6.エピローグ
ここだよ。
うん。そう。
これが、転移装置。
まず、あそこにいる悪魔が、キミの記憶を処理するの。
魔王城にいた間の記憶を全部消して……それから、あの転移装置に入ってもらって、お城の近くまで送り返すよ。
キミは何者かに囚われて、しばらく監禁された。魔法による何らかの実験を受けて、記憶処理をしてから解放された……っていうのが筋書き。
秘密を吐いたことはバレないようにして、キミや他の兵士たちが悪者にならないようにするから、安心してね。
おっけー?
うん。じゃあ、準備ができたら、そこの椅子に座って。
記憶処理のために、いったん眠ってもらうことになるけど……すぐに終わるし、痛みはないから安心してね。
…………。
……はー。寂しくなるなぁ。
せっかく仲良くなれたのに~。
でも……キミだってお家に帰りたいよね……。
…………。
最後にぎゅ~~ってしていい?
うん♪ ありがと♪
ぎゅ~~~~……♪
……えへへ。元気でね。
またどこかで会えたら……そのときはよろしく。
うん。
じゃあね。
ばいばい。
* * *
…………。
……あ。起きた?
うん。おはよう。
えーっと……ここがどこか、分かる?
……そう。魔王城の牢屋。
あはは。やっぱりそーいう顔になるよね……。
えーっとね。実は……その。すごく言いづらいんだけど……
……兵士たちを解放するの、急に取り消しになったんだ……。
だから、記憶処理もしてないんだ。さっきのはただ、眠ってもらっただけ。
んーと。経緯を説明するとね……
魔王様、さっそく、お城に諜報部隊を向かわせて、ブレスレットを取り返しにいったらしいんだ。
で、確かに宝物庫はあって、中に入ることができたんだけど……
……ブレスレットが、なかったの。
でも、吐いた兵士が、嘘を言ったわけじゃないみたい。
なんでも、宝物庫は、お城の中に何か所もあって……。
兵士によって、別々の宝物庫を教えてたんじゃないか、っていうのが、諜報部隊の出した結論。
管理が厳重だよねえ……。
だから、「拷問中止は中止ー!」ってお達しが、急に来て……。
キミも、他の兵士たちも、また牢屋送りになってしまったのです……。
本当にごめんなさい!
アルマもさすがに酷いと思ったからさ、すぐ抗議しにいったよ?
解放されると思ったのに取り消しになるなんて、一番がっかりするよね……。
でも、やっぱり、解放できないって。ごめんね……。
その代わりと言ってはなんだけど、週に二日だけ、キミのお家に転移させてあげられることになったよ!
うん。土日だね。あ、祝日とかも振替で休めるようになるから安心して!
あと、魔王城の中に兵士たちの住む部屋を作って……定時になったら、そっちに帰れることにもなったの!
まあ、ほとんど牢屋で過ごしてもらうことにはなるんだけど……待遇に不満があったら、できるだけ改善するように上に掛け合うから!
だから、その……。
……また、アルマに拷問させてくれる?
…………。
……うん♪
それじゃ……。
明日も、張り切って拷問していくから♪
これからもよろしくね♪