男の子だって髪のケアは大切。私に任せてみる?
//SE 遠くで野球部が練習している音
//SE プラスチックの弁当箱を開く音
//SE お箸の擦れ合う音
【逢坂】
「……いただきまーす」
【逢坂】
「あむ。(十秒ほど咀嚼の音)」
//ダミーヘッド位置・7(左・近い)
【逢坂】
「……はぁ。全くホントにいい天気。空が青くて嫌になるよ。
なんだろ? あの、青春? ってノリが合わないんだ……」
【逢坂】
「少年よ大志を抱けとか命短し恋せよ乙女とかああいうやつ。
放っておいて欲しいよね。私はだるだる~っての~んびり過ごせれば良いだけなのに」
【逢坂】
「……ぉ。君のお弁当美味しそうだねぇ……。
唐揚げちょうだい。ハンバーグと交換」
【逢坂】
「……あーん。ぱくっ(以後、十秒ほど咀嚼音)」
【逢坂】
「良いねぇ、家庭の味って感じ。昨日の夕飯の残り物かい?
お礼に冷凍ハンバーグをあげよう。ケミカルな食感が私、苦手なんだ」
【逢坂】
「ふふ……好物を奪い、嫌なものを押し付ける。悪いねぇ、後輩クン。
まぁ、こんなテキトーな先輩に懐いてしまった君の落ち度だと思い給え」
【逢坂】
「うーむ、ていうか君……なんか、髪長くない?
それはアレかい? パンクロッカーリスペクトと言うか、若き反抗心的なアレ?」
【逢坂】
「うん。まあ、普通に髪切る時間が無かっただけだよね」
【逢坂】
「行きつけの美容院とかあるの? それとも、いつも床屋さん?
いや、別にオシャレ度チェックしてるわけじゃなくてさ」
【逢坂】
「今日の放課後は暇かい? 私で良ければ、髪、切ってあげるよ」
【逢坂】
「この人、こう見えても癒やし部って部活に所属してるもんでね。
機材とか、備品とか、好き勝手使えるわけさ」
【逢坂】
「三年間癒やし部だったから、結構上手だと思うよ、散髪」
【逢坂】
「ふふ……何系が似合うかなぁ……? オシャレに決めて、モテモテになっちゃう?
それとも案外、坊主にするのとかでも学生らしくて良いんじゃん?」
【逢坂】
「色々考えとくね。放課後にまた会お。お姉さんとの約束だ」
//声 ささやき
【逢坂】
「私好みのオトコにしてやるから、覚悟しとけよう?」