導入
第１話
（馬上の勇者と、徒歩の男の子。
男の子は魔物、インキュバスである。
インキュバスは、男の淫魔で、女を誘惑するのが仕事である。
このインキュバスは、お城で、王女を誘惑し、情報を引き出した。
そこから逃げる途中、勇者に捕まってしまったのである。
お城へと連れ戻されるインキュバス。だが、彼は元気そうだ。
密かに、勇者を誘惑しようともくろんでいるのであった……）
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ルゥ：
ねえ…おにいちゃん…、おにいちゃんっ…。ねえってば…。
おにいちゃん、そんな早く歩けないってばぁ…
後ろ手に魔法の手錠されてるんだから…もっと丁重に扱ってよぉ。
自分は馬に乗って楽しちゃってさ。
あーっ、ほんとミスったなあ。まさか捕まっちゃうなんて…。
お姫様を誘惑して、お城の情報を引き出したって言うけどさ……。
ホントに何も聞き出せなかったんだってばぁ！
お城に連れて行かれたら、ぼく、拷問受けちゃうんだよ？
こんなちっちゃい子を、酷い目に遭わせるつもりなの？
許してよぉ……、おにいちゃんは勇者様なんだよね？
みんなにやさしいって評判の。ねぇ……。ねぇ……？
むー……。
ちぇっ。だめかあ……
おにいちゃんが女の子だったら、インキュバスの誘惑で虜に出来たのに…。
はいはい、だまって歩きますよーっと。
ああ、そうそう。僕は、ルゥ、って名前があるんだから、
おまえ、とかそう言う呼び方はやめてよね。
あと、野宿なんてヤだからね。ちゃんと途中で宿を取ってよね。
もちろんスイートルームで！
え？ 妙に元気だなって？
そんなことないよ♪
道中、よろしくね。勇者様♪
あははっ。
（第１話 終わり）