プロローグ
勇者様
少々お話があるのですが よろしいでしょうか?
単刀直入に申し上げますね
ルナとギルフレアがパーティから外れました
こちら 置き手紙です
今朝方 ルナとギルフレアが残していったものですね
内容は簡単なものでした
勇者様があまりに弱すぎてこれ以上将来性を見出せないので
別の勇者とパーティを組むそうです
? どうしたのですか 唖然として
もしかして 全く気づいていらっしゃらなかったのですか
えぇ
勇者様はクソ弱いですよ?
HPもMPも力も素早さも 何もかも最底辺
そのくせに 脳死で敵につっこむものだから
私たちは貧弱な勇者様が死なないように 無駄な労力をはらわねばなりません
なのに勇者様はそうとも気づかず 全ては自分のおかげだという風に振る舞う始末
皆 ほとほと嫌気が差していたのですよ?
はっきり言いますね
勇者様の存在価値は “勇者の紋を持っている” それ以外に何もないのです
他の有望な勇者に身を託そうと考えるのも 無理のない話ですね
…どうしよう?
面白いことを言いますね 勇者様
全ては 己が勇者だという自負にかまけ 鍛錬を怠り 人任せにしてきた勇者様の責任ではありませんか
今さら後悔しても遅いんですよ
…まぁしかし
私と一緒に鍛錬をし直せば 再び彼らの信頼を取り戻せるかもしれませんね
自堕落で怠惰で 自尊心だけが肥大し尽くした勇者様には 非常に過酷な試練でしょうが
…ふぅん
鍛えてほしいのですか?
もっと強くなりたいのですか?
色んな呪文を覚えて 卓抜な剣技を有する 立派な勇者になりたいのですか?
…いいでしょう
では これからは勇者としてのプライドを捨て
生まれ変わった気持ちで闘いに励むことを ここで誓っていただきましょう
…どうやって?
決まっているではありませんか
土下座です
この貧弱で無知蒙昧な勇者様を鍛えてください マリア様と
土下座していただけますか?
今の勇者様をザコたらしめているのは
その凝り固まった自尊心です
まずはそのくだらないプライドや自尊心を粉々に打ち砕き
まっさらな気持ちで鍛錬に励む必要があるのです
お分かりですね 勇者様?
さ 土下座してください
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…あら
まさか本当に土下座するとは思いませんでした
そうですか
勇者様はそうまでして強くなりたいのですね
分かりました
では 明日から勇者様にはモンスターとタイマン張ってもらいましょう
えぇ そうです
仲間の手助けなく 独りで立ち向かうのです
まずはトロールあたりから闘ってもらいましょうか
勝てば 別のモンスターと闘いましょう
負ければ なぜ勇者様が敗北をきっしたのか
みっちり指導して差し上げましょう
いいですね 勇者様