2.知らない街
あ、起きた
つかれて寝ちゃったんだね
急に連れ出しちゃったからね
でもいいタイミングで起きたね
見てて
さっきからね
ちょっとだけ海が見えるの
あ
ほらっ
見えた?
ふふふ
海なんて見るの
ひさしぶり
いいよね
海
ん?
海
嫌い?
んー
私は
君と海が見られるの
うれしいよ
んふふ
そろそろ降りる駅かな
なんて名前の駅だったっけ?
まあいいか
好きなところで降りれば
どうせ目的地があるわけでもないんだからさ
ん?こんなところまできて何するかって
んー
なんだろね笑
だって私
この町のこと全然知らないもん
私がこの町を選んだのは
この町に君の知り合いがだーれもいないから
それだけの理由
んふふ
着いたら泊まる場所とか探さないとね
わー
私民宿なんて泊まるのはじめて
民宿ってこんな感じなんだねー
畳にお布団、最高だー
おっと
あんまり大きい声出すと
またあのおばさんに怒られちゃうね
君も夏の夜だからってはしゃいじゃだめだよ?
ん?
わかってるならよろしい
んふふ
どうしたの
かたくなって?
狭い部屋に
こーんなにかわいい女の子と二人っきりだから?
え?
本当に?
冗談だったんだけど……
んふふ
あっ
目そらさないのー
緊張してるの?
んふふ
そんなに固くならないで~
ふふ
こっちおいで?
はーやーくー
ふふふ
ぎゅー
んー?
いいじゃん、誰も見てないんだからー
ぎゅー
こうしてると
安心しない?
まだ君、ちょっと緊張してるでしょ
2人しかいないんだから、緊張しないでよ~
あれ
それとも
膝枕とかのほうがよかったかな?
あー
今ちらっと脚みたでしょー
好きなの?脚
ふふ
しょうがないなー
ほら
横になって
そうそう
頭は
こーこ
んふふ
いつもおつかれさま
よしよし
こうやってされるの、ひさしぶり?
えー?されたことないのー?
そっかー
いっぱいよしよししてあげるね
よしよし
いいこいいこ
君はがんばりやさんの
いいこだよ
一人でがんばってきたんだよね
自分のことをわかってくれる人なんて
なかなかいないもんね
よしよし
いいんだよ
つらいことも
いやなことも
なーんにも考えなくていいの
なーんにも考えずに
撫でられてればいいんだよ
君がつらくなったら
私が絶対に味方してあげる
君がどんなになったって
私は最後まで、君の味方だよ
んふふ
だからね
今は私がしゃべってることを聞きながら
ゆーったり、してればいいの
私はね
君がつらい顔してたり
大変だったりするの
やだなーと思うよ
もちろん
何かにむかってがんばれることって
素敵だと思うし
すごいことだと思うけど
たまには休んだっていいんだよ
だって
ずっとがんばってたらさ
疲れちゃうでしょ
だから今日は休憩
ね?
こうやって
ゆーったりすごそ?
ここには私と君しかいないんだから
もっと君が楽になってくれたらうれしいし
甘えたかったら、甘えたっていいんだよ?
ん?
ふふふ
よしよし
このまま目をつぶって
休んじゃおっか
瞼をとじてー?
ゆーっくり
深呼吸しよ?
すってー
はいてー
すってー
はいてー
すー
はー
すー
はー
楽な呼吸を続けてー
嫌なことは吐き出してー
気持ちいい空気を吸い込もう?
息を吐くと
体の中の、疲れた気持ちが外に出ていく
息を吸うと
体の中に、元気な気持ちが入ってくる
大丈夫
私がずっとそばにいるよ
さみしくないからね
よしよし
君はとってもえらい子だね
大好きだよ
ちゅっ
ん?
ふふふ
ちゅっ
いつもがんばってるから
ご褒美
ちゅっ
私は君のことがだーい好きだから
ご褒美、だよ
ちゅっ
ちゅっ
ちゅっ
ふふふ
少し楽な気持ちになってきたみたい
ちょっとだけお顔も緩んでるね
今日はこのまま寝ちゃう?
いっぱい移動したしね
それもいいかも
それとも
何かしたいことがある?
んふふ
ぎゅーってしてほしいとか?
それとももっとよしよししてほしい?
しょうがないなー
よしよし
よしよしよし
ふふふ
じゃあ私も
隣に寝て
よいしょ、っと
ぎゅーっ
君の体
あったかくて気持ちいいね
私の体はどうかな?
やわらかい?
気持ちいい?
ふふふ
ぎゅーっ
気持ちいいね
これ、幸せかも
ぎゅー
しばらくこうやって
ぎゅーってしてようね