勇者と魔族の一夜
気が付いたかしら? ふふふ、ここはどこか…?
ここは魔族のアジト、そして私の部屋でもあるわ
貴方は私との戦いで敗れ、そのまま気を失ってしまった
ねえ勇者。自分の身体に何か変化がないかしら?
貴方の身体に少し細工をさせてもらったのよ
今の貴方は魔法も使えない。力も子供程度。普通の人間以下の身体能力しかないわ
元に戻せですって? ふふ、無理よ。もう私にもどうすることもできない
そんなに緊張しないで、構えたって貴方じゃもう私に勝てないわ
どんな拷問にも耐えるって顔してるわね。弱くなった貴方を痛めつける真似はしないわ
貴方は、魔族を誤解している。私達は人をいたぶるのが好きってわけじゃないのよ
戦いだって、出来ればしたくない。私達は魔族は住む世界が欲しいだけ
まあ、こんな話はどうでもいいわ。私達は勇者が脅威だった。そしてその力を封じた
もう貴方を無駄に痛めつける気はない。魔族とはいえ、感情はある人間と変わらないわ
勇者、楽にして。貴方が抵抗しなけれな、食事も与えるし生かしておくわよ
貴方の役目は終わったのよ。戦争は時期に終わる。人間の敗北と言う形で
ふふふ、だけど。人間を皆殺しなんてしないわよ
あれは人間側が勝手に作り上げた魔族のイメージでしょ。今は戦争中、誰かが死ぬのは当然
私だって何もなければ、食事もとるし、睡眠もとる、そうやって普通に暮らす
ねえ、勇者。もう終わったのよ。残念だけど貴方たちの負け
まだ警戒してるようね。そうね、さっきまで命のやりとりをしてたものね
私だって、無駄な殺しなんてしたくない。信じてもらえないかもしれないけど
人間を殺すとき、私は手が震えて、夜になるとうなされることもあるわ
魔族でも私は女。母性だってある。だから抵抗しなければ私は貴方に何もしない
じゃあ、こうやったら信じてもらえるかしら…ほら、抱きしめてあげる。ぎゅううう
ふふ、こうすると落ち着くの。それはきっと魔族も人間も同じ
勇者。もう少しこうさせて。私も魔族の幹部でずっと辛かったのよ