Track10 ;一緒にお昼寝
;並んで布団にはいってるとこから。完全に安眠誘導。小声orウィスパーで、ゆったりおねがいいたします。
;環境音、室内
;3/右
【夏葉】「(穏やかな呼吸音*8)」
【夏葉】「赤ちゃん。もう完全にぐっすりみたい。わかんないけど、わかるんだ。
すっごくしあわせで、安心して…………うふふ、赤ちゃんなんにもたべてないけど、
おなかいっぱいみたいなきもちで、きっとすやすやねむってる」
【夏葉】「……うれしいもんね、あったかだもんね。
おとうさんもおかあさんもいてくれて。ふたりがすっごくなかよくしてて。
ふたりとも、ずっといっつも、自分のことを一番に気にしてくれて──大事にしてくれてるの」
【夏葉】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──夏葉は、ほら。
滝におっこちるまえのこと、結構忘れちゃってたじゃない。
それって、滝女郎さんのこともあったけど──
だけど、それだけじゃないのかもって、少し──少しだけおもってたんだ」
【夏葉】「だって夏葉──すっごくちっちゃいときにもう、おとうさんもお母さんもなくなっちゃってるから。
それがさみしくてかなしくて、忘れちゃったのもあったのかなぁ、って」
【夏葉】「(言葉を探す呼吸音。静かに10呼吸ほどたっぷりと)」
【夏葉】「……だけどね? 赤ちゃんさずかって。夏葉、思い出せるようになったんだ。
むかしのこと。滝におちちゃうまえのこと。ものべので元気いっぱいにくらしてた──
ちっちゃなちっちゃな夏葉だったころのこと」
【夏葉】「おにいちゃんと、すみちゃんと、飛車角ちゃんと、とおこさんと。
ありすちゃんと、菜穂子おなちゃんと、尚武おじちゃんと──みんなに大事にそだててもらえて、すっごくあったかにつつんでもらえて。
厳じぃも、ひめみや様も村長さんもみぃんな、夏葉とおにいちゃんのこと、すごく気にして、いろいろ面倒みてくれて」
【夏葉】「しあわせでしあわせでしあわせで……だから調子にのっちゃって、夏葉、とおこさんにお願いして、むりやり冒険にいっちゃったんだけど──」
【夏葉】「全然ね? 怖い想い出なんてなかった。いやな想い出なんてなかった。
お父さんとお母さんの記憶はやっぱりぼんやりで、すごくすっごく、あったかかったことしか夏葉、覚えてないけど……」
【夏葉】「お父さんとお母さんのぬくもりがなくなっちゃってからも、夏葉、ちょっともさむくなかった。
ずっとずうっと、めいっぱいあったかでしあわせで──毎日毎日、あきれるくらいにたのしかったんだなぁって……」
【夏葉】「…………。夏葉。このこのおかげでね。はっきり思い出せるようになったの」
【夏葉】「だから……(言葉に悩む数呼吸)──だから。」
【夏葉】「だから、思うの。本当だったら……オオトメカマのあの事件とか、もしもなんにもなかったら」
【夏葉】「夏葉……ものすごく──ものすごーく不安だっただろうなって。
だって……お母さんも夏葉も……ふたりともおんなじ病気にかかって──夏葉なんて、たぶん……もう死んじゃってた可能性だって、低くないって思うから」
【夏葉】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」
【夏葉】「だけど、夏葉は生きていて。おにいちゃんと結ばれて。赤ちゃんをさずかって──。
そうして……全然怖くない。おにいちゃんが、おにいちゃんと南雲先生が──おかあさんを奪った病気を、夏葉をくるしめた病気を……」
【夏葉】「赤ちゃんも──もしかしたらかかっちゃってるかもしれない病気を──完全に治る病気に……過去の病気にしてくれたから──だから、少しも怖くないんだ」
【夏葉】「(安堵の息。できれば気持ちあくびまじりで)」
;この辺から、ゆるゆると夏葉に眠気混ぜていっていただけるとうれしいです
【夏葉】「赤ちゃん実際、夏葉がちょっとあきれちゃうくらい元気だし……。わかるの。この子は絶対、すっごく元気に産まれてきて。おっきな声でおぎゃあってないて。おなかいっぱいミルクをのんで、それでにっこり、しあわせにわらってくれるって」
【夏葉】「それに……こういっちゃったらあれだけど。産まれたらなるたけ早くにやっぱり検査してほしいから──どこで産むのか、こっちで確定になるでしょう? すみちゃんもありすちゃんも、菜穂子おばさんも尚武おじちゃんも、そうするべき、って、ものすごく強くいってくれてるし」
【夏葉】「それもね、夏葉には、地味にだけどものすごーく助かっちゃってることなんだ。
ものべのも、犀玉も、夏葉にとってはふるさとだから。
有島診療所も、犀玉医大付属病院も、夏葉にとっては大事な大事なかかりつけ医だから」
【夏葉】「だから、なんにもなかったら──『どっちで出産しよう』って。義理とかなんか、そういうも全部考えて……どっちに決めても、きっと後悔しちゃってた──って気がするの」
【夏葉】「だから。だからね。おにいちゃん。おにいちゃんと夏葉──ものすごく。ものすごーーーーーーくいろいろあったけど」
【夏葉】「……さだめって。ひめみや様におしえてもらった。命を、自分たちで運ぶことって──」
【夏葉】「おにいちゃんと夏葉ふたりで。すごく素敵なさだめをあゆんできたんだなって。
全部が全部、きっとここにつながるためで。これからもっと、すっごくしあわせになれるんだなって──
夏葉、おもうの」
【夏葉】「……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」
【夏葉】「──────ありがとう。おにいちゃん。だいすき」
【夏葉】「…………って、おにいちゃん、寝ちゃったの? それとも──うふふっ。てれくさくって、寝たふりしてるのかな」
【夏葉】「どっちにしても、おんなじだけど。だって……夏葉も……ふ……ぁ──(あくび)」
【夏葉】「もう、くたくたでねむいもん。
あとは……ねるしか──できない感じ……ん……」
【夏葉】「ぁ……ん……ぁ──(おおあくび)」
【夏葉】「……おやすみなさい、おにいちゃん。明日も、一緒に──夏葉と、赤ちゃん……たくさんたくさん、しあわせに…………」
【夏葉】「しあわせ…………いっしょに……たくさん──……なろう、ね……」
;眠い体をむりやり動かす”ん”
【夏葉】「ん…………(ちゅっ)──ぁ──(ぐったりと疲れた長い吐息)」
【夏葉】「……………………おやすみなさい……おにいちゃん…………」
【夏葉】「(浅い寝息)*4」
【夏葉】「(浅い寝息)*4」
【夏葉】「(寝入りつつある寝息)*4」
【夏葉】「(寝入りつつある寝息)*4」
【夏葉】「(穏やかな寝息)*4」
【夏葉】「(穏やかな寝息)*4」
【夏葉】「(熟睡寝息)*4」
【夏葉】「(熟睡寝息)*4」
;環境音 F.O.