この母港暑すぎない?
はぁ~…いつもながら思うけど、この部屋暑過ぎない?
サディア生まれの私には日常動作すら厳しくなっちゃうんですけど
…うぅ
もう我慢できない
こうなったら勝手にエアコンの電源つけてやる
…えぃっ
ふわぁ~…この冷たい風、気持ち良い~
まるで故郷に帰った気分だわ
温度をもう2、3度下げちゃお
ふぅ…極楽極楽~…
げっ、同志ちゃん…!
もう仕事から帰ってきちゃったんだ。早いね
そ、そうだ
喉渇いてない?
えーと、冷蔵庫に冷たい飲み物は…ウォッカしかないんだけど。
まぁいいや。一杯やっちゃう?
あ、ちょ…何するのよ!
せっかく涼しくなってきたのに…
だって、この部屋…というかこの母港自体が暑過ぎなんだもん
北国から来て間もないのに、いきなりこの環境に慣れろって同志ちゃんは言うわけ?
…あっそ
同志ちゃんって優しくて頼り甲斐があると思ってたんだけど、見込み違いだったみたいだね
秘書艦にまで選んでくれたのは、この過酷な環境を無理強いする為だったんだ?
これはもう苦情の投書をしなきゃダメなやつじゃない?
「同志ちゃんはタシュケントが苦しむ姿を見て悦ぶドSちゃんで、根性論推進バリバリの融通効かない人です~」って。
ん?何よこれ?
今月の電気代の請求書…?
それがどうかしたの?
先月と比べると結構増えてるみたいだけど…
へ、へぇー…そうなんだ
でも、私が秘書艦になってからとは関連性なくない?
その月はいつもより暑かったかもしんないじゃん
わ、私は何もしてないよ
本当だってば
……
はぁ…認めればいいんでしょ?
私が来てから毎日のようにエアコンつけてたし、温度設定だって18℃にしてたってこと…
そんなにジッと見つめられたら、誤魔化せそうにないし。同志ちゃんに見透かされてるみたいなんだよね
…分かってる。
私がエアコンをガンガン使うせいで資金がカツカツなんでしょ?
でも、温度設定は同志ちゃんが望む温度では妥協できないかな。
…20℃。
…20.5℃。
ダメ?じゃあ…21℃っ
流石にこれ以上は、私溶けちゃうんだけど?
同志ちゃん。私のためにも妥協してよ~
え?ホント?
私が同志ちゃんを癒してあげればいいのね?
はぁい。
確かにあんまし秘書艦らしいことしてなかったし、こういう形でタシュケントだって役に立てるって事を見せてあげる
それで?何をしたらいいの?
一概に癒しって言っても人によって違うと思うし…
ふぅーん…耳かき、ねぇ
同志ちゃんってそういうの好きなんだ。
でもさ、これ…タシュケントにお願いするメリットってある?
こういうご奉仕系…っていうの?
ロイヤルのメイドさん達に頼めばいいんじゃない?
…あっそ。
どうしてもタシュケントにやらせたいわけね
まぁ、別に自信がないわけじゃないけど…
ほら、道具貸して?
…ありがと。
同志ちゃんは綿棒使うんだ
はーい、それじゃいくよー
…なんで不満そうな顔してるの?
えぇー?膝枕?
仕方ないなぁ。
同志ちゃんって真面目そうに見えて意外と甘えん坊さんとか?
ほらっ(ぽんぽん)
ここ…頭乗せちゃってよ
それじゃいくよー…
同志ちゃんに耳かきしてるなんて、なんか変な感じ…
他の子に見られたら、指揮官としての威厳とかなくなっちゃうんじゃないの?
はぁ…幸せそうな顔しちゃってさ
今にもよだれ垂らしちゃいそう
んしょ…ちょっと掃除しただけなのに、結構汚れちゃってる。
新しいの使っちゃうね
ここも…こうして…
も~…何で同志ちゃんこんな汚れてるの?
いくら忙しいからって放っておき過ぎじゃない?
もしかして…わざと掃除しないでタシュケントにおねだりする口実にしてるんじゃ…
ふぅーん…あっそ。
忘れてたーとかありがち過ぎて逆に怪しい気がするけどー
まぁ、別にいいや。
タシュケントとしては、部屋の温度がかかってるわけだしね
理由はどうあれ、同志ちゃんの事は癒してあげる
溝とか浅いところはこれくらいでいいかなぁ
それじゃあ今度はもっと奥の方をやってくよー
ん…しょ
うわ、何これ。
…いや、何でもないよ。
同志ちゃんは気にしないで?
ぶつぶつ…ぶつぶつ…
こんないっぱい…ホントに掃除してないんだ
ぶつぶつ…
ちょ、動いちゃダメ
変なところに綿棒刺さっても知らないよ?
小刻みに震えちゃってさ…
そんなにこの辺り、ほじほじされるの好きなんだ?
それなら~…もっと奥をお掃除してあげる
ほらほら、どう~?
ひゃ!?太ももさすったりしないでよ
ぞわぞわするのに耐えられないんだったら、私の服についてる白いまんまる触ってたら?
これ…触ってるとなんか落ち着くし。
耳かきって自分だけするものかと思ってたけど、こんなふうに誰かにしてあげるの楽しいかも
この辺りはー…角度を変え…てっ
んん…ぅん
結構取れたかも
こんなに汚れてるとか、タシュケント想定外だったよ
同志ちゃんホント、ズボラ過ぎ
ほら、頭を反対に向けて?
こっちも綺麗にしてあげるから
ん…しょ
新しい綿棒でまずは溝から…
……
うわ。もうこんなになっちゃってる
お掃除のし甲斐があるけどさー、これ…綿棒のストック大丈夫なの?
…あっそ。
指揮だけじゃなくって、こういう時もぬかりないのね
……
同志ちゃん、痛くない?
結構、溝の所…ごしごししちゃってるけど
ふぅん、ならいいの
別に?タシュケントは優しくなんてないし
ただ、秘書艦としての務めを果たしているだけよ
……
むぅ。ニヤニヤしたりしないでよ
タシュケントの事、バカにしてるの?
ふん。つ、強がってなんかないもん…
これが私にとって普通なだけ。
……
変な事言ってないで、そろそろ奥の方突っ込んじゃうよ
さっきみたいにゾクゾクするのなら、身構えておいたほうがいいんじゃない?
それじゃ、いくよー…
……
段々、段々…奥の方へー…
……
白いまんまるぎゅって握ったまま、震えてる…
それに変な声まで出しちゃってさ。女の子みたい。
同志ちゃん可愛すぎ。
……
なぁに?もっと優しく?
まったく…注文が多いなぁ、同志ちゃんは。
そんなにこそばゆいなら、自分でやったらいいのに。
…あっそ。
それでも、タシュケントにやられるのをお望みなのね。
変な同志ちゃん。
……
あ、そうだ。
気が紛れるようにタッピング…してあげる
こうやって、耳を指で叩くようにして…
……
どう?こういった刺激も耳には良いみたいだし、やって損はないんじゃない?
……
震えが止まって、なんだか気持ち良さそう…
効果抜群みたい。
ゆっくりしてみたり…段々早く…
……
ふぅ。そろそろ、さっきの続きしていくわね
まだまだ奥には垢が残ってるだろうし
……
やっぱり。
出てくる出てくる…ここまで来ると逆に感心しちゃうわ
……
あれ。おっきいのが見えてるんだけど…取れな…ぃ
こう…かな?
……
こんな感じ?
……
なん…で…取れな…っい…の
Ура!(ウラー!)
……
はぁ。もういっそのこと、タシュケントの氷結兵装で凍らせようかしら
そのあとは、ガリガリとアイスピックで…冗談よ
流石にそんな事したら、この部屋だってただじゃ済まないし。
それに私だってこの母港から永久追放されそうだもん
……
あ、取れた。
変に力んじゃったせいで、思ったより苦戦しちゃったわ
あとは残りを…
……
ふぅ。こんなところかしら
どう?同志ちゃん?だいぶスッキリできたんじゃない?
ふん。タシュケントの力を見くびらないでくれる?
これくらい、何てことないんだから。
さぁ、これでエアコンの室温は妥協してくれ…
はぁ?な、なにが問題なのよ
ちゃんと耳かきして癒してあげたじゃない
…あっそ。
そこまで言うんだったら、なんだってやってやるわ
…み、耳キス?
あのさ同志ちゃん…タシュケントの聞き間違いじゃないよね?
「キス」なんて不穏な単語…口にしてなかった?
はぁ…同志ちゃん本気なんだ
それ、普通にセクハラで訴えられると思うんだけど
た、確かになんでもするって言ったのは認めるわ。
でも、だからって…耳にキスするとか普通じゃない
タシュケントと同志ちゃんはまだ…そ、そういう関係じゃないし?
…あー、もう分かったわよ
それが癒しに繋がるんだったら、やらない訳にはいかないし
ほら、じっとしてなさいよね
んー…ちゅ
ま、まだ足りないの…?
んぅ…ちゅ、ちゅっ…
ちゅぅ…んふ…ちゅ…っ
ちゅ…んぅ、ちゅ…ちゅぅ…
ちゅ、ちゅぅ…んふ…ちゅ、ぅん…
はぁ…はぁ…はぁ…
わ、分かってるわよ。
反対側もやるから、頭こっち向けて?
んー…ちゅっ
ちゅぅ…ちゅ、んふぅ…ちゅ、ちゅっ…
んん…ちゅ、んぅ…ちゅ、ちゅっ…
ちゅぅ…ちゅ、ちゅっ…んは…ちゅ、っ…
はぁ…はぁ…
これ以上はもう無理…っ
まったく…同志ちゃんがこんなの好きだなんて思ってなかったわ
なんか身体が火照ってきちゃったし…
そ、そんな訳ないでしょ?
これは一時的なものなんだから、室温問題は解決しないわよ
ウォッカを飲んで身体が熱くなるのと一緒
それで?同志ちゃんはタシュケントで癒されたのかしら?
そろそろちゃんとした答えを貰いたいんだけど。
ふぅん…あっそ。
最初からそう言えばいいのよ
これでエアコンのリモコン権は私のモノね
そんな怖がらなくても大丈夫よ
ちゃんと同志ちゃんの体調には気を配るし。
タシュケントのせいで今後の指揮にも影響が出たら、本末転倒だしね
別に。これくらい秘書艦として普通でしょ?
なんだったら、風邪で寝込んだ時は付きっきり看病してあげるし
…あ。
何か言いたげだけど…今のくしゃみはわざとだってバレバレだから。
同志ちゃんの嘘、分かりやすすぎ。
あっそ。
だったら、お熱計らないといけないんじゃない?
それかー…タシュケントの氷結兵装で一気に解熱しちゃう?
…なんて。
はいはい。バカな事言ってないで、明日の準備でもしたら?
私も一緒に手伝ってあげるから。