Track 1

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お帰り。今日もお疲れ様。

「……あ、お帰り。今日はちょっと早かったんじゃない?」 「べ、別にアンタが帰ってくるのを待ってたわけじゃないんだからね! あ、あたしも今帰ってきたところなんだから!」 「……今日も……お疲れ様。アンタ、真面目だから今日も頑張り過ぎたんじゃないの?」 「ったくもう。何事も程ほどが良いって何度も言ってるのに……本当に真面目なんだから」 「って、ほらほら、そんなところでぼーっと立ってないで、とりあえず腰、降ろしたら?」 「全く、あたしとアンタの家なんだから……何も気を遣わなくてもいいんだからね」 「……もう、同棲し始めてもう丁度1ヶ月経つのに……何でそんなにいつまでも初々しいのよ……」 「……そういうところも……あたしは凄く好きなんだけど……」 「べ、別に何も言ってないわよ!? あ、アンタ疲れてそうだし空耳なんじゃないの!?」 「い、いいから、ほらほら!! 早くご飯にしないと冷めちゃうから!」 「今日はアンタの大好きな『アレ』、作っちゃったんだからねー、ふふん」 「……べ、別に同棲し始めて1ヶ月記念だとかそういうんじゃなくて……そ、そう!! 安かったから!! 材料が安かったから!! だから作ったんだからね!!」 「ほらほらほらー、ちゃちゃっと座ってー……って、その前に着替えて着替えてー。上着脱ぐだけでもいいからー」 「その間にすぐ食べられるように準備、しておくからー」 「ちゃんと手も洗ってうがいもするんだからね? それとお弁当缶と水筒も出しておいてー。それからそれからー……」 「……ふぅ。お風呂、良いお湯だったー」 「やっぱりアンタが選んで買ってくれたバスソルト、香りも良いし身体の芯までぽかぽかに温まって凄く良い感じよねー」 「それに……アンタの後のお風呂って……ちょっとアンタの空気っていうか匂いが残ってる気がして好き……」 「……こ、こほん。とにかく良いお湯だったわー。思わず湯船でうとうとしちゃったし……」 「アンタも気をつけなきゃダメなんだからね? 湯船でうとうとしてたら危ないんだから」 「ほら、たまに湯船で溺れちゃってーってニュースとかあるじゃない? お風呂に入るとウトウトしちゃって、って」 「アレ、実は眠くなってるんじゃなくて気を失うってことらしいんだから。だからちゃんと気をつけないとダメなんだからねー?」 「ま、まあ、ちょっと長湯だなーって思ったら、ちゃんあたしが様子見に行ったりしてるんだけど……」 「と、余計な話はこの辺にして……今日はあたしもちょっと疲れちゃったし……少し早いけど休もうかしら」 「べ、別にアンタがささっと布団に入ってるからあたしもーとかそういうんじゃないんだから!」 「た、たまにはいいかなーって!! ほ、ほら、見たいテレビとかもないし!?」 「そ、そうそう!! アンタは明日、いつもの時間で良いんだっけ? 特に早起き、とかそういうこと言ってなかったと思うし」 「早く起きるなら早めに目覚ましかけておくけど、大丈夫?」 「……」 「……聴いてる? 朝早いんだったら寝坊ないようにいつもより早めに目覚まし――」 「……」 「ははーん……もしかして……寝ちゃってる? 先に寝ちゃった……?」 「ほらほらー? 寝てるんだったら寝てるーって返事してくれると良いんだけどー?」 「寝てるー? 寝ちゃってるー? 寝てたら返事してー?」 「……」 「……まあ、今日は何か帰ってきてからいつもより疲れてる感じだったし、仕方無いわね」 「疲れてるの隠してるみたいだったけど、あたしにはちゃーんと分かるんだから隠したりなんかしなくても良いのに、全くもう」 「でも……そういうところもあたしは……す、好きだったりするんだけどね」 「……」 「も、もし寝たふりしてて実は全部聴いてましたーとかだったら……あ、明日の夕飯、アンタの苦手な野菜尽くしにしちゃうんだからね!?」 「何て、いつも羨ましいなーって思うくらい寝付きが良いアンタに限ってそんなことはないかー」 「……」 「さて、あたしもお休みしようかしらね。アンタが寝てるのに起きててもつまらないし……」 「……んじゃ、お隣、失礼するわよー? うっかり起きちゃったりしたかったら、起きちゃったりして良いわよー?」 「……起きちゃって……良いわよー……? 起きちゃったら……ちょっとだけ……イチャイチャしても良いのよー……?」 「……よい……しょ……っと……」 「ふぅ。やっぱり起きないかー。一度寝たら朝まで滅多なことじゃあ起きないもんねー」 「ま、ちょっと残念だけど……起こしちゃうのはやっぱり悪いし……いっか」 「……っしょ……っと……」 「それじゃあ……お休み。今日もお疲れ様」 「……」 「……夕飯、おいしいって言ってくれて嬉しかったから」 「……」 「それと……今日も……大好き」 「ちゅっ」 「……」 「ほ、本当に……これで起きてたら、明日は……朝からアンタの苦手なアレ、出しちゃうんだからね?」 「……」 「さて、それじゃあ……今度こそお休み。まだ1ヶ月だけど……これからもずっとこうして隣で寝られたら嬉しかったり……」 「……寝てるって分かってても恥ずかしいのに、起きてたら本当に恥ずか死するわ……これ……」 「……3度目の正直。お休み」 「……」 「……大好き」 「ちゅっ」

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