1-1.『万引きに間違われてしまった場合』
ふん、ふん、ふーん♪
うん。晩御飯の材料、ぜんぶ揃ったー♪
初めて作る料理だけど……彼、これが好きって言ってたし。
レシピ通りに作れば、大失敗はしないよね……多分。
何事も挑戦、挑戦っ♪
それじゃ、レジ行こーっと……
……はい?
えっと……なんでしょうか?
店長さん? このスーパーの、ですか?
何か……?
えっ。あ、あの、ちょっと……
な、なんですか!? 急に!
ば、バッグの中身ですか!? どうして……!?
は、離してください……!
* * *
一体、どういうことですか。
お店の裏に連れてくるなんて……。
私、何か、しましたか……?
……バッグの中身?
ですから、意味が分かりません。
どうして、あなたに見せないといけないんですか?
あ……っ!
……え?
なんで……私のバッグの中に、リンゴが……?
こ、こんなの、知りません!
何かの間違いです! 私、盗ってません!
ちゃんと、確かめてください!
多分……何かの拍子に、バッグに入っちゃんたんだと思います。
万引きする気なんて、なかった……!
あ……っ。
な、なんで、写真、撮るんですか……!?
しょ、証拠……!?
ですから、私、何も……!
消してください……!
……一体、どういうつもりですか。
私のことを疑ってるなら……警察を呼べばいいじゃないですか……!
きゃっ!
い、一体、何を……
〝通報しないで欲しかったら〟、って……
な、何を言ってるんですか……っ!?