■パート1
じーーー……。
じぃ~~~……。
んーーー……なぜ、なぜなんですか!
うー……。
んーーー……!!!
なんで! また! 寝袋なんです、かっ!
しかも、今回は……前回と違って私服のままですし……。
これはなんですか……き、気遣い的なやつですかっ!
んー……ケータイとかポッケに入って――……んっ?
何かのメモ? 薄暗くて見えにくいですね……「セックスしなきゃ出られない寝袋第二ラウンドを開始します」って、ラウンド制だったんですかっ!
あと、何回させる気ですかっ、まったく! あ……裏にも何か、書いてますね……なになに……?
『追伸、寒いかもしれないから服はそのままにしました』ってそこっ? 気にするところそこ!?
親切かよっ! やさしいかよっ! 心遣い発揮するところ、そこじゃないですよっ!!
はーっ……はーっ……はー……。
はぁぁぁぁ……。
なんで、せっかく出れたのに……また寝袋の中に閉じ込められなきゃいけないんですか。
何かしましたかね? 私。何かの罰ゲームか何かですか? コレ……。
ん~~~~っ! ……はぁ、やっぱり、ダメですね。
相変わらず寝袋を引っ張っても全然開くような感じは無いですし、またセックスしなきゃ出れなさそうですね……。
一応聞きますが……あなたには何かいい案、あったりしませんか?
……って、ああぁ、すみません。よく見えなくて、うっかり肘を首に置いてましたね、喉大丈夫ですか?
あなたも私と同じく、ただの被害者……って、オイ、何か嬉しそうな顔してるな?
くっ……もういいです、意見を求めた私がバカでした。
しゃ~~~らぁ~~っぷ! です! あなたはしばらく口を開かないでください!
久々の再会で、少しでも同情したこの私。沢原調(さわはら しらべ)一生の不覚!
そりゃあ、どこの誰とも知らない、赤の他人よりは全然いいですが……それでも! それでもですよ!?
くぬっ……!
んんぅ……っ!
すみません、毎度取り乱してしまって……もちろん分かってますよ、分かってるんです。あなたに悪気がないことくらい……。
はぁ……。
前回は寝袋から出れてせっかくいい感じの雰囲気だったのに、その後連絡するにもなんて声かけたらいいかわからないまま月日だけがすぎていって……。
そして、気付いたらまたこの寝袋ですよ……。
クリーニングにでも出したのか、ほんのりフローラルな香りが漂っているのが癪に障ります。
というより……この匂いは私の服の匂いなのかもしれません。洗濯のときに使っているのと似てる気がします。
はぁー……すぅ……ふぅ。
たくさん喋ったら落ち着いてきました。
観念してしますか、セックス……。
今更恥ずかしがる仲でもないでしょう、腑に落ちないところしかないですが……どうせしないと出れないですし。
また緊張してるんですか? まったく、手のかかる人ですね。
……前にも同じこと言った気がしますよこれ。
しますよ、ほらっ。
服でかさ張ってる分動きにくいんで、あなたは動かないでくださいね。