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ご耳愛部2 …ようこそ、ご耳愛部へ。 そんなに驚かなくてもいいでしょ? 私は紬愛莉、このご耳愛部の部長よ。 ん? 何も幽霊を見た顔でとどまる事ないじゃない。 足だってあるし、夏の不可思議に迷い込んだわけじゃないわよ、ふふ。 ここはね、ちょっと心が疲れちゃったなぁって、下を向いてると、自然と道がつながるところ。 それが不可思議? まぁいいじゃない、まだ陽も残ってるし、鬼灯(ほおずき)のあかりが見せる怪談話じゃないんだから。 ん、ああ、この浴衣ね。 今日は学校が決めた「浴衣デイ」でしょ? なぁに、知らなかったって顔ね。 今日は私以外の生徒だって、幾人かは浴衣だったはずよ? ほら、それに気づかないくらい、君はうつむきがちなの。 まぁ…見上げれば日差しが強いもの、それもいいわ。 せっかく来たんだし、ほら、私の横に座って、窓の外でも見てみない? 夏の色が踊ってるわ。 ご耳愛部は、ただ、そういうものをたしなむ場所よ。 ここは、森が近いから、窓を開けてると涼やかな風が吹き込んで、存外(ぞんがい)涼しいの。 ソファじゃなく、ベッドだから、少しばかり心地は悪いかもしれないけど、我慢してちょうだい。 はぁ…ふぅ… こうして、何事もなく、ただ夏の声を聞いてるっていうのも、悪くはないでしょ? ふふ、そうだ。 せっかくだし、君、私のご耳愛うけてみない? 何をする…そうね…おいしい水を飲むみたいなものよ。 大丈夫、怖いこともないし、痛いことも…ないはずだし、君はここ、ベッドに寝てるだけでいいの。 ん、見返りか…そうね、何もない欲しくないっていうのは嘘だし、それじゃ君も納得しないって顔。 だから… 私、紬愛莉は、君の安らいだ表情を所望するわ。

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