄砲なんかじゃないですから。
これ、テーザーガンって行って、遠くの人に仕えるスタンガンなんです。
ごめんなさい。ちょっとだけビリっとしますね
(SE:走り去る音)
ふふ。逃げられっこないですよ。
えいっ。
(SE:スタンガン)
(SE:倒れる音)
(気絶した先輩に対して)
ふふふ。だから逃げられないって言ったのに。
あれ、先輩?あぁ、気絶しちゃったんですね。
んーと、…うん、体に痕が残ったりはしてないですね。
よかった。この出力のスタンガン、手に入れるのに少しだけ時間がかかっちゃいましたけど、きちんと思った通りの効果を発揮してくれたみたいです。
ふふ、ふふふふ。無防備に気を失ってる先輩見てたら、んふ、ちょっと、いけない気持ちになってきちゃいますね。
でも、まずは私の家に行かないと。
先輩と私だけの、愛の世界です。
ふふふ。先輩、良い家だと思ってくれるといいなぁ。