エピローグ
おはようございます。
そちらの椅子にどうぞ。
…………。
単刀直入に言いましょう。
あなたは、精液検査に、また引っかかってしまいました。
……いえ。数値が悪いわけではありません。
むしろ、その逆で……
精液の数値が、〝よくなりすぎた〟のです。
検査での判定は、基準値の下限がありますが……当然、上限も存在しています。
あなたの精液は、濃度も粘度も、色も匂いも……上限を上回っていました。
さらに、射精量も、入院時から増加してしまっています。
精液は数値が高すぎてもあまりよくありません。
精力の増強により、タマタマがずっと大量の精子を製造し続けることになり……その結果、性的に興奮している時間が増え、あらゆる臓器に負担がかかってしまいます。
この精液治療は……予想を遥かに超えて、あなたに効きすぎてしまったようです。
完全にわたしのミスです……。
申し訳ありません。
申し上げにくいのですが……
あなたには、これからさらに一週間、入院してもらうことになります。
新しい治療計画のもと、経過を観察して……一週間後に、退院できるかどうか、改めて判断します。
もちろん……その間の給与なども、問題なく補填されますので安心してください。
……よろしい、でしょうか?
……ありがとうございます。
そう言ってもらえて、本当に助かります。
次の一週間で、絶対に精液を基準値に戻してみせますので……
……はい?
「嬉しい」、ですか? それは……どうして?
……わたしと?
……まさか、わたしと、お別れしなくて済むから……でしょうか?
それは……。まあ。その……
……喜んでもらえて、良かったです。
はい。
こほん。
では、本当に申し訳ありませんが……
これからも……よろしくお願いしますね。
治療、一緒に頑張っていきましょう!