track7
Track7先輩と私の記録〜8月11日〜①
(前回同様日記を朗読するように)
先輩と私の記録、8月11日
先輩が新しい体になって二ヶ月。
当初はショックを受けていたらしい先輩も、手足を失った不自由さを感じさせない私の介抱の甲斐あって、近頃は前じゃ考えられないほど素直になってきた。
やっぱり私の愛情をしっかり受け入れて貰うのに手足は邪魔だったのだろう。
そう考えると、そんな不便な物を抱えさせた状態で部屋に閉じ込めていたのは本当にひどいことだったんだと罪悪感を感じてしまう。
でも、まだ完全に私のことを求めてくれてはいないように思う。
先輩を想う私の気持ちが本物だということは理解してくれている、ような気がするし、私への恐怖が薄れてきて、逆に若干の安堵感が芽生え始めているのも、先輩の態度を見ていたらなんとなくわかる、
あともう一押し、どうすればいいんだろうか。
そう考えていたら、これはというアイデアが湧いた。
これを実行すれば、きっと先輩も完全に心を開いて、
私という存在を真に必要として、私無しではいられないと認めてくれるようになるはず。
善は急げ。今夜にも実行しよう。
(お風呂上がりからスタート)
はい、先輩。体、拭き終わりましたよ。
今日のお風呂はこれで終わりです。ふふ、最近は先輩も協力的になってくれたので、効率よく先輩を介抱することが出来て助かります。
最初はずっともぞもぞ、もじもじしてて、浴槽の中だと溺れさせちゃいそうだったので、ベッドの上でタオルで拭くだけでしたからね。
こうしてお風呂で一緒に湯船に入れるのも、先輩が私を受け入れて、自分を委ねてくれるようになってきてくれたからです。おかげで思う存分先輩を綺麗に洗うことが出来ます。
ふふ。前はおちんちん綺麗にするのなんて特に大変でしたからね
ちゃんとおちんちんのカスも全部取ろうと思って頑張ってるのに、やめろやめろって喚くし、そうしてるうちにおちんちん大きくしちゃうからとりにくくなっちゃうし。大きくなっちゃったのを鎮めるためにお口で射精させてあげても、やだやだってだだこねるんですもん。ふふ、でも、手足のない体で必死にもがく先輩も、可愛かったですけどね。
今ではもうあたりまえの日常としておちんちんも差し出してくれますし、っていうか、お風呂に入る時からもう大きくさせるようになっちゃいましたもんね。
これって、私にお口でされるの、期待してる、ってことでいいんですよね?
あはは、嬉しいですよ。すっごく。
先輩ったら、まだ積極的にあーしてほしいこーしてほしいって言ってくれないから、おちんちん大きくしてくれるみたいな、わかりやすい意思表示をしてくれると、先輩に求められてるって再確認できて、その度に幸せな気持ちになるんですよ。
じゃあ、ベッドに下ろしますね、先輩。
しょ、っと。ふふ、干したばかりのお布団だから、気持ちいいですよね?
折角先輩のにおいがしみついたお布団なのに、それを消してしまうのはすこし残念な気もするんですが、先輩に気持ちの良い環境を整えてあげるのが一番ですから。
(眠たそうにしている先輩を見て)
うん?あれ、目をしばしばさせて。ふふ、眠くなってきちゃいましたか?
ふふ。わかりますよ。先輩がどんな時にどんな状態になるのか、全部わかってるんですから。そうでなければ、先輩の手足の代わりなんてできないですよ。
その様子だと、すぐにでも眠ってしまいたい感じなんじゃないですか?
ふふふ。図星でしたか?当然です。先輩の事でわからないことなんかないって、嘘じゃないんですよ。
そうですよね、その体になってもう二ヶ月ですし、慣れない体での生活の疲れが一気に出てきてしまったのかしれません。本当は先輩にそんな疲れを感じさせるなんていけないことなんですけど…ごめんなさい。私が至らないからですよね。
じゃあ、今日はもうこのまま眠って…あ、でも、おやすみなさいする前に、まだやること、ありますよね?
先輩が望んでいることですから、本当はこのままゆっくり眠って欲しいんですけど、でも、その前に、歯磨きだけ、しないとです。
このまま寝ちゃったら、虫歯になっちゃいます。
私が隣にいる以上、先輩には病気一つさせるわけにはいかないですから。
眠くてしんどいとは思うんですが、お口をあけてくれるだけでいいですから、歯磨き、頑張りましょう?
ほら、歯ブラシはもう用意してますから、お口、あーんしてください。
はい、それじゃあ始めますよ。今日も先輩の歯の一本一本を、丁寧に、丹念に、しっかりと綺麗にしていってあげますからね。まずは上の歯から磨きます。
(SE:歯磨き音)
この歯磨きも、前は先輩が中々口を開けてくれなくて大変だったんですよ。
私の部屋に簡易洗面台を設置したはいいものの、肝心の先輩が協力してくれなくって。どうしても嫌だって言うから、先輩が眠ってる間にしてたんですから。ふふ、知りませんでしたよね?先輩ったら、一度眠ったら中々目を覚まさないんですから。でも、そのおかげで先輩はあんなに歯磨きを拒否してたのに、虫歯ひとつないんですよ。もう少し私に感謝してくれてもいいんですよ。
はい、次は下の歯を磨きますね。
どうですかぁ?痛かったら言って下さいねー?
ふふふ。先輩の歯、真っ白で、艶々で、とっても綺麗です。宝石みたい。
ちゃんと歯の裏側から、表まで、歯と歯の間まで、全部磨いてあげますからねえ。
本当は私が全部舐め取ってあげたいぐらいなんですけど、それじゃあちゃんと綺麗にできませんから。
ふふ。先輩の歯、ちゃんとピカピカにしてあげますからね。
ふふふ。ふふふふふ。
はい、じゃあこれで完了です。
体起こしますね。
どうぞ、お水です。お口ゆすいでください。
はい、吐き出してー。
もう一度お口ゆすいで、はい、吐き出してー。
はい、これで完了です。お疲れ様でした。
眠かったのに頑張ってお口開けてくれて、ありがとうございます。
それじゃ、体を横にして、お布団、かけてっと。
先輩が寝ちゃうなら、私もお布団、入りますね。
ふふ、こうして、私が先輩を抱っこしながら寝るようになってから2ヶ月ですか。なんだかあっという間でしたね。このまま、一生、死ぬまで、こうやって暮らしていけるんですね。ふふふ。本当に、夢みたいです。
あ、先輩、眠たいんでしたよね。すみません、お話ししちゃって。
それじゃあ、おやすみなさい。先輩。
…
…
(眠ったかどうかを確認)
…先輩…?もう、眠っちゃいましたか?
ん、ふふ。ぐっすり、ですね。
最初は全然寝付けなくて、いつも眠たそうにしてたのに、最近はすぐに寝入ってくれますね。やっぱり、私を受け入れてくれるようになった、ってことなんでしょうか。
でも、まだ完全に、じゃないですよね…。ぎこちないというか、素直になってくれないというか…。未だに口もあまりきいてくれませんし…。簡単な意思表示はしてくれますけど、私とのおしゃべり、してくれない…。もしかして、遠慮、してるんですか?
先輩、優しいから。こんな体なのに、それでも私に頼らないように気を使ってるんでしょうか。
でも、私、もっと先輩に頼りにされたい。もっと必要とされたい。もっと…依存…されたい、です。自分の全てを私に委ねてほしい。私にとって先輩という存在が全てなように、先輩にとっても私という存在が全てになってほしいんです。
だから、私、決めました。先輩がそうなれるように、もう少しだけ、お手伝い、してあげるって。
(SE電話呼び出し音)
(前回の電話と動揺に事務的な口調で)
あ、もしもし。遅くにすみません。私です。
え?はい、仲良く過ごしてますよ。
ただ、また、ちょっとお願いしたいことが。
えぇ、はい。大丈夫です。今からガスで目を覚まさないようにするので。
はい、明日の昼までは起きなくなりますから。ええ、それじゃあ、お願いします。
(SE:電話を切る音)
先輩。たぶんこれが、先輩と私との間にある壁を壊す最後の決定打になるはずです。これで先輩も心から私を求めてくれるようになるはずですから、だから、ふふ。おやすみなさい。
(SE:ガス音)