Track 3

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んん~、お腹も心も満タン! いい天気だし! あんた、あんまり空とか見上げたりしないの? ほら、でっかい雲だーとか、綺麗な夕焼けだーとか。 そ、そっか…じゃあさ、じっくり空でも見てみない? その、ほら、よく晴れてるし、気持ちいいし…。 ん~、んん~、そ、その、私が、膝枕、してあげるから! 膝枕、膝枕なの! わ、私だって頑張って言ったんだから、その…拒否らないでよ…。 はぁ~~ふぅ~~ よ、よかった。 は、はい、じゃあ…どうぞ。 んっ、んんっ…これが、人の重さ、かぁ…んふぅ、髪の毛くすぐったい。 こぉら、頭ぐりぐりすんなっ、太ももくすぐったい! もぉ、すっぐチョーシのるんだからっ。 ん~、その、どうかな。 気持ちいい? んふ、よかった♪ その…耳かきと、順番が逆って感じだけど、い、いいよね? だって、ほら、耳かきっていえば膝枕でしょ? ちっさい時は、お母さんにそうしてもらったもん、私。 だから、その…耳かきの時は、ちょっと恥ずかしくって、無理だったけど…耳かきしてるうちに、あんたの近くで、その…いっぱい顔みれたら、ちょっと、こうするのもいいのかなぁって。 で、で、私の膝枕は、どうなのかな。 ん、よかったぁ…はぁ~ふぅ~♪ 安心したの! だって、その、ごつごつとか、ぶよぶよとか思われたら嫌でしょ。 そ、そんな事おもってないならいいの! こら、家の枕よりいいじゃない! ん、もぉ…そこから、空、見える? わた、私が見えるじゃない! 日陰が出来てるじゃない、何の日陰だ! まったく! んもぉ…ん~、でも何だろ…なんかヘンな感じ。 あんたの事、こうしてあげるの、嬉しいんだけど、胸の奥が、こちょこちょってする。 落ち着いてるのに落ち着かない…電車で居眠りして、起きたら一駅前、みたいな。 うーん…あ、そうそう、試験直前みたいな! あんた、イイコト言う! そっかぁ、そうだぁ…またすぐ試験期間来ちゃうよねぇ。 あんたと付きあいだして一ヶ月もあっという間って感じするけど、こうやって、するする~って時間って溶けていっちゃうのかな。 ほら、あれだよ、クリームソーダのアイスクリーム。 後で食べるか、先に食べるか、それとも混ぜちゃうか、ゆっくり迷うヒマがないやつ。 わかんない? な、なによ、私のたとえがわかりづらいとかっ! そりゃ、喫茶店の中だったら、クーラー効いてるし、溶けにくいかもだけどっ! もぉ、いいよ。 ん~ん、怒ってなぁい。 こうして、何にもないこと楽しんでるうちに、次々試験がやってきて、時間なんて過ぎていくのかなって、思っただけ。 あんたさ、理系とか文系とか、進学とか、どうするの? え、いや…そりゃどんな道に進んでも、一緒、だけど…一緒にいたいけど。 参考よ、参考! それに出来れば、その…進むなら同じ道のがいいし、あんたが興味あるもの、私も知りたいなって思っただけ。いろんな事が気になるの、あんたの事なら! うんうん、うん。(ゆっくり目に相づち) ん、そっか…んふふ、案外中身のないこたえ、あははは♪ んん~ん、幻滅したとかじゃないの。 だって、私だって、変わらないし。 まだまだ、私たち、そういうとこから、同じなんだなって思っただけ。 ちょっと、安心…あんたがずっとずっと先に行ってたらどうしよって、ちょっと焦ってたし。 うん…ちょっとずつ行こう。 こんな事いうと、おばあちゃんみたいだけど、私たち、まだまだこれからたくさん時間あるしね。 ゆっくり、ゆっくり…近付いてこうね。 ゆっくりゆっくり、このまま……あ、こら、でも寝ちゃって、よだれとかダメだからね! うん、ゆっくりゆったり…けど、予鈴が鳴るまでね。 スキからの時間、ゆっくりふたりで、歩いてこ♪ (了)

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