実験体少女の観察
実験体観察のため自己紹介プログラム334(さんさんよん)を実行します
わたしは実験体コード番号168(いちろくはち)です
現在わたしは、人体管理システム、ヒューマンコントロールマシン、HCM(エイチシーエム)の制御下にあります
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このたびは、人体管理システムHCMのスポンサーフォーラムへお集まりいただきありがとうございます
本日お越しいただいたスポンサーのみなさま、およびスポンサー契約をお考えのみなさまには、
当フォーラムを通じて、HCM研究の有用性をご確認いただければ幸いです
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まず、HCMについてご紹介いたします
HCMとは、人間の感情と行動をコントロールするシステムです
苦痛や快楽、熱さ、冷たさなど、あらゆる感覚は正常に機能しますが、
それらの感情は、一切、表に現れません
脳内で思考することも可能ですが、全ての発言も感情表現もHCMにより
コントロールされます
発言や感情表現だけでなく、呼吸や排泄、睡眠などあらゆる行動が
HCMにより管理されます
つまり
どんな苦痛や快楽を受けて、あえぎ、よがり、泣き叫び、逃げようとしてもなにもできない
それがHCMです
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HCMを導入することにより、より精密な人体実験の評価を行うことができます
苦痛や快楽は、すべてHCMが数値データとして記録します
無駄な感情表現が発生しないため
実験結果の誤差を最小限にとどめることができます
実験体の生命活動が停止しない限り
いくらでも実験データを取りつづけることが可能です
拷問や人体改造、洗脳、精神破壊、・・・そういった人体実験を
効率よく行えるのがHCMです
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現在わたしはHCMに管理されています
今説明している内容はHCMにより命令され、わたしの意思を無視して発言しています
現在わたしが何を考えているのか、どのような精神状態なのかは
HCMのレポートをご覧になるか
HCM感情説明プログラムを実行することで確認することができます
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現在のわたしの感情は不安と恐怖、そして混乱です
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プログラム334を継続します
わたしはHCMに管理され始めてから50時間24分10秒経過しています
わたしはHCMの改造プログラムのうちAからEまでの工程を完了しています
プログラムEの実行により
わたしの感情は完全にHCMの制御下となりました
感情は破壊されてはおりませんが、その表出はHCMによって完全に制御されています
なお、プログラムごとに精神安定剤および興奮剤といった薬物の投与が行われ
各実験に対して最適な精神状態、身体状態を維持しています
まだ実験開始してから日も浅いため、現在のわたしの意識は、
不安と恐怖に勝る混乱が大部分を支配しています
しかしHCM管理下にあるため
これからどのような実験を受けようとも感情が表に出ることはなく、
行動もすべて管理されます
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プログラム334を継続します
わたしはHCM管理前、M国で暮らしていました
両親が早くに他界し、弟2人、妹2人の計5人で生活していましたが
女の身でできる労働では生活費を賄うことができないうえ
弟の一人が仕事中の怪我で解雇され、さらにお金が必要となり、仕事を選ぶ余裕もなくなりました
そんな時、後ろ暗い仕事を斡旋する裏酒場の掲示板で
隣国で行われる医療実験の仕事を見つけ、応募いたしました
その時わたしは非常に高額な報酬にばかり気をとられ、
仕事の内容については十分な確認をしていませんでした
この医療実験こそが、今回みなさまにご覧いただくHCMの実験となります
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プログラム334を継続します
わたしがHCMの実験体として適合するかどうか
書類審査、面接審査、身体検査のテストが行われました
わたしに保護者がいないこと、
失踪した場合に気にかける成人した人物が周りにいないこと、
M国の住民管理下にない身分の出身であることが書類、面接審査にて確認されました
また身体検査では特筆すべき精神的疾患、
肉体的疾患を持たない健康体であること、
性経験に乏しい、特に処女であることが確認できたため、実験に適合すると判断されました
これらの審査結果から、わたしは今こうしてHCMの実験体としてみなさまの前に立っています
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現時点で、わたしがHCMの実験体として適合したため、
契約は履行され、十分な額の報酬がわたしの住んでいた家に対して送付されています
この情報を初めて聞いたため、わたしの意識は一時的に安堵の感情が占める割合が増加しています
先の裏酒場周辺の街は、当施設の実験体の確保先としてこれまでも活用しており
今回のように誠実に対価を支払う組織というイメージを植え付けることで
今後もスムーズな実験体の確保ができるようになっています
また、わたしの妹達は遺伝上良質な実験体となる見込みがありましたので、
報酬と合わせて当施設への連絡手段および実験協力時の多額の報酬についての書類を送付しています
妹達から問い合わせがあった場合には、有用な実験体として活用できる見込みです
この情報を初めて聞いたため、わたしの意識は一時的に恐怖の感情が占める割合が増加しています
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プログラム334は以上です
この後、公開実験を行います
これから行う実験は以下の3つとなります
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「催眠暗示装置とHCMの併用による言動操作実験」
「人体外部および内部への快楽電流装置イキ地獄拷問実験」
「実験体を苗床とした快楽物質に反応する菌類の培養実験」
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いずれも、通常環境下の実験体では、依存症の発症、
精神の崩壊などが想定されるレベルの危険な実験となりますが
HCMを使う事により、長時間実験に耐え正確なレポートを出すことが可能です
これらの実験は全てわたしが実験体となりレポートいたします