Track 701

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7.1初めての

7.1 「初めての……」  ベッドに腰を掛けると、手を引かれた優衣は促されるように床に座  る。  まるで借りてきた猫だ。  別に、俺のモノを見るのは初めてじゃないんだ。生娘のような反応  を示すのはおかしい。 【優衣】 「電気は消さなくてもいい?」  思わず笑ってしまう。 【兄】 「お前から訊くのか」 【優衣】 「だって、恥ずかしい思いをするのは兄さんのほうでしょ?  明るい場所で見せるのも……初めてでしょうし」 【優衣】 「……兄さんが、羞恥心を興奮剤にしているのは知っているけども、  一応、確認」  なるほど、明るい場所だからか。 【兄】 「緊張してるのか?」 【優衣】 「え……?」  思いもよらない言葉だったのだろう、吐息みたいな気の抜けた言葉  が出た。 【兄】 「明るい場所でするの、初めてだろう?」 【優衣】 「す……る……?」  見る見るうちに赤面する。 【優衣】 「あ、ぁ。ち、違うっ! 今日は、匂いを嗅ぐ……だけ。それだけ」 【兄】 「そうなのか?」 【優衣】 「そうよ。  ……でも、確かに緊張はしてる」 【優衣】 「明るい場所で……見ているところを見られるの……。  は、ははは……どういう顔をすればいいのかちょっとわからない」  まるで初めての夜のときのよう。  不安がって、自信なさげに、幼い少女のような態度で床に座ってい  る優衣は小さく見えた。 【優衣】 「じゃあ……脱がすから」 【兄】 「……あぁ」  手が伸びてくる。  恐る恐るといったようすで、何度も躊躇うように止まる手は見様に  よっては震えているようにも見えた。  細かい言葉の掛け合いはしない。  指が腰紐に引っ掛けられたタイミングで、腰を浮かせる。  部屋中が白熱灯で照らされた中で優衣にズボンをずらされるのは、  官能的な雰囲気を醸し出す。  あの夜、初めて優衣に曝け出したときよりも、その一刻一刻が長く  感じた。  ずるりとズボンが下りると、優衣が小さく声を上げた。  逸物にも冷たい空気に晒された感覚がある。  逸物が見えたことで一度止まっていた手が再び動き出し、全貌が露  出するラインまで下げられる。 【優衣】 「……小さい」 【兄】 「そりゃ……な」 【優衣】 「下を向いてるのね。これが普段の姿?」  案の定、好奇心旺盛な優衣は質問攻めを行う。 【兄】 「そういうこと」 【優衣】 「ふうん……保健の教科書に乗ってるイラストと同じね」  参考が教科書っていうのが可愛らしい。 【優衣】 「……」  じっと見つめている。  まだ力を注がれていないジュニアは、その視線に応えようにもまだ  応えられない。  少しだけ跳ねさせることはできるが……あまり感動はないだろう。  しばらくの間、じっと見続けていた優衣はおもむろに手を伸ばして  くる。 【優衣】 「柔らかい……」  ぷにぷにと指先で弄ぶ。 【優衣】 「まだ興奮してないんだ?」 【兄】 「“まだ”て」 【優衣】 「あ。ぃぃ、いまのは、言葉の……ぁゃ」  今のを言葉の綾と捉えるのは無理があるだろう。  それも優衣はわかっているから、語気が弱いのかもしれない。 【優衣】 「……興奮しなくていいから」  おどおどした小さい声。  ここで不躾に言葉の意味について追及したら泣いてしまうかもしれ  ない。  取りあえずはスルーしておこう。 【優衣】 「……じゃあ」  優衣の顔が寄る。  呼吸音。 【優衣】 「っ…………ふはぁぁ……」  吐いた息が逸物を包む。  優衣の体内の一部だったものが俺へと降りかけられる。 【優衣】 「……におい……兄さんの……、これが……。  すぅぅ…………はぁぁ……」  俺の知らない、か弱い少女がそこにいた。  何か、そんな優衣を前にすると……自分の男としての強さを見せた  くなってくる。  そう思った途端、体内を循環する血液の流れが変わった。  優衣の指を押し返すように、ドクンドクンと脈動が強くなる。 【優衣】 「あ、ちょ、ちょっと」 【優衣】 「どうしておっきくさせちゃうのよぉ……っ」 【兄】 「あー……」 【兄】 「勝手になった」 【優衣】 「勝手にとか、絶対嘘だ……」 【優衣】 「んもう……。変な気、起こしちゃダメだから……ね?」  それは無理があると思いませんかね、妹よ。  こんなに明るい視界の中で、己の逸物に優衣が顔を寄せてるんだ。  童貞には刺激が強すぎます。 【優衣】 「すぅ…………はぁぁ……。……この匂い……兄さんの匂いだ。  いつもの、嗅ぎ慣れた兄さんの……すぅぅ……」 【優衣】 「っ……ふはぁぁ……。……でも、違う……いつもとは違う……。  この匂いは……兄さんのペニスの匂いは……」 【優衣】 「すぅぅ……はぁ……ぁ……、ん……すぅぅ……フ、はあぁ……。  ふぁ……はぁ……ぁ……」  しっかり者の妹が瓦解していく。  ペニスの匂いに当てられて表情がトロンとしている。  そんな優衣の前で怒張を放置されては、お預けを食らわされた気分  になるわけで。 【兄】 「そろそろ……」  逸物に向けて、優衣の肩をそっと引く。 【優衣】 「だめっ。もうちょっと……もうちょっとだけ」  おもちゃを奪われるような拒絶。  そうじゃなくて、もう我慢できないって意味なんですけどね……。  反り返った逸物の根元を親指で押し、曝け出された裏筋に鼻を寄せ  る。  親指で精道を外側から押され、性感を覚える。  ぞくぞくとした痺れが下半身に広がり、ビクビクとした痙攣を誘う。  根元に起こる軽い動きは先端では大きな動きになり、亀頭は前後に  大きく動き、さもすれば優衣の唇に触れてしまいそうだ。  その光景にまた一段と大きく逸物を震わせてしまうが、根元を押さ  えた親指のせいでどうしても唇には届かない。  吐息はこんなにも体温を感じられるほど近いというのに。  折角、目を瞑って匂いに浸って周囲の状況に散漫になっているとこ  ろだというのに。  優衣の手だけではなく、唇も味わえるかもしれないというのに。  もどかしさだけが募る。 【優衣】 「っ、はぁぁ…………はぁ……」  一呼吸ごとにふやけた顔になっていく。  閉じられた瞳は開くたびに潤んで見えた。 【優衣】 「はぁぁ……すぅ…………っ、ふぁ、ぁ……」  熱っぽい息はどんどん色を増していく。  一呼吸にかかる所要時間は深呼吸と同じ。  異様な雰囲気に、俺は手を伸ばす。  さらりと髪を撫でる。  触れた瞬間にぴくりと動いたが、拒絶はしない。  艶やかな髪質。  さらさらと指の間を抜けていく。  明らかに男性とは違う、女性特有の質感だ。  そのまま頬に触れて、きめ細やかな肌を撫でる。  少し火照ってる感じを受けた。  もみ上げをかき上げながら耳元に触れてみる。  優衣は何も言ってこない。  気付いたときには、優衣の呼吸が変わっていた。  匂いを嗅ぐ鼻呼吸ではなく、熱っぽい口呼吸。  まるで、発情しているように見えて…… 【優衣】 「……兄さん……」  潤んだ目で見つめられ、逸物を優衣の手の中でびくりと震わせた。  温かい吐息が亀頭にかけられ、先走りが鈴口から垂れるのが見えた  ……。  ――……が、それは優衣の唇に覆い隠される。 【優衣】 「……ぁぅむ……」 【兄】 「ぅっ……あ」  まさかだった。  期待はしていたが、本当にされるとは思っていなかった。 【優衣】 「んんン……ちゅ、ちゅッ……ちゅぷ、ぅ……にいは、ン……  ……ちゅッ……ちゅぅぅ……っ」  唇の奥から唾液が染み出してきて、亀頭に塗り込まれる。  鈴口に被せられた唇が狭まり、先走りに吸い付いていく。 【優衣】 「ちゅ、ん……ちゅ、ちゅっ、ちゅ……ん、ぷ、ぅぁ……。  ……きもひぃ……? ん、ちゅるる……ちゅ、ぅ……」 【兄】 「っ……舌、使ってっ」 【優衣】 「ちゅ、ん……? ……ひた……? ちゅぅぅ……ん、……こぉ……?  ん……んぇえるれろぉぉ……」 【兄】 「う、ぁ……」  艶やかで熱っぽい舌が柔らかく亀頭を襲う。  亀頭に沿ってくるりと回る舌が、咥え込まれた唇の端からチラリと  覗く。  腔内で行われている淫猥な舌のようすが視覚から伝えられて、俺は  背筋を震わせた。  逸物が感じているこの感覚は、本当に優衣の舌なんだ。  紛れもなく、実の妹に亀頭を舐めてもらっている。  幸せ。  罪悪感や背徳感よりも先に、その感情が脳を占領していた。 【優衣】 「える……れろ、ぺろ……ちゅ、ちゅるぅ……ン、んちゅ……  ちゅ、ぷ……んにゅ、ぷ……ちゅぅぅ……っ、んぇえれるぅ……」 【兄】 「っ、ぁ……はっ……す、吸ってっ」 【優衣】 「ちゅ、ン……、……ん……?」 【兄】 「先っぽの穴からさ、出てるやつ……舐めながら吸い取って……っ」 【優衣】 「……はひばひり……?」  すでに先走りという単語は記憶済みらしい。 【優衣】 「ちゅっ、ちゅ……ちゅ。……吸って……ほひぃの? ……ぅん。  ……ん……んんん~~~~ッ」  喉を震わせながら鈴口に吸い付いてくる。  一点集中の吸引は亀頭肉を震わせるような低い音ではなく、ちうち  うといった小さな高い音がする。 【優衣】 「ン……ちゅ、ちゅぴ……れろぉ、ぇえるぅ……ちゅっ、ちゅっ……  んん……んんん~~~……っ」  尿道口から中を吸い出そうとしてくる刺激にぞわぞわする痺れが拡  がっていく。 【兄】 「っ、どう……旨いかっ……?」  訊いてしまう自分に呆れる。  味もしないだろう、旨いはずがない。 【優衣】 「ちゅ、っ、ちゅぴ……ちゅぅぅ……、ンぇる……れろぉ……  ちゅっ、ちゅっ…………ぅン…………おいひ……」  はにかみながら答えた。  脳がチリチリする。  冷静に考えれば冗談に乗ってくれたんだろうと思う。  けど、どうにもそうは思えない自分もいる。  冗談を言うときは、こんな照れたような顔はしない。  いつもの優衣ならば、むしろこれは、隠しておきたい本音を言うと  きの顔……。 【優衣】 「ん、ン……ちゅ、ぴ……ちゅ、ちゅ……ちゅぷぁ……硬い……。  ぁむん……ちゅるるるぅ……」 【兄】 「っ、あ……! も、もっかい言って……?」 【優衣】 「ちゅぅ……んぅ?」  可愛らしく首を傾げる優衣。 【兄】 「俺のチンポが……美味しいって、もっかい……っ」 【優衣】 「ちうちう……んん~~……」  不思議そうな顔をして吸い付きながら喉を鳴らした。 【優衣】 「ちゅ、ぷっ……ぁ……。  ……んふへっ、……にーさんのちんぽ、おいひぃ……」  屈託のない笑顔だ。 【兄】 「ぁあっ……」  だらしない声が出てしまう。  優衣がペニスの匂いに当てられてしまえば、俺は妹の何気ない言葉  に当てられてしまう。 【優衣】 「ン、んんむ、ぅ……ちゅぅぅ……っ」 【兄】 「ぅっ、くぁ……っ」 【優衣】 「……んむぉぁ……へるぅン、ちゅるる、ちゅっぷ……フ……。  にいふぁー……? んふ、ひもひ……?」 【兄】 「あ、あぁっ……」 【優衣】 「んン、んちゅぅぅ……ちゅ、ぴ、ン……んふひ、……うれひぃ……  んむぉぁむぅ……ん、んんむ、ぶ……ン……ププ……」  顔の角度を変えて逸物を奥へ誘っていく。  唇の端や鼻から、ペニスに押された空気の漏れる音がする。 【優衣】 「ちゅ、ぴ……ちゅる、ン……じゃぁ、にいはん……もっほらひへ…  …? はひばひりじぅ……ぜんぅ、なめとっへあげぅはら……」  言うと、厚ぼったい舌の腹を尿道口に被せてくる。 【優衣】 「んゥン……れぇる……レロレロ……ちゅっ、ちゅっ……ちゅぅ……。  んふぁ……はぁ…………はぁむ……はむ、ぁむっ……ぷちゅん」 【優衣】 「ぷちゅっ、ちゅぷっ……ん、ぇるん……れる、ン……ぷちゅ、  ぷちゅ、ぷちゅっ……ちゅ、ぴ……ちゅぅっ」  亀頭に占められた腔内を舌が動くと、追いやられた腔内の空気が唇  の狭い隙間から洩れ、ぷちゅっぷちゅっと卑猥な音を響かす。  執拗に鈴口を舐め取られているというのに、断続的にちうちうと吸  い付いてもくる。 【優衣】 「ちゅ、ちゅぅぅ……っ。ん……っ、く……ゴクッ……っ。  んフ……! フー……、フーっ……、ん……ちゅぅ、ちゅっ、ちゅ」  腔内に溜まっていく先走りを躊躇いなく飲み干してしまう。 【優衣】 「ん、あむン……はぁむっ、はぷぅ……っ、ちゅっぷ……ぷちゅ、  ぷちゅっ……ン……くぷ……くぽ……プ、ぎゅぷっ……」  指示したわけでもなく、優衣は何度も逸物を喉奥まで押し込んでい  く。  逸物全体を味わおうとしたり、俺の排泄器官から出るものを厭わず  体内に入れ込む優衣の姿。  俺の体は優衣への愛おしさでいっぱいになってきていた。 【優衣】 「ん、ぐ……んぉ、ぁぐ、む……んン……フ……」  狭い喉奥をペニスに塞がれ、押しくぐもった声が漏れてくる。  それでも決して苦しそうな声は出さず、優衣は終始穏やかな表情で  咥え込んでいく。 【優衣】 「ン、ちゅっ……ぷちゅっ、ちゅっ♪ ん、くぷ、ぐぽっ……じゅる  るっ、ちゅるちゅるるぅ……っ、ぷちゅ、ぷちゅん、ン♪」 【優衣】 「ちゅ、ぷぷぷ……っ、プ……ん、はぁぅむぅ……っ。  ん……ご、ゥ……ん、ぷ……ぶ……ぶっ、プ……ぎゅプ……くぷっ」 【兄】 「くっ、ぅぅ……!」  息が上がり、腰が浮いてきた。 【兄】 「やばっ……!」  俺の声に、喉の奥深くまで咥え込んでいた優衣が、逸物の先端が見  えるまで吸い上げながら唇を引き上げる。 【優衣】 「ちゅ、ン……んぅ? ぬろるるるるぅ……っちゅ、ぷっ。  フーッ……フぅー……ろうひはの? イク? いひほう?」 【兄】 「ああ、いく……イクっ……!」 【優衣】 「んんン、ムぅ、ちゅぅぅぅぅ……っ、ちゅっちゅっ♪」 【兄】 「く、うぁっ!」  亀頭の肉を唇で押し潰してきながら、嬉しそうに喉を鳴らして吸い  付いてきた。 【優衣】 「んふふ、……いいの……がまんひないれ、……だひへ?  にいはんのせーし……ちょーらい?」 【兄】 「っ、あぁ……出す、からっ……早く、咥えて……っ」  自分勝手に急かすと、優衣は膨れ上がった亀頭にねっとりと舌を這  わせる。 【優衣】 「ぇぇるぅン……はぷっ、ぷちゅっ……んちゅ、ちゅ……れるん……  れる、れろ……ちゅぷ、ぷちゅんっ……ちゅ、ぷちゅっ♪」  優衣に咥え込まれた亀頭が、唇の奥でめちゃくちゃに舐め回される  のを感じる。  吸い付き、空気が抜かれた狭い腔内を熱を持った舌が這い回る。 【優衣】 「ちゅ、ゥ……ん、フ……んぉ、ぁ……にいふぁ……ぁむん……ン、  ……らひへ……、はむ……ちゅッ……んぇぇえるれろえろるぅ……」 【優衣】 「ちゅ、ン……にいひゃぁむん、ちゅぷ……プ……ちゅるるるぅ……  ん、んくっ……ごく、っ、フ……」  唾液と先走りが混ざり合ったエキスをごくごくと飲み込んでいく。  これが、いまから精液に変わる――。  濃厚な俺の子種が優衣の喉を犯す――。  連想される展開に背筋を逸らして腔内の味を求める。 【優衣】 「らふへ……にいふぁ、ぁはむ……ン……ぷちゅっ、プッ……んム…  …にぃふぁあむン……ぐプっ……」 【優衣】 「ん、ぐっプ……ちゅぶっ、プ……ぷちゅんっ、ン……ぇろる、ろる  ……ちゅ、プル……くぷ、くぽっ、ちゅぷ、じゅるるるっ……ぷっ」  頭を回転させながら上下に動く口唇。  カリ首に沿う唇がくるくると動き、鈴口を舐め吸われたところで下  腹部の疼きが限界点を超えた。 【兄】 「っ、ぁ……あっ、ああ――っ!」  ――口に出すのは駄目だ。  一瞬、頭をよぎった気持ちが腰を引かせた。 【優衣】 「じゅぷ、んっ、プっ――」  ビュッ! ビューッ! びゅるっ、びゅっびゅっ! ぴゅっ!  先端を小鼻の横に押し当てて、眉や目に向けて射精する。  射精の一回一回が明るい室内でよく映えて見えた。 【優衣】 「へう、ぶえ、ぶぁ……わ、あっ」  唾液や先走りに塗れた唇から発する優衣の声は粘り気を持っていた。  目を閉じ、眉を顰めながらも顔を逸らすことはなく、ただじっと我  慢するように精液を顔に浴びる。  優衣の外見を穢すことを鮮明に視界に捉えることで、一段と射精の  勢いが増していく。  ただ、優衣の顔を汚すために……。ただ、優衣に俺の子種を振りか  けるために……一心となって精を吐き出す。 【優衣】 「んっ、っ……っ、はァ……っ、ぁ……ふ、ぅぁ……っ」  熱い液体を掛けられるたびに小さく声を漏らす優衣。  射精の勢いが弱まり、頬に押し付けられる逸物の力も弱まったこと  で、優衣はやっと息を吐き始めた。   呼吸をするために開いた口を、頬を伝い落ちてきた精液が覆い、優  衣が途端にへの字口を取った。 【優衣】 「っ……ぶぇぇ……。  なんでまた顔に掛けるのよぉぉ……」 【兄】 「あ……す、すまん」 【優衣】 「ぅぅぅぅ……」  相当、唸ってる。 【優衣】 「まあ、お風呂に入る前だからいいケド……。  変な趣味持ってるわよね……兄さんって」 【兄】 「……趣味じゃない」  成り行きだ。  優衣は不貞腐れたような顔をしていたが、すぐに柔らかい表情に戻  った。 【優衣】 「……汚れちゃったわね」  精液でコーティングされた優衣は、どこかぽーっとした様子で逸物  を見つめていた。  きゅっと根元を掴むと、吐息をかける。 【優衣】 「……動かないで……? じっと……してへ……ぇえるぅ」 【兄】 「っ……」  精液で塗れた亀頭に舌を這わせていく。 【優衣】 「れる、ちゅ……じゅるるる…………っ、っ……ん……  ぢゅる、ちゅ……ちゅぅぅ……、ちゅっ、ン……っん、ぅ……」  自分の顔に付着した精液には厭わず、逸物についた精液だけを丁寧  に舐め取っていく。  俺に尽くしてくれている優衣の様子に慄くばかりだ。 【兄】 「なんでこんなことっ」 【優衣】 「ちゅ、っ……ん……? ……ぇと……こぉふると……うれひぃっへ  ……れるんんぅ、む……ぢゅるぢゅるるる……っ」 【兄】 「ッ……! だ、誰が? 俺が言ったか?」 【優衣】 「じゅず、ずず……っ、ぢゅるっ……ン、ふ……。  ……ひらえは」 【兄】 「……は?」  聞こえない。 【優衣】 「……自分で…………しらべた」 【兄】 「……」  自分で調べたのか。  どうすれば男が嬉しがるのかを。  いや……どうすれば“俺が”嬉しがるのかを。  ただの性欲処理にそこまでする必要はない。  嫌がりながらも好奇心が勝って、仕方なく手伝ってくれる体でよか  ったのに。  健気なのか、献身的とでも呼ぶべきか。  それとも、意外と優衣はエロい方の好奇心もバリバリ強いのかもし  れない。  しっかり者だが、その実、考えていることは『どうすれば兄が気持  ちよく悦んでくれるか』、なのだ。  人のことは言えない。  こいつもこいつで『スケベ』だ。 【優衣】 「『お掃除……』? ……なんとかっていう、んでしょ。  よくわからないけど……兄さんなら喜んでくれるかなって。えへ」  精液で汚された顔が照れたように笑った。  ずきりと胸が痛む。  同時に陰茎にも、ずしんと重たい疼きが生まれる。  ……まったく、最低な兄だ。  穢れても健気な姿を見せてくれる優衣に、興奮するなんて。 【優衣】 「……だから、じっとしてて……? ……ぁ……ぁぁ、ぅむん……」 【兄】 「うあ」  亀頭が温かい粘膜に包まれる。  敏感になっているのをわかっているかのように、優衣の舌が優しく  回される。  文句のつけようのない口淫だった。  優衣の兄に対する信愛が込められている気がした。 【優衣】 「ン、ん……ちゅ、ちゅぅぅ……っ、ぉぁ……ンむ……ぢゅ、じゅる  るるっ……ちゅるじゅるるぅ……っ、ちゅッ」 【優衣】 「じゅるっ、ずずずっ……、っ……っ、ん……ごくっ……こくっ……」 【兄】 「うぁ……」  飲んでる。  優衣が俺の精液を飲んでる。  なんて扇情的な光景だろうか。 【優衣】 「ちゅ、ちゅぅぅ……っ、ん……く。……ちゅ、ぷぁ、フ……ん……  フはぅ……ふぅ……ふぁ…………はふ……」  少し苦しそうに息をつき、見つめられる。  潤んだ瞳の上目遣いは、俺にはないはずの加虐心をくすぐってくる。 【優衣】 「綺麗に……ふ、はあ…………なった……、はフ……」  『もういい、ありがとう』、なんていう言葉は出てこない。  ただ、見つめてくる瞳を見つめ返すだけ。  無言のやり取りのなか、優衣は俺を意を汲んだのか軽くはにかんだ。 【優衣】 「……んぇえれるぅ」  精液の付着していない亀頭へむしゃぶりついた。 【兄】 「くっ、ぅ……っ!」 【優衣】 「れる、れろ……ちゅぅ、……ちゅっ、ちゅ、ちゅる……  ちゅぴ、ちゅ……ちゅぅぅ……っ」  綺麗になり艶やかに光る亀頭にキスを浴びせた。  慈しみを込めるように、喉を鳴らしながらのキス。  ペニスを甘やかされながら愛でられ、悦びに跳ね回る。  それに喉を鳴らして応える優衣。  喜んでいるのか、困っているのかわからない。  どちらにしても、そんな優衣の様子を可愛らしいと思ってしまう。 【優衣】 「ん~……。……ん、はぁむ」  静止を聞かないペニスに痺れを切らしたのか、先端を腔内に迎え入  れた。 【優衣】 「ちゅ、ン……ちゅぷぷ、プ……ぐぷ……クプ、ちゅぽ……ン……。  ちゅぴ……くぽっ……、じゅるる……ちゅるぅ……」  上下する顔の動きは明らかに掃除ではない。  この行為は『二度目』に繋がるもの。  もう一度、精子を喉で味わいたいという意思表示だ。  俺は優衣の変貌ぶりに驚くしかない。  いつの間に、こんなにエロい娘に育っていたんだ……っ。  階下にいるであろう両親に気付かれないよう声を堪える。  部屋には逸物を啜る音と優衣が時折漏らす小さな声、そして腔内か  ら響く『くぽっ……ぎゅぽっ』という篭った音。  そのすべてが俺の知らなかったフェラにおける効果音で、俺の気持  ちをどんどん昂らせていく。  優衣もぼんやりと蕩けた様子で口を窄めていく。 【優衣】 「にぃひゃ、ぁむん、ン、っ……ちゅ、ちゅぽっ、くぽ……ん、フ…  …ちゅ、ぅン……にぃは、ぅむん、ちゅる、くぷ……にぃ、っ、は」  コンコン 【優衣】 「――っぷあ!」  扉の音に心臓が飛び出そうになる。  優衣も度肝を抜かれた様子で口を放した。 【母】 「あれ? そこにいたの?」  母さんの声だ。 【優衣】 「ぁ、しまった……声上げちゃ駄目だったっ」 【母】 「お風呂空いたわよー。どっちでもいいから入りなさーい」  目配せする。  どうせいるのはバレてるんだ、自然を装ったほうがいい。 【優衣】 「……はーい。じゃあ私が先に入るー」 【母】 「りょーかい」  扉は……開けられない。  足音も離れていく。  大丈夫、危険は去った。  二人してほっと息をつく。 【優衣】 「……危なかった」 【優衣】 「兄さんの精液塗れな顔、どう頑張っても誤魔化しようがなかったわ」 【兄】 「ホントにな……」  静寂。  さっきまでの行為が嘘のように部屋はしん……としていた。  それでも、目下に広がる扇情的な光景は嘘でないと証明していて…  …。 【優衣】 「じゃあ……、先に入るわね?」  どうしようもない空気を切り裂いたのは優衣の声だった。 【兄】 「あ、あぁ」  髪に精液が付いていることを言ったほうがいいだろうか。  いや、たぶん自室に戻ってから拭き直すだろう。  着替えを取りに一旦寄るはずだ。 【優衣】 「……あ、の」  扉を半開にした状態で、優衣が向き直った。 【優衣】 「お風呂から上がったら、……兄さんの部屋で待ってるから」 【兄】 「え?」 【優衣】 「じゃっ」  顔を逸らしてしまった優衣の表情は窺えないまま、扉が閉まった。  いまのはどういうことだ?  また部屋にやってくるということか。  なんでまた、俺の部屋に来るんだ。  何の用事で……? 【兄】 「いや、ねえ」  惚けたふりをして自問してみる。  けど、いや……まさか、ねえ。  続きがある……のか。  確かに、母さんがノックをしなければあのまま二発目に向けて優衣  の唇を味わうつもりだったが。  まさか……いや。  ねえ。

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