Track 6

オールでボートで食休み

;1/前 【すずしろ】「あーーーー。お腹いっぱい。食べ過ぎたー。 まだ石炭くすぶってる……っていうか燃えてるのかも。体の中からぽかぽかしてる」 ;環境音 手こぎボート F.I. 【すずしろ】「ね、マスターも触っていいよ。 お腹の上から、結構まだぽかぽかしてるーーひゃっ!!!?」 ;SE 不用意に立って、ボートが揺れて、マスターの上に倒れ込む ;7/左(密着) 【すずしろ】「わーーあ……(呼吸音)(呼吸音) ボートって、こんなに揺れるんだ。あぶなかったーーいま、マスターにひっぱってもらえなかったら、すずしろ、ボート池におちちゃったかも」 ;7/左 →;1/前 【すずしろ】「あ、うん。もどる。もとのとこ。 ゆっくりゆっくりーー慎重にーー(呼吸音)(呼吸音)ーーんしょ」 ;1/前 【すずしろ】「あー、焦っちゃった。! じゃなくてーーごめんなさい! すずしろはしゃぎすぎちゃって、失敗しちゃってーーえ?」 【すずしろ】「あ! ない、ない。暑すぎるとかそういうのは全然。 すずしろ、蒸機のレイルロオドだし。じめじめするのはイヤだけど、気温の方なら50度だって60度だって……あ、けど」 【すずしろ】「(目を閉じ、周囲の空気をしっかり感じようとする呼吸。20秒ほど)」 【すずしろ】「……あはは、ここ。湖の上、すずしくないね。全然。 お水のイメージあるから、他の場所より涼しいかなーって思ったんだけど……」 【すずしろ】「直射日光を遮ってくれるものなんにもないし、風も全然ふかないし…… (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)ーーああ、これ、木陰とかの方が全然涼しかったよね。 ましてマスター……ボート漕ぐの、完全に全身運動になっちゃってるし」 【すずしろ】「……ね、戻ろうか。ボートたったの260円だったし、ほんのちょっとの時間だけでも、マスターとボート乗れたのすずしろ、嬉しかったし」 【すずしろ】「あ……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)ーーうん。すずしろはほんとに平気。 マスターももしも平気なら。平気で、それで……すずしろとボート乗るの、楽しいって思ってくれているんならーー」 【すずしろ】「(呼吸音)ーーすずしろも、もっと乗ってたい。 マスターが漕いでくれるボートで、このまま少しーーもう少しだけ…… 水にゆらゆら、ゆすられてたい」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)。(微笑)ーーありがと、マスター。 ーーあ!」 【すずしろ】「見て、鯉! すごくおっきい……ってか!? ひゃ、わ!? よってきた!!?」 ;SE 鯉パチャ ;SE $=鯉に指先噛まれる 【すずしろ】「(鯉見惚れる呼吸音 * 3 )……これ、ものすごい近いーー触れそう。 触れるかな、ちょっとだけ、試すっていうか……(ごくっ)ーーそーっと、そーっとーー $ っ!!!?」 【すずしろ】「ひゃわっ!!? あーーっーーわ、びっくりした~!!! いま、すずしろ、指さきぱくって! 鯉に食べられーーかじられた!!」 【すずしろ】「え!? え!? なんで? どうして? 鯉ってレイルロオド食べるの!? 怖っーー(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)ーーあー」 【すずしろ】「そっか、なるほど。ボートの上から、鯉に餌やりをしてる人がいるんだね。きっと」 【すずしろ】「それで鯉が、『餌がもらえるんだ!』って勘違いして、餌なんてなんにももってないすずしろの指に食いついてきた……」 【すずしろ】「だったらちょっと、ちょっとだけ。鯉に悪いことしちゃたのかな。 期待させるだけ期待させて。なのになーんにもあげられないでーーって、あ!」 【すずしろ】「ね、マスター、マネージャー。 いまの、ちょっとセリフっぽくなかった? お魚の鯉のことじゃなく、恋愛の恋のことだったら」 ;女優モードで、キメキメでお願いできると幸いです。 【すずしろ】「『だったらちょっと、ちょっとだけ。恋に悪いことしちゃったのかな。 期待させるだけ期待させて、なのになんにもあげられないで』……なぁんて、あははっーーは……」 【すずしろ】「(言葉を探して逡巡するニュアンス混ぜた呼吸音。30秒ほど)」 【すずしろ】「……ね……マスターは……恋って。恋愛の恋の方だよ? したことーーあるの」 【すずしろ】「すずしろは、レイルロオドだからーー。 恋とか全然わからなくって。 それはお芝居の中、舞台の、スクリーンの上でだったら、たくさんの恋を演じてきたけど」 【すずしろ】「ハッピーエンドを迎えたことも、恋に狂っての殺人も、反対に嫉妬で殺されたことも、 友達の恋人を奪ったことも、叶わぬ恋に絶望しきって妥協の結婚をしたことだって、あったけど」 【すずしろ】「たけど本当のすずしろは、お芝居をしてないすずしろは、平凡な量産機のレイルロオドで。 普段どおりのお仕事をすることだけしか望まれなくて……だからマスターの前ではいっつも、普段どおりでいられて」 【すずしろ】「それがものすごく楽で、しあわせで、安心できて、あったかくって。 守られてるなーって強く感じて……いつまでもぬくぬくしていたくって」 【すずしろ】「だけど……最近、少しだけーーものたりないっていうか…… もう少し、もう少しだけ……ん……(悩む呼吸) すずしろ、レイルロオドだから、人間の本当の恋とかは、きっとできないんだろうけどーー」 【すずしろ】「それでも、なんかーーもうちょっとだけ……こう…………んーー」 【すずしろ】「(自分の気持ちを探ろうとするようなニュアンスと呼吸音→ふっと笑って→考えつかれて、このままボートに揺られるつづけていたいような呼吸音。全部で40秒くらいで)」 【すずしろ】「あーあ! むつかしい!! すずしろにはむつかしすぎて全然なんだかわかんない」 【すずしろ】「わかんないけど……けどね、マスター。 わかんないなり考えてたらひとつだけ。ひとつだけはわかったかも。本当に」 【すずしろ】「あのね、マスター、すずしろはーー」 ;SE 船の中をゆっくりとひざだちで移動して、近くまで ;3/右 (接近、囁き) ;$=SE 魚はね ;$のあと →;1/前 【すずしろ】「すずしろは、これからもずっとマスターと一緒にいたい。まもられてたい。甘えたいーー $ きゃっ!?」 【すずしろ】「ね、マスター、いまの見た!? すごく跳ねたの、キラキラしたの。 すずしろ、ドキドキしちゃってこまかいとこまでよくわからなかったんだけど……」 ;うつむいてひとりごと 【すずしろ】「……もしかして、もしかしたなら。今のもコイ……だったりしたりするのかな」 ;環境音 F.O.