雨空の下駄箱。帰り道
//SE 二人で廊下を歩いている
//ダミーヘッド位置・7(左・近い)
【由水】
「…………まだ寝ぼけた顔、してるね。
そんなに……私のマッサージ……良かったの」
【由水】
「……誰かに『癒やし』をするの初めてだったから。
そういう反応されると、少しうれしいね」
【由水】
「ぇ? うん、そう、初めて。ごめん。先に、言ったらよかったね。
ほら。私みたいのに、触られるの、皆、嫌がるかと思って。あんまり、する機会なくて」
【由水】
「だから、今日は……君にマッサージ出来て、いい経験になった。うん。
とっても勉強になったよ。ありがとう」
【由水】
「でも、代わりに外、真っ暗になっちゃったね。
人が居なくて、真っ暗なガッコの廊下って、何だか不思議な感じ」
//SE 足音止まる
【由水】
「ぁ……私の傘…………無い」
【由水】
「え? ほら。傘立て。ここに、傘入れてたのに……。
ビニ傘だから、誰か間違えて、持って行っちゃったのかも」
【由水】
「困ったな。雨、結構強いし。当分やまないみたいだし」
【由水】
「ぇ……? 傘……貸してくれるの? でも、そしたら君、どうするの?
男だから濡れても平気? 性別関係ないと思うけどな」
【由水】
「……うーん」
【由水】
「だったら、一緒に、傘、入れてもらっても良い?
君が、嫌なら良いけど」
【由水】
「私の家、すぐそこだから。うちに送ってくれると……すごく、たすかる。すごく」
【由水】
「……お礼、したかったのに。また君に迷惑かけちゃったね」
【由水】
「ぇ? 迷惑じゃ、ない? それに…………むしろ、嬉しい?」
【由水】
「ん……………………君って、…………変な男の子、だね」