Track 1

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1.プロローグ 出会い

(ちゅんちゅんちゅん、鳥の声) (さわさわさわ、木の葉が揺れる音) あら…こんな森の中に誰か…? ええ、だ…大丈夫ですか? こんなところで、人が倒れているなんて… あなた、ねぇ、大丈夫ですか? ああ、息はしているみたい うん、眠っているだけね よかったぁ もしかして…人間の子かしら えぇと…どうしましょう とりあえず、起こさないといけないかな ねぇ、起きてください おはようございますー 起きてー おはよー ちゅんちゅんちゅん、朝ですよー あ…ふふ、目が覚めましたか? よかったです あ、だめ、まだそのまま横になっていてください 急に起き上がると、危ないですから 大丈夫ですよ、ここは森の中だけど、安全な場所です 誰もあなたに危害を加えることはありません ゆっくりでいいので、今の状況がわかるようにお話しましょうね その前に…もしかして、あなたは人間ですか? ふふ、当たり前じゃないかって顔をしてますね びっくりしないでくださいね 実は、ここは人間の世界ではありません そして、私はエルフ ここは、エルフたちが生きる世界なのです といっても、エルフだけが生きているわけではないのですが… そこはそのうち説明しましょうね たまに、いるのですよ あなたみたいに、こちらの世界に紛れ込んでくる人間が といっても、かなり久しぶりですが… どういう訳か、こちらの世界とあちらの世界が繋がってしまう時があるようなんです 新しい人間を見たのは、150年ぶりくらいかしら ふふふ、信じられないという顔をしていますね でも、あなたの耳と私の耳の形、少し違うでしょう? それに私の着ているこの服だって、あの木になっている実だって、あなたは元の世界で見たことがないものなはず でも大丈夫です、ゆっくり慣れていけばいいんですから 大丈夫 大丈夫ですよ 安心してくださいね え、元の世界に戻れるかって? うーん… こちらに来られたのだから、また世界が繋がる瞬間に居合わせれば、可能性はあるかもしれませんが 1週間後か、1年後か、もしかすると100年後かも ああ、そんなに悲しい顔をしないでください 大丈夫ですよ、いつかきっと戻れますから ね? ごめんなさい、ひどいことを言ってしまって …ね、悲しそうな顔をさせてしまったお詫びに、元の世界に戻れる日まではうちで暮らしませんか? こちらの世界のことも知らないし、行くあてもないでしょう? 大丈夫ですよ、急なことだし、最初はなかなか気を許せないかもしれないけど… ゆっくりこの世界に慣れられるように、いろいろ教えて差し上げますから ね? …ふふふ、よかった じゃあ、少し休んで歩けるようになったら、私のおうちに一緒に帰りましょうね 自己紹介が遅れたけど、私の名前はクロエ これからよろしくお願いします 久しぶりのお客様だわ、ふふふ たくさんたくさん、おもてなししてあげなきゃ ふふふふふっ

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