【癒しの添い寝:女将と娘】
(虫の声:BGM)
(コンコン)
夜分に大変失礼致します。
(扉音)
夜も更けましてそろそろご就寝の頃や思いますけども、
山百合の間にのみ付帯のサービスのため、ふたたび参りました。
此度のサービスは、添い寝、どす。
湯女と同じく、山百合の間のお客様のみの限定サービスどすが、
添い寝は、お一人でご利用のお客様にのみに提供させていただく、特別のサービスにさせていただいてます。
(むつみ)お客様、こんばんは。もみじ舟では大変お世話になりました。むつみです♪
添い寝のサービスは、湯女とおなじう、私、女将一人で行うもんなんどすが、女将見習いのこの子が、どうしても、いうもんで…。
後学のためにと連れて来たんどすが、添い寝は…二人でも構いませんやろか?
よろしおすか?
おおきにありがとうございます。
(むつみ)ありがとうございます♪
ほな、むつみさん、先にお布団を温めとおくれやす。
(むつみ)へぇ。わかりました。
お客様のお優しいお気遣い、ほんまに心より感謝どす。
あの子にとって、良い経験になるぅ、思います。
その肝心の添い寝なんどすけど、
お客様に真ん中に寝ていただいて、その両脇に私共が失礼して川の字スタイルにさせていただきたい、思うのですけど、よろしおすやろか?
それにしましても、本日はお疲れにならはったん違いますか。
百合野はいかがでしたやろう。
むつみが船頭のもみじ舟はご満足いただけましたやろか?
ウチに内緒でなんやら、独自のお癒やしをしているような話を小耳に挟んだんどすが…。
特に問題なく?
紅葉を堪能していただけました?
(心底ほっとして)そうどすか…、そうやったら良かったんどすが。
まだまだ半人前やと思(おも)とりましたが、いつの間(まー)にか、成長しとるんでしょうか。
親としましては、嬉しい限りどすが。
ふふ。
これでは、親ばかですね。
申し訳ありまへん(笑)。
で、では、
そろそろ、温もうた頃合いですやろうし、ベッドに参りまひょう。
むつみさん、ご苦労様え。
(むつみ)いえ、お気遣いおおきにですっ。
お客様、どうぞ、むつみの左…、ベッドの真ん中で横になっておくれやす。
(衣擦れ音)
ウチは、お客様の右に…、
失礼致します…。
(衣擦れ音)
あぁ…。
これは…。
ええ感じにぬくとなって、えらいよろしおすなぁ。
(むつみ)女将さんの言わはった通り、一生懸命、ぬくとぉしときました♪
ふふ。
人肌の温(ぬく)み程、ええもんはありまへん。
せやけど、これは、ほんまに…心地ええ。
いかがどすやろ…お客様。
(むつみ)ママ…。
今は女将ですやろ、むつみ。
(むつみ)申し訳ありまへん。けど、お客様の体も、ぬくとぉて…とってもええ感じなんです…♪
…っ?
ほんに…。
まぁ…。
…。
けど…少ぉし待とくれやす、
それ以上に…、なんて言うたらええんでしょう…。
お客様には…、
まるで…抱き枕のような?
そんな…安心感を感じますねぇ…。
(むつみ)あぁ! ほんまや…。
思わず、密着したなるような…。
(むつみ)なんともいえず…ギュってしとなる…。
不思議な魅力…。
これほど自然に安心感を得られるお方やなんて…めったにお目にかかれしまへん…。
(むつみ)ほんまに…♪
人は抱きつきながら眠ると、安心感を得られる、いいますけど…、
ほんまに…、その通りどすなぁ。
ギュッと抱きしめさせてもろとると…、心地ええ。
(むつみ)ママのお腹の中にいた時みたいな…安心感…。
ギュッと抱きしめるほど…心地良うなる。
(むつみ)守られとるような…安心感…。
グッと染み入る…心地良さどす。
(むつみ)無意識の…安心感…。
病みつきになってしまいますなぁ…。
(むつみ)ふあぁ(あくび)…。
圧倒的…安心感…。
(むつみ)なんや…まぶたが…重うなって…。
抱き枕でもあり、子守唄のような…存在。
(むつみ)もぉ……あかん。
まどろみの…存在。
(むつみ)ようおやすみ…やす…お客…様。
まどろむ…。
(むつみ)すぅ。はぁ。(以下寝息)
幸せ…。
意識が…。
とろける…。
とける…。
いしきが。
いしき。
いし。
い。
ぃ。
…。
……。
すぅ。はぁ。(以下寝息)
(寝息リピート:10分)
(寝言)
(むつみ)ぉ客様…、百合野に…お越しいただきまして…ほんまに…おおきに…ありがとう…ござい…ました…。
またの…お越しを…心より…心より…お待ち申し上げ…とります…。
(むつみ)ちゅ。
チュ。