Track 7

Back

7.(朗読)月光もしくは星空/後ろ風と花/夏空Fragment/index

......ふう、今日はそろそろおやすみしよっか。ん......?どうしたの?......眠くないの?あ、ちょうどいいや。電話越しに朗読してあげよっか♪ええと......、うん、これがいいかな。......横になって?楽な姿勢で、いつも寝るときみたいにね。じゃあ、読むね。おほん......。「月光もしくは星空」夜にも飽き出す頃合いに。僕の歩みは早くなる。厚手のコート、厚手のブーツ。手招きやまぬ窓を閉め。友を呼ぼうかひとりで行くか。そんな迷いを、コーヒーと共に飲み干した。ここで新しい迷い。あてもない、さてさてどこへ行こうかな。夜と昼とで、行き先は変わる。雑木林の暗闇は怖い。大通りの喧騒は怖い。となれば、暗闇の大通り。僕の歩みは早くなる。音無し道路に差し掛かる。ふと立ち止まり鑑みる。行けども行けども場末のようだ。さまようたぬきに、眠らぬタクシー。やたらと明るいコンビニエンス。 こんな当然の光景に、僕は胸が躍るような、それとも感傷だろうか。言葉に出来ない心持ち。それをぶら下げ、夜の街に直線を描く。赤ら顔のサラリーマンとすれ違い、僕みたいだ、と自嘲する。お酒に頼る酔っぱらい。下戸の僕は、僕自身に酔っぱらう。それが醒めるのに必要なのは、あと何年と何か月?目的地は待ってはくれず、さながら急行列車の足は、早くも既に終着駅。歩道橋にてため息ひとつ。夜風寒風を身に受けて立つ。空を仰げば、ただ曇り。大通りには僕ひとり。望んだものは月明かり――月光もしくは星空を、ただただ拝み待ちぼうけ。部屋からここまで一時間。帰路の道のりは三時間。友を連れてくればよかったと、一時間前の僕を睨んで。目覚める前にさようなら。僕はこれから眠ります。「後ろ風と花」雨風が頬を撫でるたび、夢の方がまだ優しくて。蝉時雨とよく似た、君の後ろ姿は、遠く届かない。解ってるよ。解ってたつもりでさ。君の事を。離れた手と手は、温もりだけ残して。足跡まみれの線路。君の隣を歩きたい。あすを語る背中、飽きたんだ。さみしくて、こぼれた雨も見えないよね。夢想、飾る想い、そう......見させて、横顔。歩き疲れ、雨上がれば、ふと立ち止まる。木々が揺れて、息をついた。色づく夏に。笑ってるよ。笑ってたはずなのに。君の笑顔。見ていたよ。その、花のようなはにかみ。無味乾燥な足音。君の隣を歩かせて。あすを目指す背中、届かせて。飽きるほど眺めた景色よ、過去になれ。理想、変わる想い、そこに咲いた朝顔。指先に触れ、おぼろげな足取り。躓いた心を、ああ、抱き留めた......奇跡。「夏空Fragment」太陽のしるべに夏空が輝く。何かが待ってる......行かなくちゃ。夏の足音も、夢心地の地図を描くキャンバスに、君がいた。「きっと、明日は晴れ」そっと呟く君。ずっと今を、過ごしたい。夏空に咲き散る群青の花火。流れてく景色、過去への窓に。懐かしい香りも今はまだ、影で。誤魔化す、いたずら笑顔。木陰のベンチに寄り添った僕らは。何かを待ってる。あてもなく。空っぽラムネに、誰もいない駅で、僕らが遊んだ夏がある。さっと舞う夏風、そっと僕らを揺らす。もっと......君と過ごせたら。夏の陽が静まり、空に星光る。忘れてた時が今、うごき出す。こじ開けた心は、今未来......続く。明日もあの場所へ行こう。切なさが僕たちに涙を流し始め、君と過ごした時さえも流れ。それでも僕らがいた。あの時、あの記憶のカケラを探し続けてる。夏空に咲き散る思い出の花火。流れてく景色、過去への窓に。君と僕、駆け出す。風を追い越して。流れてく景色、明日につながる。懐かしい香りも、今はもう消えて、 輝く。記憶のカケラ。「index」空、曇る昼下がり。冷めてた紅茶が揺れる。波にさらわれてしまう......怯えて手も出ずに。きっと、いつも変わらない。繰り返し、後ずさりで。そんな午後の足音を遮る音色は。黒い雲を照らす空色が、耳に広がる。勇気、元気をくれたから......一歩、踏み出そう。栞を綴じた本から零れた、文字の隙間に光るの。明日を探るインデックス。ねえ、君にも......聴かせたい。愛のストーリー。海も空も青いのは、君の眩しさだ。雨、濡れちゃった放課後。冷めてる首を隠す。君の温もりにばかり、頼りはしないから。少し強がる私は、背伸びした子どもみたい。昨日、夜更けの頃にね、髪型変えようとしてさ。些細な仕草でも気づいてくれるよね。心の奥までも見せたい気持ちは......。愛のコール鳴らすから、ちゃんと聴いてて?「大好き♪」さあ、栞を綴じた本から零れた、文字の隙間に光るの。明日を探るインデックス。ねえ、君にも聴かせたい。愛のストーリー。海も空も青いから、君を思い出す。ずっと大好き。いつもありがとう。愛の歌、今すぐ君に伝えたいよ。いつも、ありがとう♪明日も一緒に頑張ろうね。おやすみなさい......。(終

Back