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んん~、お腹も心も満タン!
いい天気だし!
あんた、あんまり空とか見上げたりしないの?
ほら、でっかい雲だーとか、綺麗な夕焼けだーとか。
そ、そっか…じゃあさ、じっくり空でも見てみない?
その、ほら、よく晴れてるし、気持ちいいし…。
ん~、んん~、そ、その、私が、膝枕、してあげるから!
膝枕、膝枕なの!
わ、私だって頑張って言ったんだから、その…拒否らないでよ…。
はぁ~~ふぅ~~
よ、よかった。
は、はい、じゃあ…どうぞ。
んっ、んんっ…これが、人の重さ、かぁ…んふぅ、髪の毛くすぐったい。
こぉら、頭ぐりぐりすんなっ、太ももくすぐったい!
もぉ、すっぐチョーシのるんだからっ。
ん~、その、どうかな。
気持ちいい?
んふ、よかった♪
その…耳かきと、順番が逆って感じだけど、い、いいよね?
だって、ほら、耳かきっていえば膝枕でしょ?
ちっさい時は、お母さんにそうしてもらったもん、私。
だから、その…耳かきの時は、ちょっと恥ずかしくって、無理だったけど…耳かきしてるうちに、あんたの近くで、その…いっぱい顔みれたら、ちょっと、こうするのもいいのかなぁって。
で、で、私の膝枕は、どうなのかな。
ん、よかったぁ…はぁ~ふぅ~♪
安心したの!
だって、その、ごつごつとか、ぶよぶよとか思われたら嫌でしょ。
そ、そんな事おもってないならいいの!
こら、家の枕よりいいじゃない!
ん、もぉ…そこから、空、見える?
わた、私が見えるじゃない!
日陰が出来てるじゃない、何の日陰だ! まったく!
んもぉ…ん~、でも何だろ…なんかヘンな感じ。
あんたの事、こうしてあげるの、嬉しいんだけど、胸の奥が、こちょこちょってする。
落ち着いてるのに落ち着かない…電車で居眠りして、起きたら一駅前、みたいな。
うーん…あ、そうそう、試験直前みたいな!
あんた、イイコト言う!
そっかぁ、そうだぁ…またすぐ試験期間来ちゃうよねぇ。
あんたと付きあいだして一ヶ月もあっという間って感じするけど、こうやって、するする~って時間って溶けていっちゃうのかな。
ほら、あれだよ、クリームソーダのアイスクリーム。
後で食べるか、先に食べるか、それとも混ぜちゃうか、ゆっくり迷うヒマがないやつ。
わかんない?
な、なによ、私のたとえがわかりづらいとかっ!
そりゃ、喫茶店の中だったら、クーラー効いてるし、溶けにくいかもだけどっ!
もぉ、いいよ。
ん~ん、怒ってなぁい。
こうして、何にもないこと楽しんでるうちに、次々試験がやってきて、時間なんて過ぎていくのかなって、思っただけ。
あんたさ、理系とか文系とか、進学とか、どうするの?
え、いや…そりゃどんな道に進んでも、一緒、だけど…一緒にいたいけど。
参考よ、参考!
それに出来れば、その…進むなら同じ道のがいいし、あんたが興味あるもの、私も知りたいなって思っただけ。いろんな事が気になるの、あんたの事なら!
うんうん、うん。(ゆっくり目に相づち)
ん、そっか…んふふ、案外中身のないこたえ、あははは♪
んん~ん、幻滅したとかじゃないの。
だって、私だって、変わらないし。
まだまだ、私たち、そういうとこから、同じなんだなって思っただけ。
ちょっと、安心…あんたがずっとずっと先に行ってたらどうしよって、ちょっと焦ってたし。
うん…ちょっとずつ行こう。
こんな事いうと、おばあちゃんみたいだけど、私たち、まだまだこれからたくさん時間あるしね。
ゆっくり、ゆっくり…近付いてこうね。
ゆっくりゆっくり、このまま……あ、こら、でも寝ちゃって、よだれとかダメだからね!
うん、ゆっくりゆったり…けど、予鈴が鳴るまでね。
スキからの時間、ゆっくりふたりで、歩いてこ♪
(了)