Track 1

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1.初めまして、お兄さん。

君は普段、その口から紡ぐ言葉にどれだけの重みや、意味を感じてる?何気なく放った一言が、人生さえ変えてしまった。そんな経験あるかな?言葉っていうのは、皆が考えるよりずっと強くて、深くて、怖いものなんだ。喜怒哀楽、何を思うのも君の自由。だって思考は、君にしか分からない。でも、それを言葉にした瞬間、思いは形を持ってしまう。形を持った言葉は、ひとを救ったり傷つけたり。影響力はすごいものだよ。そんな事、考えてみれば当然だし、日常的に意識する事はないと思うけど。もしも、だよ?......イヤらしい言葉、たっくさん投げかけた相手がさ?それを全て心地よく受け入れたら......とっても気持ち良いんじゃないかな......。クスクスッ......♪いきなり妙な話をされて、びっくりした?初めまして、お兄さん。それともおじさん......?ふふ。攻めるは言葉。守るは身体。ようこそようこそ、言霊の部屋へ。ん?ああ。うん。部屋が真っ暗なのは、ええとね、ちょっとした趣向です。ここは待合室なの。だ、か、ら、ちょこっと説明するね?あ、唐突だけど、その前に裸になってくれるかな。......、言ったよね?裸になって?でないと始まらないから。ほら、脱いでる間に要点だけ話すからさ、頭に刻み込んでくれる?と言っても、そんな難しくないからね。まずね、お兄さん。君は、ただただ僕の言葉に耳傾けて、力、抜いて。ふわふわ空っぽになってしまうくらいに。ああでも、利き手だけは力残してて。でないとほら、......ね?ふふっ。さて、これ言っとかなきゃな。絶対守ってほしい約束事があるんだ。お触り厳禁。守らなかったら、即退室。お兄さんはそんなひとじゃないと良いなぁ。ふふっ。......あのさ、言霊って知ってる?言葉には、不思議な力が宿ってるっていう思想の事だよ。良い言葉は良い風向き。悪い言葉は不運を招く。今から僕は、お兄さんにね、言霊をたくさん投げかけるよ。空っぽになったお兄さんの中身は、僕の言霊で補うってわけ。徐々に徐々に、じんわりじんわり、水がしみ込んでいくように、僕のそれは、お兄さんを満たしていって、段々気持ち良くなっていくんだ。......あ、信じてないな?でもさお兄さん。例えばさ、僕がさ、スキスキスキスキ♪だぁい好き♪なんて囁いたら、僕がお兄さんの事、好きなんだって思っちゃいません?ンぅぁッ......お兄さん見てたら、たまらなくなってきちゃった......。お兄さんと......すっごい事したいよ......。激しくて、切ない事。なんて言われたら、身体のどこかが熱くなっちゃわない?言霊って、そういう事。思ってたより簡単でしょ?ほら見て、さっそく出てきたよ。このピンク色の人魂みたいなのが、僕の言霊。この色は、淫猥の色。僕のイヤらしい気持ち、言葉、感情の結晶だよ。これがたくさん出てきたら、僕はもう、えっちな気持ちで一杯なの。うふ♪......昂っちゃうとね、この子たち......勝手に喋り出したりするから。さて、これからそんなひとときを、お兄さんと僕、二人で過ごすんだけど。お兄さんは、自分の好きなように、好きにしていいからね。これ大事。僕はただひたすら、言霊を投げかけるだけ。本当にそれだけ。我慢なんてしなくていいよ。タイミングとか、気分とか、ひとそれぞれだもん。途中で飽きたら退室したっていい。そしたら僕ね、またここでお兄さんの事、ずうっと待ってるから。だから、気遣わなくていいよ?僕にとっては、それが幸せ。嬉しい事だもん。あぇ?ああそうそう、名乗るのを忘れてたね。僕はフエフキ。フエフキ。コトダマじゃねーのかよって思った?あはは。覚えなくてもいいけど、僕、自分の名前嫌いじゃないから、気持ち良くなったら、たまらなくなったら、呼んでくれてもいいよ?フエフキちゃん、フエフキちゃんって......うふふふふ♪......有意義な時間を約束するから、......僕の言霊、受け入れてくださいな♪ よし。それじゃあ、最後の説明するね。この先には扉が三つ。中に入れば、もっとたくさんの言霊が満たしてくれるよ。扉の内訳は、やさしい言霊、ながめる言霊、とろける言霊......、選択肢だよ。どれを選ぶのも自由だからね?自分のさ、......好きぃってなるところを選んで、入ってね。その先の事は、中にいる僕に聞いて?お兄さんがどれを選んでも、僕は、いるから。だって僕、君が何を欲してるのか分かってるもん......♪クスッ♪

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