おまけ『余と一緒に電車に乗ろうなー♪』
おー。
電車、今日も混んでるなー……。
毎日ぎゅうぎゅう詰めだ……。すごいなー、人間どもは。
つくづく、尊敬するよ……。いや、皮肉じゃなくて、本当になー。
むぎゅっ。
体を押されるのも、もう慣れてきたなー…。
結局……いつもと同じで、余と人間の体、くっついちゃったぞ。
どーせだし、今日もいっぱい、余に抱き着いとけー♪ ふへへー♪
ぎゅーーーーー……♪
ほい、っと。
いつも通り、周りの人間どもの意識から、余たちの存在を隠したよー。これでイチャイチャしほーだいだぞー♪ ふふ。
会社には、すぐについちゃうし……
今のうちに、余にたっぷり甘えときなー♪
余も……そうしてくれたほうが、嬉しいし♪ ふふ……♪
……あ。そーいえばさー。
余、時間が空いたときに、魔法の訓練もするようにしたんだけどさー。
治療(ちりょう)用の魔法、だいぶ上手くなったんだぞー♪ ふふふ。
ほぼ瀕死の状態でも、一命をとりとめるくらいにはできるぞー♪
ほら、死亡フラグ、ってゆーの、あるだろ。
余が魔界にいたころなー。結婚の約束をしてた部下が、次の戦場から帰ってこなかった、って話、よく聞いたんだー。
それが結構嫌だったんだよなー。せめて、自分がそういう立場に立ったときは、そうさせないように気を付けようって思ってさー。
というわけで……もし、人間が死にかけても、余がすぐに治してやるからなー?
死亡フラグもどんとこいだぞー。ふふ。
そうそう。
今度、人間の親に、会ってみたいなー。
んー? この国では、婚礼の前には、親に挨拶するのが決まりなんだろー?
余的には、一応、人間どものしきたりは守りたいしなー。
あ。そのときはちゃんと、角は見えないようにするから、安心しろなー?
“貞淑な妻”ってゆーのに、ちゃんとなってみせるから、大船に乗ったつもりでいろー♪ ふへへー♪
実は最近、余も、どこかに働きに出ようかと思っててなー。
ふふ。もちろん、将来的に、人間を養えるように、だ。
人間の家事とか炊事を優先したいから……そんな大掛かりな仕事じゃなくて、空き時間にサクっと稼げるようなやつにするがー。
もちろん、犯罪にならないやつで……いかがわしくないやつなー?
うまく、余の力を使えるような感じのやつがいいのだがー。
……あれか。ゆーちゅーばー(youtuber)、ってのでもやってみるかー? ふふ。
魔王系ゆーちゅーばー! どーだ? いけるかな?
これなら、魔法使っても、ただのCGとか演出だって思われるだろうし……どーだ?
ふふ。まあ、もうちょっと色々考えてみるよー。
余、この世界の仕組みとか、よく分かってないとこもあるから……色々教えてくれよなー、人間♪
……んー?
どした、人間。
あー。ひょっとして、眠いのかー?
ふふ。そっか。昨日も結構夜更かししちゃったもんなー。
もしよかったら……このまま寝ちゃってもいいぞー?
余に、体重全部寄りかかってさー。目を閉じれば、寝れるんじゃないかー?
人間専用、特製ベッドだ♪ ふふ……♪
力抜いて、目を閉じてるだけでも、だいぶ気分が違うだろー♪
駅についたら起こしてやるから、ゆっくりしてなー♪
……あ。人間。そろそろ降りる駅だぞー?
んー。もう着いちゃったのか。早いなー。
人間といると、時間があっという間だー♪
……ふふ♪ ううん、気にするなー♪ 余も、人間とくっつけて、嬉しかったぞー♪
ああ♪ 今日も一日、無理しないようになー♪
美味しいご飯作って待ってるから♪
……ちゅっ♪
うん♪ またなー♪
愛してるぞ、人間♪ ふへへー♪