06【0633文字】一緒におやすみ
もう。寝る時まで何でそんなくっついてくんの?
はいはい。お手手繋いで寝ましょうね。
あぁ。この手ですか。
義手なんですよ。何か変だと思ってました?
見た目も動きも本物クオリティのつもりなんですけど。
わかっちゃうか。
いや、強く握んなくていいって。
嬉しいけどさ。
うん?
はいはい。これを見てほしいの?
えっ。これあなたが書いたんですか。
文字書けませんでしたよね。
へぇ。内緒で勉強してたんだ。
……すごい。あなたらしいです。
じゃあ、あたしなりにこの推理に真面目にお答えしましょう。
あなた、ずいぶん先代勇者が気になるんですね。
ふむ。
結論から言うと、当たってる可能性はあります。
たとえばあなたの言う通り、先代勇者の刻印は腕にあったとします。
もし、彼女が何らかのきっかけで腕を失ったなら。
同時に刻印も失くし、加護は消えたでしょうね。
戦い続けたくても、これではとても。
あたし含む世の人々は、先代勇者が自分の使命を放棄するため、自分で腕を切り落としたと思ってますが……。
もしそれが事故や戦いによるものなら、彼女は今もどこかでこっそり生きていて、己の存在を恥じているのかもしれません。
はい終わりー。
ねぇそんな事より、麻酔切れて声も元に戻ったらさ。
あたしの仕事手伝ってくれませんか。
メイドとかナースとか。奴隷らしく労働しろ❤
考えといて下さいよ。
それで、空き時間に勉強教えますから。
前みたいに……あれ?
もう寝ちゃった?
まぁ、イッた後は眠いよね。
ちゅ。おやすみ。
……ずっとこんな風に暮らせたらいいのにな。