01 夢のお風呂へ誘われ
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【仕事を終えて床に就いたはずの男、いつの間にか全裸で浴場のイスに座らされ、湯をかけられているのに気づく】
[ぱしゃっ…ぱしゃー…ん…(かけ湯)]
あら…ようやくお目覚め?
おはようございます…
[ぱしゃー…(かけ湯)]
ここ? ここはお風呂。温泉宿です。
こんなに広い浴場だけど、貴方と私の二人だけ…
[がたたっ!(イス揺れる)]
あら、どちらへ? 別に間違ってませんよ。女湯でもないし…
他には誰も居ないからゆっくりしていきなさいな。私が背中を流してあげますから。ね?
はい、座って座って…
[ぺたっ(座る)]
[ごしゅごしゅごしゅ…(垢すり)]
ここはただのお風呂じゃありません。
今、現世で深い眠りに就いている貴方の心の奥底にある空間。
いつもの夜なら、まず訪れる事は無いでしょうけど…
身も心も疲れ果て、どうしようもなくなった時に自ずと誘われる癒しの隠し湯…
そう、夢。
現実味があり過ぎて、にわかには信じられないかも知れないけど…
でも夢と思わなきゃ、説明がつかない状況でしょ?
見知らぬ裸の女が背中を流し始めるなんて…ねえ?
ふふ、緊張してます? 体、硬くして…
自宅のお風呂だと思って楽にして結構ですよ。ここは貴方の夢の中なんだから…
むしろ私の方がお邪魔してる様なもの。何を遠慮する必要がありますか。
私? 私は湊(みなと)と言います。
貴方がこのお風呂で疲れを取るために、お手伝いをする役目を命じられました。
誰にって…ご自分の胸に聞いてご覧なさいな。ふふ…
[ごしゅごしゅ…(垢すり)]
それにしても広い背中。
ほら。ボロボロと皮が剥ける様に垢が落ちていく…
あら、謝る事はないですよ。これは現実世界では目に見えなかった心の内の汚れ。
それが夢の中で形となって浮き上がった物。向こうでは落とせるはずも無い…
おまけに、ほら…かすり傷も多い。向こうでは気づかなかった?
石鹸、染みないかしら?
平気? ふふ…強い強い。
今夜はここで垢も傷もしっかり落としていきましょうね。
じゃあ、次は前の方も…あん、そんな必死で隠さなくても良いのに…
[ごしゅごしゅごしゅ…(垢すり)]
ほら、もっと背筋を伸ばして胸を張りなさいな。
前かがみだと洗いにくい…
ん? 当たってる? 私の胸…
だって、この大きさだと避け様がないもの。
特に意識せずとも、近づけば勝手に触れちゃう…ぴとっ。ぬっふ♪
せっかくだから、この胸も使って洗いましょうか。
こう…ぴったり密着させて、上下に撫でる様に…
んっ…ふは…くっ…ん…
あふっ、先端が擦れて…変な気持ち。
そっちも感じてるかしら? 硬く尖った二つの膨らみ。うっく…んっ、ん…
貴方がここへ足を踏み入れたという事は、よほど疲労が溜まってる証…んっ…
こんなに立派な体でも、浮世を渡り歩くのはさぞ骨が折れる事でしょう?
顔も随分とやつれてる。齢以上に老けて見えてるかも。本当は若いんでしょうに…んく、ふは…
はい、反対側も…
ふふ、相変わらず守りが堅い。でも、先っぽがはみ出てますよ?
そこまで膨らむと流石に隠し切れない。んっ…くふ…
いえ、気にしないで。そのまま上を向いてなさいな。
ん…ふは…んく…
肌を擦り合わせた所で大して垢は落ちないと思うでしょう?
でも、ここで洗い流すのは精神的な疲れや傷みも含むから…くふ…
心を刺激する様なマッサージも効果的。感じるまま、素直な態度で臨んで?
その方が…んっ…私もお務めしやすいですから…やはっ!
ふぅ…全身泡まみれ。もう、これくらいで良いかしら。
じゃ、お湯で流すわねー…
[ぱしゃっ…ぱしゃーん…(かけ湯)]
あら~…玉の様なお肌。ほら、つるんつるん!
傷も少し薄くなってる。丹念に垢をすった甲斐があったわね。んふふ…
でも、顔の方は…まだ疲れが取れてない様子。
中には沢山溜まってるんでしょうね。
世間の荒波に晒されて受けた心の傷…肌を拭うだけでは落とせない多くの物が…
忙しい日々の中、あちらでは束の間の休息を取る事すら容易では無いかも知れない。
でも、ここなら誰にも邪魔されないから…
今は帆を下ろしてゆっくり休み、心の洗濯をしていきましょう。
そのためなら、私がどんな手助けでもするから…ね?
ふふっ、ようやく肩の力が抜けてきたわね。
そうそう、楽~にして…
では改めまして…
今宵は私、湊が湯浴みのお手伝いをさせて頂きます。
どうぞ、よろしくお願い致します…んふふ♪
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