Track 7

01【1740文字】眠れる森の魔女

あぁ。起きましたか。おはようございます❤️ 気分はいかがですか? あは。一度言ってみたかったんですよこのセリフ。 いかにも『悪』って感じですよね? あぁ。起き上がれないと思いますから、そのままでいいですよ。 あたしがそっち行くんで。 声も出ないでしょ? 顔に傷がつかなくて良かった。 ちゅ。 もしここに取り返しのつかない怪我があったら、あたしでも治せなかったかもしれません。 ちゅ❤️ ご安心下さい。あなたの身体は、責任を持って全部綺麗にします。 こんな事があった事自体、忘れるくらいにしますからね。 うん? 覚えてらっしゃるんですね。 そうです。あなたはモンスターに負けて瀕死の重傷を負った。 それを回収したのが、あたし。 悪い魔女のサリアちゃんです❤️ あは。『誰?』って顔してる。 そりゃわかんないですよね。 じゃあ、これでどうでしょう。 私だよ。勇者ちゃん。 今度は伝わったみたいですね? そうです。あなたの冒険をお手伝いしていた仲間。 機械でできたお人形の『妖精さん』。 あれ、サリアちゃんだったんです。 これまでずっと通信機ごしにおしゃべりしてましたから、何だか緊張しますね❤️ 改めまして始めまして❤️ 勇者ちゃん。妖精さんだよ。 こんな形になっちゃったけど。お姉さん、会えて嬉しいよ❤️ あぁ。 ダメですよ。動こうとなんかしないで下さい。 ていうか指一本動かせないでしょう? 今のあなたには、かなり強力な麻酔が施してあります。 これ、結構ヤバい薬なんですけど。 これのおかげで。あなたは怪我と、その治療による、いつ狂ってもおかしくない程の痛みを一切感じず。 むしろ全身ふわふわあったか〜い? みたいな気持ちでいられる訳です。 サリアちゃんが天才でよかったね❤️ これ作るの、すっげー大変なんだぞ❤️ でね? サリアちゃんこれまで、一人悪と戦うあなたの事、ずっと妖精さんとして、遠く。つか、この家からお手伝いしてきましたけど。 あなたの事『立派な勇者様にする』って約束で一緒に頑張ってきましたけど。 あれ。反故にさせていただきますね❤️ 気が変わったんですよ。こんな姿になったあなたを見て。 もうこんなの絶対ヤだなぁって。 あなたこんなに可愛いのに、理不尽に戦わされて、やりたくない事やらされて。 その癖ろくな見返りもなくて。 あげく、襲われて、一人で死ぬところだった……。 おかしくないですか? だからもう二度と、頑張って欲しくないな〜❤️ って思ってるんです❤ つ〜事で❤️ サリアちゃん決めました❤️ あなたの事。勇者の座から引きずりおろして。 サリアちゃんの奴隷にしま〜す❤️ これから勇者様の事、レベルドレイン。 つまり、これまで得た経験値を全部吸い上げて、よわっよわに無力化させます。 で。いずれあなたの左胸にある勇者の刻印。 これも剥がして、勇者の資格を剥奪します❤ 聞いた事あるでしょ? これが奪われた時点で、勇者のみが受けられる加護は失せて。 生きていても、死んだ人扱いになる。 死んだ人扱いになってしばらくしたら。 新しい勇者様が教会から選ばれるので、もう頑張らなくてよくなる❤️ 先代勇者も、そうやって勇者の仕事から逃れたんですよ? そういう卑怯者がすでにいるんですから。 あなたもそうなっちゃっていいと思います❤️ てか、こんな所にあったんですね。 これまで、どうりで見つけられなかったはずです。 治療のためとはいえ、勝手に裸にしちゃってごめんなさい。 まぁ、これからは裸が当たり前の生活になるんですけどね❤️ あ。何か察しちゃった感じです? おそらく大正解で~す❤ あたし、実はも何も、勇者ちゃんの事ずっと大好きでしたから。 だからずっと、会いたかったんだよ。 あたし達。つか、あなたと妖精さんって、付き合ってるみたいなもんだったじゃん。 嬉しかったんだぜ? あたし相当キャラ作ってましたから。 あなたが好きなのは『機械人形の妖精さん』であって。 中の人のあたしじゃないってわかっててもね。 機械人形ごしだったけど。 キスだってしてくれたじゃん……。 ねぇ。いつか、あたしが何者でも好きだって言ってくれたの。 まだ有効ですか? これからあなたの一番大切なものを奪う人になっても、まだ好きでいてくれる? ま。どっちでもいいけど。 とにかくあなたの事、これからあたしのものにするんで。 なすすべもなく。犯されて下さいね?