トラック2_お宅訪問
こんにちはー!
貴方が、私のご主人様だねっ?
私はレト! アニマルセラピストのレトだよっ!
今日は一日、よろしくねっ!
……どしたの?
おにーさん、電話したでしょ?
『アニマルセラピー・ノア』、ってお店。
レトはそこから来たんだよっ。
……え?
ワンちゃんはどこ、って……。
やーだなもうご主人様っ、目の前にいるじゃないっ。
レトが、そのアニマルセラピストさんだよっ。
この立派な垂れ耳と、素敵な尻尾が見えないのかいっ?
ふぅ〜む……何やら混乱と困惑の匂いが伝わってくるよ?
はっ、さてはご主人様……!
……すごーく、お疲れなんだねっ!?
本来ならレトのような美女を前に狂喜乱舞し庭駆け回るのが正常な反応のはず……!
これはかきゅーてき(可及的)速やかに、ご主人様を癒して差し上げなくっちゃ!
さあさあっ、玄関で立ち話もなんですし、とにかくお邪魔するよっ! 入って入ってっ!
おー……っ。
ここがご主人様のおうちかぁー。
ふっふーん、なかなかいいお部屋だねっ。
……あっ、ソファーがある!
座っていい? 座っていいっ?
……やったーっ!
……はふー……ふっかふかぁ……んっふっふー……。
……はぇ? ご主人様どーしたのっ?
そんな所に突っ立ってないでっ、隣隣っ! 遠慮しないでおいでっ!
……えへへっ、改めましてはじめましてこんにちはっ!
本日はー、『アニマルセラピー・ノア』のご利用、ありがとうございまっす!
アニマルセラピストのレトだよっ!
今日はご主人様のおうちで、レトがご主人様を癒してさしあげちゃうよ〜っ!
ご主人さまは~……。
すんすん、すんすんっ……。
うん、ちょっぴりお疲れ様みたいだねっ?
ひょっとすると、すこーしばかり寝不足気味なのではないかな?
……うん? 匂いでそんなことが分かるのかって?
も~っ、なに言ってるのご主人様ー!
そんなの分かるわけないでしょ~!
もしかしてご主人様は、いわゆる天然という奴なのかな?
これは、レトがしっかりしないとダメみたいだねぇ。
うんうん、任せといてっ。
ご主人様の疲れもストレスも、みーんなやっつけちゃうんだからっ!
レトおねーさんは有能なのだからして、大船に乗ったつもりでいるといいよっ!
なんせレトは、由緒正しい……。
……あっ、その前にっ!
レトの犬種当てクーイズ!!
突然ですが、ここでご主人様に問題ですっ!
レトはー、犬のアニマルセラピストですがー……犬といっても色々な種類があるよねっ。
では、レトはなんという犬でしょーか!!
ふっふっふー、ご主人さまに当てられるかなー?
レトおねーさんの、”くーる”で”びゅーてぃー”な立ち振る舞いからは、ちょーっと想像がつかないかも知れないなー!
しゅっとしてキリっとカッコいいドーベルマン? はたまた、牧羊犬としても大活躍、知性がウリのボーダーコリー?
さあご主人さまっ! 回答をどうぞっ!!
……え? ……ごーるでん……れとりばー……?
え、えぇぇえぇええええぇっ!? なっ、なんでっ!?
……正解、だけど……ど、どうして分かったのかなっ……?
レトのクールビューティな佇まいと、やたらめったら人懐っこいゴールデンレトリバーとでは、イメージにそうとうのギャップがあるはずなのに……。
まさかご主人様……えすぱー……?
……いや、別に、ゴールデンレトリバーであることがイヤなわけじゃないんだよ?
でもさ? たださ? そのさ? あのさ?
ちょっとだけど……ちょっとだけだけど……。
……ゴールデンレトリバーって、アホっぽい、って思われてるとこない?
う、うぅうぅー! その顔! やっぱりそう思ってるでしょー!
言っておくけど、レトもゴールデンレトリバーもおバカさんじゃないんだからねっ!
由緒正しきスコットランド生まれのお嬢様っ!
それも、あまり知られてない気がするけど……優秀な猟犬なんだからっ!
ただちょっとその……人懐っこすぎると言うか……若干テンションが高いと言うか……まかり間違っても番犬にはしちゃいけないタイプというだけでだね……。
と、とにかくっ! レトもゴールデンレトリバーも、アホの子じゃないのっ! 分かったっ?
……うむっ、分かればよろしいのだよっ!
まったく……ご主人様ってばまったくなんだから……!
ゴールデンレトリバーは、とっても賢くって優しさ溢れる、まさに人間にとって最良の友!
セラピードッグとしても真っ先に名前が挙がるくらい、愛情深~い犬種なんだからっ。
ご主人様も、レトおねーさんの癒し攻撃で、嫌ってほど癒されてしまうがいいよっ!
……さて! レトとゴールデンレトリバーの素晴らしさも伝わったところで、さっそくセラピーを始めようかっ。
さ、ご主人様! ん!
…………ん! ……んっ!
……もーっ、んっ、って言ってるでしょっ?
レトが、ん! って言ったら、ご主人さまはレトを撫でるのっ!
アニマルセラピーと言えば、動物をもふもふするのが一番だからねっ!
……ご主人様、ひょっとして初めて〜?
んもぉ~、しょうがないなあ~。
では、経験豊富なおねーさんがリードしてあげようっ!
まず、ご主人様がこっち向いて手を差し出します!
そして、レトがそこに、あごを乗っけます。
で、そのままあごの下をわしゃわしゃーって。
さあどーぞっ。
……はふぅ~……おおー、いいねぇ~。
その調子その調子……ほほぉー……。
いいよぉ~、そうしたらぁ、反対の手も使ってー、首回りも撫でてみようか~。
……ふおぉぉ……なかなかのお手前で……ご主人様、やりますなー……。
いいよ~、そんな感じ~、続けて続けて~……。
……はい、そしたら次はぁ、頭も撫でてみよーかー。
あ、でもお耳は触っちゃダメだからね! あと、あごをわしゃわしゃするのはこのままキープだよっ!
……はぁぁ~……うん、いいよいいよ~、その調子~……。
ご主人様、いいモフりのテクニックをお持ちですな……モフリシャンですな……。
はぁ、たまらぬ~……もっと撫でるが良いぞ〜……ふわぁぁ…………。
……ん、なぁにご主人様? なんだかとてつもなく腑に落ちないものを見たような顔をして……。
遠慮せず、じゃんじゃんレトを撫でていいんだよ?
……え? 逆じゃないのか、って……?
ふー……。やれやれ、わかってないなぁご主人さま。
いいかい? 緊張やリラックスと言うものは、相手にも伝わるものなのだよ。
もしもレトがつんと澄まして、行儀よくお座りしていたら、ご主人様だって落ち着かないでしょ?
特にレトのようなキレイなおねーさんはだね、その美しさで他人を緊張させてしまうという、悲しい宿命を背負っているのだよ……。
つまりレトは、あ・え・て! こうして緩み切った姿を晒しているのだっ!
自ら脱力して油断し切っ状態になることで、自然と相手の緊張も解けるという……これはそういうアレなのだよ、あれあれ、そう、高等テクニック!
これはこれで大変なんだよ?
なんせレトは、根がクールで真面目だからね~。わざと気を緩めるのも楽ではないのだ。
分かったかな? 分かったなら、ありがたくレトの頭を撫でるがよい。そして和むがよい。
ということで……んっ。
…………おぉぉ、いいねいいね~……ツボを分かってきたね~……。
はあぁ、そこそこそこ……はにゃぁ~……。
……っと、いけないいけないっ。うっかりヨダレをたらすところだったっ。
うぬぬぬ、ご主人様め。
いくら無防備を演じているとはいえ、こうもたやすくレトを手懐けるとは……。
さては見た目によらず、なかなかのプレイボーイですな?
こわいこわい。レトもガールハントされないように気をつけなければ。
なにせレトは、誇り高き猟犬の血統。
古くはスコットランドの貴族に……
……あん、ご主人様そこじゃないー、もうちょっと下、うん、そうそう、そこそこ……。
……えー、古くはスコットランドの貴族によって産み出され、ハンターたちの最も信頼できるパートナーとしてだね。
忠実に、俊敏に、貴族たちの狩りに付き従った、名誉ある種族。
それが逆にハントされているようでは、ご先祖様に申し訳が……はぁぁぁん、しょこはだめぇ、くしゅぐったいからぁ~。
……うぅんっ、えー、申し訳が立たぬのですよ。
だからぁ、レトはいくらセラピーとは言え、簡単には……ああっ、そこそこそこそこっ、そこはいいよー、そこは覚えてね~……。
はぁぁ~、えーっと……なんだったっけ? ……ああ、そうそう、そう簡単に、ご主人様にデレたりしませんのでっ。
それにしても……ぬふぅ~ん……。
……はぁ~、よきよき……。本当になかなかやるねぇ、ご主人様……。
はーあ……たまりませんなぁ……はにゃぁん……♡
……おっと、いけないいけないっ。
あまりの心地よさに、子猫のような鳴き声をあげてしまう所だったよっ。
レトリバーの誇りにかけて、そんな声を出すわけにはいかないからねっ。
……え? さっき出してたって?
も~っ、そんなわけないでしょっ!
見たまえよっ、レトの警察犬のような鋭い眼差しっ、こんなくーるびゅーてぃーなおねーさんが、猫みたいな声で鳴く事などあり得るだろうか? いーやないっ!
そんなこと言うなら、もう一度なでなでしてみるといいよっ!
ぜーったいに、そんな声なんて出さないんだからっ! んっ!
……あっ♡ あーっ、そこそこっ♡ あー、そこいいよぉ~♡ はにゃぁ~ん……♡
……はっ!
しまったっ!? あまりのモフテクにイヌ科の誇りを見失ってしまったっ!?
ぐぬぬぬ……ご主人様めぇ~……。
……あっ、ご主人様いま笑ったーっ! レトのこと笑ったでしょ~っ!
もーっ! レトをバカにすると、怒っちゃうんだからねっ? がるる~、って!
むうう~……。
……にへっ、でも良かった。
ご主人様、疲れた顔してたから。笑ってくれて嬉しいっ。
ご主人様、笑ってる方がいいよ、ぜーったいっ! んふふっ。
……あっ、そうっ! そうなのだよっ!
ご主人様が笑ってくれるように~、レトはあえて! あえてだね! チョロい女を演じたのだよっ。
わかるかなぁ~、この気遣いっ。
共感性が高いと言われるゴールデンレトリバーの、本領発揮だよねっ。
空気が読めるって言うか? 気配りが凄いって言うか?
いやぁ~、やっぱ無意識に出ちゃうなぁ~、レトのデキる女オーラはっ。滲み出ちゃうなぁ~っ。
んっふふ~ん♡
……あーっ、またレトのこと笑ってるーっ!
まったくもう、ご主人様ってばぁ!
予告通り~っ、レトは怒っちゃうんだからねーっ?
がるるる~っ!
……えいっ♡
ふふーん、どうだい? レトおねーさんに、お膝の上に乗っかられてしまったねぇ?
言ったはずだよ? レトは猟犬の末裔……目にも止まらぬ稲妻のごとき身のこなしはまさに疾風のごとし……。
そしてたとえご主人様がもがいたとしても、こうしてレトの太ももでご主人様の足を押さえつけてしまえば脱出不可能……!
スピードとパワー、そしてそれらを操るレトの圧倒的知性を前に絶望するが良いよ……!
……って、あれ? どしたのご主人様、黙りこんじゃって?
……あーっ♡ さーてーは、ご主人様ってばぁ〜……。
レトおねーさんのぉ〜……。
あまりの迫力に、言葉も出ないようだねっ!
まあそれも無理なからぬこと……爪も牙も持たぬ人間など、猟犬であるレトにとっては3時のおやつも同然。
しかーし! 容赦はしないからねっ?
これは、レトのことを笑ったバツなのだよっ!
由緒正しき猟犬の力、思い知るがいいっ! ……こちょこちょこちょ~っ♡
はっはー! どうだどうだっ! 参ったかなー? んー? 参ったの?
でも、まだまだやめないぞーっ♡ それ、それ、それっ♡
あははっ、たーのしーい! こーちょこちょこちょこちょ~っ! わぉ~んっ♡
はぁ~……ふうっ、満喫した。
えへ~、楽しいねぇ、ご主人様♡
レト、ご主人様とは相性が抜群かもしれないっ。
ご主人様は、どう? レトと居て、楽しいと思ってくれてる?
……ほんと? ほんとにほんとっ?
……ふっふふ~んっ、でしょうでしょうっ?
レトのようなおねーさんと、ごーじゃすでらぐじゅありーな大人の時間を過ごしているわけだからね〜っ。
レトもご主人様のこと、だーい好きだよっ♡ ぎゅ~うっ♡
あははっ、ほーら、逃げない逃げない♡
ご主人様の力で逃げられるとは思わないことだねっ。
レトにとってこんなのは、ポストから朝刊を取って来るのと同じぐらい朝飯前なのだっ。
はぁ~……♡ すぅーっ……。
……んっ?
あっ、これ……すんすんっ、すんすんっ……。
はぁ、やっぱり。ご主人様の耳のとこ、いー匂いする。
すんすんっ、すんすんっ……ふぅぅ……えへへー、レト、この匂い好きー。
なーんか落ち着くっていうかー、すんすんっ……はぁぁー、フェロモンなのかなー。すっごい安心する。
すんすんっ、すんすんっ。はぁぁー……。
……え? なーにご主人様? ……お耳嗅がれるとくすぐったいの?
…………ぬへへー。
そっかそっかぁ~、くしゅぐったいのかぁ~っ。
ご主人様ぁ~、お耳がビンカンなのだね~っ。ぬふふふふーっ。
……ん、どしたのご主人様?
悪巧みなんてしてないしてないっ。
レト、ご主人様を癒す以外のコトなんて、なーんにも考えてないんだからっ!
……で・もぉ~。
ご主人様はどーも、レトの知性を不当に低く評価しているフシがあるからなー?
もちろんレトは、嫌がるご主人様のお耳を嗅ぎ続けるような、そんなアホの子ではないのだけど。しかしゴールデンレトリバーは共感性の高い動物だからして?
ご主人様がレトをアホの子だと思っているのであれば、レトもお望み通り、そう振る舞っちゃおうかな、って言うか?
ふふふふふー、それがイヤなのであれば、『レトさんは世界一かしこいです』って唱えるがよいよ? さん、はいっ。
…………うっわー。
びっくりするぐらい心がこもってないよご主人さまー?
レト、ちょっぴり傷ついちゃったなー。
この心の傷を癒すには、よきフラグレンスを大量に摂取するしかないねー?
……と、ゆーことでぇ~。いったっだっきまぁ~すっ。
すんすん、すんすんっ、はぁ~っ、すんすんっ、すんすんっ、はぁぁ~っ。
あぁ~、たまんにゃい、この匂い……すんすんすんっ、はぁっ、ものすご~く落ち着くよぉ~っ……。
ほぉらぁ、逃げちゃダメ~。すんすんすんすんすんすんっ、はぁぁ……。
なんだろ~、例えるならぁ、子犬時代に包まれていた毛布の匂い?
こう、ああ自分の縄張りだなぁ~、って言うかぁ~……。
すんすんっ、はぁっ、すんすんっ、はぁぁっ、すんすんすんっ、はぁぁ~っ。
……ご主人さまのお耳の匂い、いいですなぁ~……。
はぁ、たまんない……はぁ、むっ。
……って、わあっ!?
ど、どしたのご主人様っ? すごい声出してっ。
もしかして痛かったっ?
ごめんねっ? 甘噛みのつもりだったんだけど……。
そのっ、ご主人様のお耳、ホントにすっごくいい匂いで、それでついっ……。
あの、あの、私っ……。
……ふえ? 大丈夫? くすぐったかっただけ?
……ほんと? ほんとにほんと?
レトに気を使ってない? ほんとに大丈夫?
……はぁ、よかったぁ……。
でも反省しました。いきなり人のお耳にかぶりつくのは良くないことだと思います。
おねーさんにあるまじき、非おねーさん的行為。レトは猛省の意を表明いたします。
ごめんねご主人様、やじゃなかった?
……やじゃない? ほんと? 絶対? まったく全然これっぽっちも嫌じゃなかった?
そかそか。うんうん。
……じゃあ、ちょっとだけ。
……かまないから、ちょっとだけ、ぺろぺろしていい?
やならいい、ご主人様がやならレトもやだから。
でも、ご主人様がやじゃないならちょっとだけしたい。
……だめ?
……いいのっ? ほんとっ?
……にへっ。ご主人様、やっぱり大好きっ♡
じゃあちょっとだけ、ちょーっとだけ、ぺろぺろするねっ? やだったらすぐ教えてね?
はぁむっ……れちゅっ……んむぅ、れるれる……んー、ふっ……。
はぁれちゅ、れろぉっ……んちゅっ……じゅるるっ……はぁっ、はぁっ。
はふっ、んむ、んーうっ、れるれるれるれるれるっ……じゅるる……れちゅっ、れちゅ、れろぉっ……じゅるるるっ……。
んはぁっ……はふーっ、んーっ、れるれるれるれるれろぉっ……じゅるるっ、れるぅ、んちゅっ。れるれるれる、じゅうるるるるっ……。
……はぁぁっ…………はふーっ……。
ご主人様のお耳、おいしー……♡
……ってぇ、いけないいけないっ! 思わず夢中になってしまったよ!
まったく、ご主人様は本当に、レトを油断させる天才だねっ!
あーあっ、お耳がこんなに濡れちゃって。
乾かさなくっちゃねー。
すぅーっ……ふうーっ……ふぅーっ……。
……あぁんっ、動いちゃダーメっ、ご主人様っ。
すぐ乾かすから、いい子にするのっ。
すぅー……ふーっ、ふーっ、ふぅぅぅぅーっ……。
……はい、オッケーっ。乾いたよっ、ご主人様っ。
……おおっ? ご主人様、なんだかものすごーく脱力してる感じ?
えっへへー、さっすがレト。
自分の欲望に従っているように見せつつも、しっかりご主人様をリラックスさせちゃうんだからっ。
レトのおねーさんぢからが留まる所を知らないねっ。
それじゃあお名残惜しいけど、一旦、離れるね?
……はーいっ、お久しぶりっ、ご主人様っ!
レトの可愛いお顔が見えちゃいましたよーっ。嬉しい? 照れる? 惚れる?
……ってぇ、ちょっとちょっとっ、ホントに赤くならないでよーっ。
いっくらレトが可愛いのは事実だとは言え、そんなに照れられたら、こっちまで恥ずかしいじゃないっ。
もうっ。
ぎゅーうっ。
えへへ、今度はこーっちっ。
はふー……すぅっ…………。
……あ、こっちのお耳もいい匂いー。すんすんっ、すんすんっ……はぁぁー……。
……ねーねーご主人様? こっちのお耳も、ぺろぺろしていい?
さっきみたいにぃ、夢中になってやりすぎたりしないからーっ。ねっ?
……うんうん、ほんとほんとっ。レトの鋼の自制心を、舐めてはいけないよっ?
先ほどは不覚を取ったけど、なにとぞ汚名挽回! ……いや、返上? 挽回……? えー、名誉復活の機会を!
……いいのっ? にへへ、やったぁ~っ。
じゃ~あ、ちょっとだけ、ちょっとだけ……。
れぇるっ……ぴちゃっ……れる、んー、れるれるれる……。
ふぅ、ん……ちゅっ。れぇる、れるれる……。
んっ……はぁ~い、おっしまいっ。
ご馳走様、ご主人様っ。ありがとっ。
……え? もういいのかって?
あはは……そりゃ、もっとぺろぺろしたいのは山々だけど……またやりすぎちゃったら困るでしょ?
ご主人様の匂いって、ほんとにレトを誘惑するんだもんっ。
レトがここまで惹きつけられるのは、受付のおねーさんが投げるフリスビーぐらいのものだよ?
だから、これぐらいでガマンガマン。レトはおねーさんだから待ても伏せもできるのだ。
そもそも今日は、レトがご主人様を癒してあげる日なのだからねっ。
……それに、もしやりすぎて嫌われちゃったら、絶対やだし。
……ふえ? なぁに、ご主人様?
……え? もっと舐めてもいい……!?
ほ、ほんとっ? ほんとっ? 絶対怒らないっ?
そんなこと言ったらレト、ぜーったいたくさんぺろぺろしちゃうよっ?
いいのっ? いいのっ?
……えっへへーっ、嬉しいっ。ありがとっ、ご主人様っ。
ぎゅーうっ!
……えー、ではではでは、お言葉に甘えてぇ~。
はぁむ……んちゅっ……んむぅ、ちゅるるるるっ……んーふっ……。
れちゅ……れろぉ、んちゅっ……じゅるるるっ……んはぁっ、はぁっ。
はぁふっ、んーっ、れるれるれるれるれるっ……じゅるる……れちゅっ、れちゅ、れろぉっ……じゅるるるっ……。
はぁっ……おいし……。
はふーっ、んっ、れるるれるれろぉっ……じゅるるっ、れるぅ、じゅちゅっ。れるれるれる、じゅうるるるるっ……。
はぁむっ……んー……れるれるれるれるれるれるれるれろぉ~っ……ずじゅるるっ、じゅるるるるるっ、じゅうるるるるるるっ……。
……ぷはぁっ……はぁー……はぁー……はぁーっ……。
はぁぁああああーっ……美味しかったぁ~。
えへへー、ごちそーさまっ、ご主人様―っ。
じゃあ、ふーふーして乾かすねっ。
ふーっ、ふーっ……。
ほーらっ、逃げない逃げないっ。
ふーっ、ふーっ……すぅぅー……ふぅぅぅぅうううーっ……。
ふぅぅぅうううーっ……ふぅぅううううーっ…………すぅーっ、ふぅうううううううーっ。
……はいっ、でーきたっ。
はぁ、堪能した堪能した。
おねーさんは大満足なのだよっ。にへへへへへー。
……って! ご主人さまっ?
ど、ど、どーしたのっ? なんか、すっごい顔になっちゃってるんだけどっ?
……そ、そんなにくすぐったかったっ?
なら、ムリしなくて良かったのにー。
……レトのために、ガマンしてくれたの?
もう……今日は、レトがご主人様を癒してあげる日なのに。
そんなことされたらレト……嬉しくなっちゃうでしょ~?
ぎゅ~うっ。
まったく……ご主人様ってばまったくまったくなんだから。
なかなかおねーさんキラーなご主人様だね……。
お礼にぃ、レトおねーさんがいっぱいいっぱい……。
サービスしてあげちゃうからっ。
期待しているがいいよ、ご主人様? ふっふっふー♡