犬になれ
(牢屋のドアが開く音/左・遠く)
(ブーツ足音/左・遠くから通常)
(左・通常)
Guten abend.(こんばんば)
アイン少佐だ。
(左から正位置・通常)
初めまして。
スパイ君。
(正位置・通常)
我が帝国に忍び込んだのは褒めてやる。
(正位置から右・通常)
だが、我々を少々甘く見ていたようだな。
(右・接近)
舐めるなよ、豚野郎。
(右・接近から通常)
さて。
(右から正位置・通常)
これからのキミの処遇だが、軍は私に一任すると言っている。
(正位置・通常)
どうしたものか。
この場で射殺してもいいんだが…。
(正位置から左・通常)
ふっ。
私事(わたくしごと)で恐縮だが、私はこう見えて動物が大好きでね。
(左・通常)
特に犬は大好きだ。
犬がいる生活はいい。
心に潤いが生まれる。
(左・通常から接近)
そこでだ。
(左・接近)
私のペットととして、お前を飼ってやろう。
(左・接近から通常)
もちろん、嫌なら断ってもらって結構。
(左・通常)
その代わり、お前はスパイとして処刑されることになる。
(左から正位置・通常)
どうだね?
(正位置・通常)
悪い話しではないだろう?
私の飼い犬になれば命が助かるんだ。
(正位置から右・通常)
ん~?
(右・通常から接近)
よ~く…、考えてみたまえ。
(右・接近)
プライドと命、大切なのはどっちだね?
…ふふ。
決まったようだな。
(右から正位置・接近から通常)
では契約といこう。
(正位置・通常)
四つん這いになり、こう言うんだ。
「アイン様の飼い犬して下さい。」
言え。
(間)
(正位置から左・通常)
おやおや。
(左・通常)
プルプルと震えて、か細い声。
まるでチワワだな。
(左から右・通常)
もう一度、はっきりと大きな声で言うんだ。
(右・通常)
「アイン様の飼い犬して下さい。」、だ。
(間)
(右から正位置・通常)
ほほう。
(正位置・通常)
上手に言えるじゃないか。
褒めてやろう。
よしよし。
イイコだ。
では、契約成立だ。
契約の証として、首輪を付けてやる。
じっとしていろ。
(正位置・通常から接近)
そ~ら。
(SE:首輪を付ける音/正位置・接近)
(正位置・接近から通常)
よし。
いいぞ。
(正位置・通常)
ふふん。
似合うじゃないか。
よし、犬。
(正位置から左・通常)
今から私の家に一緒に帰るぞ。
(左・通常)
私の飼い犬として、しっかり躾をしてやるからな。
くくく。