トラック2
■ナナミさんはあなたがいればそれだけで
■トラック02 過去① ~うちにおいで♪~(Hなし)
(ここから正面20センチ)
(SE:雷雨の音)
あ…いた。おーい。
(SE:雨の中の足音)
(ここから正面10センチ)
こんばんは♪ あはは、驚いてる♪
はい、とりあえず傘入って♪ 風邪ひくよ?
ん? いやねー?
いつもの時間になっても、常連さんの君が来ないなーって思ってさ♪
その辺ぶらっと散歩して、来ないようならお店閉めるつもりだったんだけど。
あはは、まさか歩道橋で濡れ鼠になって、じーっと立ち尽くしてるとは、予想外だったかなー♪
ひどい顔してるねー♪ …どうかした?
…ふんふん。
…それはつまり、仕事で上司が大失敗して、その責任全部を君が押し付けられたってこと?
…そういうわけじゃないですけど、って、私にはそうとしか聞こえなかったかなー。
くす、優しいんだねー♪ で、だからって雨に打たれてたのはまたどうして?
…落ち込みついでに家の鍵をなくした? あはは…って、笑い事じゃないかー。
ふぅん…まぁ、災難は続けてやってくるものだよー♪
そりゃあ、雨の中立ち尽くしたくなるわけだ♪ お疲れ様♪
…それならさ。うち、くる?
うん、喫茶店の2階。私あそこに住んでるけど、とりあえずの避難場所としてさ?
あー、いいよいいよ♪ そんな遠慮してもらうような大層なところじゃないから♪
代わりの鍵が届くまでは、そうしたら?
…ほら、傘の中入って♪
ん、傘持ってくれるの? んー、ありがと♪
(ここから右耳10センチ)
(SE:雨の中の足音)
それにしても、初めて会った時のことを思い出すねー♪
ずっと前、夕方くらいだったかなー♪
逆に、私がこの歩道橋でぼーっとしてたらさ。
君が心配そうに、大丈夫ですかって声かけてきたの、覚えてない?
そのあと、うちの喫茶店で話を聞いたら、今にも飛び降りそうだったからつい…って、恥ずかしそうに言ってたでしょ♪
あはは、いーのいーの謝んなくて♪
それがきっかけで、うちの店唯一の常連さんができたんだしさー♪
…もしかして、君は、あそこから飛び降りるつもりだったのかなー?
…あはは、うそうそ、冗談だって♪
…さすがにそんなこと考えないか。
あ、そうだ。
あんまり期待しないでね? あばら家(や)よりマシかなーってぐらいの家(いえ)だし♪
あとは、コーヒー一杯ぐらいはおごってあげるよ♪
常連さんへのサービス♪ こっちは期待してもらって大丈夫♪
冷えた体に染み込むぐらい、あつあつのやつ、淹れてあげるからさ♪