Track 2

勇者と魔族の一夜

気が付いたかしら? ふふふ、ここはどこか…? ここは魔族のアジト、そして私の部屋でもあるわ 貴方は私との戦いで敗れ、そのまま気を失ってしまった ねえ勇者。自分の身体に何か変化がないかしら? 貴方の身体に少し細工をさせてもらったのよ 今の貴方は魔法も使えない。力も子供程度。普通の人間以下の身体能力しかないわ 元に戻せですって? ふふ、無理よ。もう私にもどうすることもできない そんなに緊張しないで、構えたって貴方じゃもう私に勝てないわ どんな拷問にも耐えるって顔してるわね。弱くなった貴方を痛めつける真似はしないわ 貴方は、魔族を誤解している。私達は人をいたぶるのが好きってわけじゃないのよ 戦いだって、出来ればしたくない。私達は魔族は住む世界が欲しいだけ まあ、こんな話はどうでもいいわ。私達は勇者が脅威だった。そしてその力を封じた もう貴方を無駄に痛めつける気はない。魔族とはいえ、感情はある人間と変わらないわ 勇者、楽にして。貴方が抵抗しなけれな、食事も与えるし生かしておくわよ 貴方の役目は終わったのよ。戦争は時期に終わる。人間の敗北と言う形で ふふふ、だけど。人間を皆殺しなんてしないわよ あれは人間側が勝手に作り上げた魔族のイメージでしょ。今は戦争中、誰かが死ぬのは当然 私だって何もなければ、食事もとるし、睡眠もとる、そうやって普通に暮らす ねえ、勇者。もう終わったのよ。残念だけど貴方たちの負け まだ警戒してるようね。そうね、さっきまで命のやりとりをしてたものね 私だって、無駄な殺しなんてしたくない。信じてもらえないかもしれないけど 人間を殺すとき、私は手が震えて、夜になるとうなされることもあるわ 魔族でも私は女。母性だってある。だから抵抗しなければ私は貴方に何もしない じゃあ、こうやったら信じてもらえるかしら…ほら、抱きしめてあげる。ぎゅううう ふふ、こうすると落ち着くの。それはきっと魔族も人間も同じ 勇者。もう少しこうさせて。私も魔族の幹部でずっと辛かったのよ