トラック_プロローグ
■アイドル→ラバー
■トラックプロローグ あなたにだけは幼馴染(Hなし)
(ここから正面20センチ)
(SE:学校内の雑踏)
(ここからアイドルモード)
…うん、うん♪
へぇー…。あ、この前のテレビ見てくれたんだー♪
うん、そうだね、ソロのお仕事だったから、ちょっとしか映らなかったけど♪
…えー、飽きられたとかひどいよー♪
あーでも、新しいアイドルの子はどんどん出てくるからねー♪
うちの事務所もそんなに大きいところじゃないから、色々大変だよー♪
…この前スカウトされた、って、えーすごーい♪ どこの事務所さん?
あっ…ううん、別にわかんないならいいよー♪
でも、スカウトって普通されないしさー、もし大きめの事務所だったらって考えるとすごいことじゃない? えー、まさかのライバル出現だー♪
…あ。(こちらを見つける)
ごめんね、私次の授業の準備、先生に頼まれてたから♪
うん、番組見てくれてありがとー♪
(SE:足音)
(ここから正面10センチ)
丁度良かった♪ ねぇ、ちょっと手伝ってくれるかな?
幼馴染のよしみで、ね? お願い♪
…ふふっ、ありがとう♪ 荷物あるから男の子がいてくれると助かるなー♪
じゃあ、準備室までいこっか♪
学校の端っこだからちょっと遠いけど、付き合って♪
…どうしたの? 顔、赤くなってるよ?
付き合ってって、そういう意味じゃないよー、もうっ♪ くすっ♪
(SE:足音)
(SE:扉を開ける)
んー、やっぱり、誰もいないねー♪
(SE:カギを閉める)
(アイドルモードここまで。ここからプライベートモード)
はぁ…これでよし。
…ほんっと、ありえない。
さっきの…本人相手にして、飽きられたんじゃない?とか…。
そういうこと言う普通?
というかスカウトって…ふん、すぐわかる嘘ついてまで、アイドルのあたしに張り合いたいかなー…ほんとにめんどくさい。
…あのね、嘘に決まってるじゃない。
事務所の名前も知らないみたいだったし。
後ろに取り巻きまで連れてきて、マウント取ろうとするとか…相手する身にもなれってのよ…。
…ちょっと、聞いてんの?
大丈夫よ、こんなところまで誰も来ないでしょ。
はぁー…。そもそも、さっきの子、いかにも私たち仲いいよねーって感じで話しかけてくるのがおかしいっていうか。
いいとこ顔見知りでしょ。友達になった覚え無いし。
…はぁ? 小中いっしょだったっけ? んー…覚えてない。
でも、それなら私とは幼馴染ってこと? ふーん。
ま、あんたの方が付き合い長いけどね。隣の家同士で生まれた時からだし。
あの子とは一緒のクラスにもなったことあるって…やけに詳しいわね。
てかなに、あんたはあの子のこと覚えてんの? 前から目をつけてたってわけ?
まぁ? あの子、あれで男子にもそこそこ人気あるみたいだし。
(ここから正面0センチ)
…ね、あんたは、誰のファンなんだっけ?
…そうよね? あたしの…MINORI(ミノリ)のファンなのよね?
それなのに、他の女の子に目移りしてる暇なんて、あるわけ?
(ここから正面10センチ)
…あたしが一番? そ、そう? ならまぁ、いっか…♡
…まぁ、あんたがそこらへん弁えてるファンで助かるわ。
今日も朝、廊下でまた知らない男子に話しかけられてさ。
あたしが出てる雑誌買いましたーファンですーって。
そこまではいいけど…その後もしつこく付きまとってきてさー。
良ければ二人っきりで遊びたいとか、どれだけ神経図太いのよって感じ。
優しくあしらってあげたけど、ああいうのって付け上がられると困るのよねー。
…大変そう、じゃなくて、た、い、へ、ん、な、の。
ああいうのでもちゃーんと相手してあげないと…当然でしょ?
アイドルたるもの、誰にでも優しくて、清楚で、完璧でなくちゃいけないんだから。
…あ、そうだ。あんた、今話した雑誌買った?
番組は…リアルで見て録画もした? ん、よーし。
じゃ、最後にいつもの。あーたーま…撫でて。
しょーがないでしょ…癪だけど、昔からこれが一番ストレス解消になるんだから。
(ここから正面0センチ)
ん…♡ はぁ…あとなんか、優しい言葉の一つでもかけなさいよ。
頑張ってるねとか、お疲れ様とか、なんでもいいから…。
んー……♡ はぁ…もう落ち着いた。大丈夫。
(ここから正面10センチ)
別に? …最近仕事もうまくいってなくて、ストレス溜まること多かったのよ。
アイドルのこんな姿、幼馴染のあんたにしか見せられないし。
…ああ、でも、お礼なんていらなかったわね。
だって、こうしてあたしの愚痴相手になる代わりに…。
あんたの言うこと何でも一つきくって約束なんだもんね?
じゃあ今日の夜、うちに来て。あと晩ご飯の用意もお願い。
何が食べたいって…別に。何でもいいわよ、あんたに任せる。
…はぁ。ニコニコでいい返事しちゃって…♡
あたしが言うのもなんだけどさ…色々押し付けられて、嫌じゃないわけ?
その分あたしからたくさん元気もらってる…って…何言ってんのよ、ばーか♡
…そろそろ戻るけど、一緒のタイミングで教室入ったら変に思われるから、後から来なさいよ?
あんたはどうでもいいけど、あたしが遅刻するわけにはいかないでしょ。
優等生ってイメージに傷が付いたらどうすんの?
あと、先生から仕事頼まれてたってのはほんとだから。
あの女の先生もい人使い荒いって言うか…。
とにかく、はいこれ。次の授業の資料。
…当たり前でしょ、あんたアイドルに荷物運びさせるわけ?
はい、じゃ、よろしく。
(SE:ドアを開ける+離れていく足音)
(ここから正面20センチ)
あ、先生♪ はい、資料の方は大丈夫ですよ。えっ、先生もこの前の番組見てくれたんですかー? 嬉しいですー♪
はい、これからも頑張りますね、ありがとうございます♪
(徐々にフェードアウト)