Track 401

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4.1 言葉責め

4.1 「言葉責め」 【優衣】 「……ビンビン」  小さく呟いた。  意気込んでいたものの、優衣は大きく隆起した逸物を見て軽く尻込  みしていた。  少し躊躇いがちに手を伸ばし、根元から掬うように優しく握る。  たったそれだけ。  それだけでも俺は腰が浮きそうになる。  必死にそれを抑え込むと、代わりにと逸物が何度も痙攣した。  それを優衣が感じ取り、息を呑む。  そして、ふっと微笑んだ。  こんな単純なものに怖気づいていた自分を笑うような感じ。  あと、少し俺を馬鹿にするような感じ。 【優衣】 「私に握ってもらえるだけで嬉しいのー? 兄さんってば単純」 【優衣】 「……これで、動かしたら……どうなるのかしら……」  握られている箇所がじんわりとした痺れに包まれる。  ……早く。  早くしてくれ。 【優衣】 「……くすっ」 【優衣】 「えい」  可愛らしい掛け声と共に手が動かされる。 【兄】 「ぅぐっ……!」  慌てて手を押さえる。  腰は好き勝手に跳ね、逸物は歓喜に湧く。 【優衣】 「ぅあー……」  なんとも言えない声を出す優衣。 【優衣】 「腰ごとビクビク震わせて……そんなに気持ちいいの?  妹の手でしこしこされるのが、そんなに堪らない?」  いま口を開けば情けない声と共になる。  逸物をわざと大きく震わせて、優衣に伝える。 【優衣】 「へぇ……そうなの……」 【優衣】 「……妹におちんぽ擦られて、精液を吐き出させてもらうのが……  そんなに気持ちいいんだぁ」  優衣の俺を小馬鹿にするいつもの調子。 【優衣】 「くすっ……ふぅ~ん? こんな不慣れな動きでもいいの……。  拙くても、兄さんは興奮する……ううん、拙いからこそ、かしら?」 【優衣】 「妹の初めてを、兄である自分で行わせたっていう独占欲が……兄さ  んのここを昂らせてる理由」 【優衣】 「あ~ぁ、私ってば……兄さんなんかのチンポを触ってるのねー。  兄さんのチンポで……私の手が穢されちゃった」  大袈裟に悲観そうなことを言う。  本気で言ってるわけじゃない、からかっている口調だ。  それにしても、今日は一段と言葉にトゲがある。  いつもは怖気づいていたり、不安そうな顔をしているというのに。 【優衣】 「くすくすっ……。……でーも、まだまだよね?」  手の平をゆっくりと圧縮する。 【優衣】 「これから、兄さんは精液をぴゅっぴゅぅってしちゃう」 【優衣】 「我慢できずにお漏らししちゃう」 【優衣】 「ううん、我慢なんてする気はない。だって兄さんは……私の手を穢  したいんだもの」 【優衣】 「今よりももっと……もっと」 【優衣】 「だから、精液をわざと吐き出して、妹の私の手を汚したいのよね?」 【優衣】 「……ホント、兄さんってば……サイっテー」  普段から、優衣は俺を小馬鹿回しにするところがある。  軽く貶し、見下し、呆れた言動を取る。  別にそこに厭味は感じない。  今もそう。優衣は俺をからかうように言っている。  本心からではない。  それでも、俺は心臓を鷲掴みされたような苦しさを覚えていた。  『優衣を穢している』――  兄の自分が、守るべき妹を穢している……その事実を優衣から直接、  口にされた。  罪悪感。  後悔。  それらから来る度し難い苦しさに反して、俺は……  優衣に擦られている逸物をそれまで以上にビクビクと跳ねさせてい  た。 【優衣】 「ふふっ。くすくすっ」 【優衣】 「どうしたの? 否定しないの? 怒らないの? 認めちゃうの?」  否定するだけなら簡単だ。  口から出まかせを言えばいい。  しかし、基本的に俺は口よりも体が正直な人間だ。  優衣による現実の指摘を受けて、俺は罪悪感からくる背徳感に体を  蝕まれていた。  背筋がぞくぞくと震え、優衣の手に導かれるまま腰を突きだす。 【優衣】 「ふふっ、どうしようとムダ。……だって兄さんは、私に心の内を代  弁してもらってから、嬉しそうにビクビク震わせてるんだもの」 【優衣】 「ウソなんて言っちゃやーだ」  優衣に嘘は通じない。  かと言って、否定しないのも躊躇われた。  だが、結局のところ俺は……嘘を吐いてバレるのを恐れて口を閉ざ  した。  無言のまま否定も肯定もしないほうがマシだと思った。  そんな俺の態度に、優衣はテンポを変えずに扱きながら顔を寄せて  くる。 【優衣】 「……私の声が興奮するって言ってたものね?」 【優衣】 「罵られても、馬鹿にされても……いじられても。私の言うことなら  なんでも気持ちいい、興奮しちゃうん……でしょ?」  そ、そこまで変態じゃ――! 【優衣】 「ほら、手の中で暴れ回ってる……」 【兄】 「ぐ……っ!」 【優衣】 「私が囁くだけで、兄さんはぞくぞくしちゃう。  それでもって、妹の手を使って性欲の処理をしてもらってるの」 【優衣】 「イケないことよね? だって、性処理は自分で行わないと駄目なん  だもの。人に……ましや妹に行わせるなんて……誰にも言えない」 【優衣】 「彼女がいれば、こういうこともしてもらえるんだろうけど……  兄さんにはいないものね」 【優衣】 「くすっ、ふふふっ。早くできればいいわね~……兄さん?」 【兄】 「うる、さい……っ!」  俺が声を潜めながら反論しても、優衣は顔色変えずに顔を見つめて  くる。  じっ……、と。  感慨深げに、だ。  視線が吸い込まれそうになるものの、指の輪っかに亀頭を弾かれて  意識が飛ぶ。 【優衣】 「……兄さんのそういうところ」  ポツリと呟く。 【優衣】 「口で強く否定して、でも見え見えな態度のところ……」 【優衣】 「ずっと暮らしてきた家族だから兄さんの伝えようとしてることはわ  かるけど、他の女性にはどうかしら?」 【優衣】 「そういうちょっと無愛想なところが、兄さんがずーっと独り身だっ  た所以じゃないの?」  突然、一体なんの話だ……? 【優衣】 「……(溜息)。ちょっと甘やかし過ぎちゃったのかしらね……」  甘やかす?  俺はお前に育てられた記憶などないぞ! 【優衣】 「もう、仕方ないわねー……」  手の動きが穏やかになる。  抱いた腕をぎゅっと寄せ、胸に頬を擦り合わせる。  さっきまでと打って変わって甘える調子だ。  なんだろう。 【優衣】 「可哀想だから、私が代わりにしてあげる」  少し演技がかっていた。 【優衣】 「兄さんに彼女ができるまで……私が兄さんの要求を解消してあげる」 【優衣】 「……感謝してよね? 妹にお手伝いをさせる変態にーさん」  それはどういう……?  口を開く前に、逸物への奉仕が再開される。  俺はそれだけで出掛かった言葉を簡単に飲み込んでしまう。  それほど、他人による……優衣による奉仕は俺を魅了させていた。 【優衣】 「ほら、どこをどうすれば満足できる?  兄さんの好きなところ……全部私に教えて?」  口で説明すれば、俺が望む最高峰の快楽を与えてくれるのだろう。  しかし、これ以上特に望むものはない。  普通に極上の逸楽を味わっている最中だ。 【優衣】 「……んふふ。  こう……すれば、っ……」  中指と親指で作られた輪を亀頭に這わせてクルクルと回転される。 【兄】 「ぁ……っ、あ……!」  腰が抜けてしまいそうになる。  まさか、こんな技があるとは……!  俺の正直な反応に優衣は喉を鳴らす。 【優衣】 「……♪ ……うん、気持ちいいわね。おちんちん気持ちいいわね。  妹にくちゅくちゅってされて、おちんぽ……たっくさん悦んでる」  甘やかすような声色。 【優衣】 「……しょうがないわよ。自分の手じゃなくて、妹の手でしてもらっ  てるんだもの……ね」  自分のものとは明らかに違う繊細で華奢な指。  想定外の動きをする優衣の手。  腕を抱かれ、押し付けられた胸の感触。  吐息。  声。  妹にしてもらうということは、あまりにも大きすぎる快感で。  次第に脳が痺れるくらいに悦楽に支配されていた。 【優衣】 「こんなに大きくさせて……強く握ってもビクともしないくらい硬く  て、ビンビンに反り返らせてる」 【優衣】 「興奮して興奮して、どうしようもないくらい興奮して……快感に蕩  けきってるって……簡単にわかる」 【優衣】 「……兄さんが私に興奮してるって、すぐに……わかっちゃうもの」  嬉しそうに微笑む。  淫靡な笑みだ。  優衣とは思えない、俺の知らない女の色香。  堪らない。  息が荒くなり、絶頂を回避しながら下腹部をへこませたりして腰を  くねらせる俺の様子を見て、優衣は顔を見上げた。 【優衣】 「……いいわよ。早く見せて? 兄さんが妹にお手伝いされて、射精  まで導かれちゃうトコ、見せて?」 【優衣】 「ほらっ、くすくすっ。私の声に合わせて……しゃせーしましょー?」 【優衣】 「ほら、っ……ぴゅっ♪ ぴゅっ♪ ぴゅぅっ♪」  掛け声と共に動かさせる手。  射精を連想する刺激に、奥で疼いていた精が促される。 【兄】 「あっ――!!」  びゅっ! ぴゅるるっ! ビューッ、ビュッ、ビュッ!! 【優衣】 「っ、ぁっ♪ ぴゅ、ぴゅ♪ ぴゅく、ぴゅ、どぴゅ、どぴゅーっ♪」  深夜、親に聞こえてしまうかもという懸念も払拭してしまうほどの  快感。  何も考えられずに声を上げて精液を撒く。  射精に合わせて優衣が声を上げ、手を動かす。  竿から耳からと射精を色濃く連想させられて、何度も精を吐き出す。  脚が震えるほどの快感。  いつまでも続く気がした。 【優衣】 「ぁ…………くすっ。……ぴゅく、ぴゅくぅー。  ……ぴゅっ、ぴゅっ♪」  おまけとばかりに手を動かされ、だらしなく残り滓を吐出する。  幸せという一言に尽きていた。  こんな快感が、こんな幸福感の溢れる射精が今まであっただろうか。  骨の髄までしゃぶりつくされたにも関わらず、ゆらゆらと幸せな心  地で宙を漂っている気分。  ……妹の手コキ、最高。 【優衣】 「わぁ~……。くすっ、たくさん出たね……おにーちゃん?」 【兄】 「え……」  なんだ、いまのは。  なにを言った。 【優衣】 「……くす」 【優衣】 「くすくすっ」  あれ……? 【優衣】 「……兄さん」 【優衣】 「兄さん?」 【兄】 「あ……あ……?」 【優衣】 「どうしたの? ぼうっとして」 【兄】 「いや、その……気持ちよくて」 【優衣】 「ふぅん? ……確かに、凄い量が出たものね。ほら……こんなに」  優衣が指を動かすと、ぶちゅぐちゅと音が鳴った。  顎を引いてみると、腹やら胸やらに飛散していた。  優衣は大丈夫だろうか。  勢いよく飛ばしているときは、大方、優衣まで被害を及ばしている  が。 【優衣】 「……私に射精させられるのが、そんなに気持ちよかったんだ?」  さっきも言っただろうに。何度言わせるつもりだ。  二度も答えるつもりはない。 【優衣】 「……仕方ないわねー」  何も仕方なくなさそうな声。 【優衣】 「冗談のつもりだったけど……。兄さんに彼女ができるまでは、……  私が代わりにしてあげるわ」 【優衣】 「……所謂、代替彼女。みたいな感じで」 【兄】 「……大体彼女?」  大体、っていうことはほとんど彼女ってことか。  ……話の流れ的に可笑しい。きっと違うニュアンスの漢字だろう。 【優衣】 「……ていうことで」  話を無理やり続けたいようだ。 【優衣】 「またしたくなったら……遠慮なく言ってね。……兄さん」 【兄】 「あ、あぁ」  俺は取りあえず返事をするしかなかった。

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