プロローグ
(ノック音)
……はぁい、
どうぞお入りください~
(扉が開く音)
今日はとても寒いですからね、
さぞ鱗が冷えたでしょう?
こんな日にわざわざ
お越しいただき……あら?
……人間……?
こんなところで一体なにを……
あ、こらっ
(わざとらしく明るく)
もうっ、私の姿を見て
逃げるなんて酷いじゃないですか~
どうしたんですかぁ?
もしかして、
迷い込んでしまいました?
ふふ、ご安心くださいな、
私は確かにあなたたち人間から
見れば怖い魔物かもしれませんが……
せっかくお店のドアを
叩いてくださったんですもの、
あなただって立派なお客様ですわ♡
それに、今から道を引き返したら
本当に外にいる魔物に
食べられてしまいますわよ?
私はこの通り、ラミアですが……
お客様を取って食べちゃったり……
なんてことはいたしませんから♪
……ね?かわいいお客様、
どうぞわたくしのお店で
少し休んでいってくださいな
今温かいミルクをお出しますから……
(甘い声で) ね……お客様?
(間)
ふふっ、ならば決まりですわね
いきなり捕まえたりなんてして、
驚かせちゃいましたね、ごめんなさい
さあ……こちらへ、
どうぞお入りくださいな
かわいい、かわいい……
人間のお客様……♪