プロローグ
こんばんは。
はい。アレットです。
今、お時間、大丈夫でしょうか?
……ありがとうございます。
お邪魔します……
ん……。
ちゅっ。ちゅ、ちゅう、ちゅ……。
ええ。私も。
あなたと会いたかったです。
ただ……
あいにくですが、今夜は、恋人同士の甘いひと時を過ごしに来たわけではありません。
あなたに二つほど、お話があります。
少し長くなるので、座ってお話ししても構いませんか?
ありがとうございます。
……ええ。お察しの通り。
あなたの恋人としてではなく……
〝聖処理シスター〟のアレットとしてのお話です。
結論から言いますと……
私と結婚していただきたいのです。
……はい。
驚くのも無理はありません。
これから理由を説明させていただきます。
実は、最近また、街にサキュバスが現れました。
それだけなら、ただ粛々と討伐を行うだけなのですが……どうも、サキュバスが現れるペースが早くなってきているようなのです。
サキュバスが生まれるプロセスはよく分かっていません。
が……大抵は、人間が集まる場所に出没します。〝夢魔〟という別名通り……男性の欲望を主食に生きているのですから。
教会としては、このまま街のサキュバスが増え続けることを危惧しています。
現れたことを即座に察知できればいいのですが……気づけなければ、サキュバスの犠牲になる男性が、静かに増え続けることになります。
それは、絶対に避けなければなりません。
サキュバスの恐ろしさは……あなたもよく理解しているでしょう?
そこで、あなたに協力をお願いしたいのです。
あなたは、今までにサキュバスの呪いを二度も受けて……二度も解呪に成功した存在です。
言い換えれば……サキュバスに惹かれやすい体質、ということでもあります。
最近、私と一緒に夜を過ごしているときに……
たまに、いやらしい夢を見る、と言っていましたね。
サキュバスの呪いにかかったときほどではないものの……
ほんのりと淫猥で、甘美で……引き込まれるような夢。
その夢のお話を、私が聞いた直後に……街でサキュバスが発見されました。
つまり、あなたは……呪いに関する耐性はあるものの、サキュバスに惹かれやすい体質だけは残っていて……
サキュバスの存在を、夢を見ることで感知しているのではないでしょうか?
もし、確実に感知ができるのであれば……これ以上ないほどに有力な情報です。
いることさえ分かれば、いくらでも対策をとることができるのですから。
はい。
教会は、あなたにサキュバスの感知を手伝って欲しい、と考えています。
具体的な方法として……
あなたにかけた、聖処理による加護の一部を、解いてしまいます。
サキュバスを、あえて寄せ付けるようにするのです。
ただ、そうしたところで、あなたの魂には耐性ができているでしょうから……新たに呪いを受けることはないかと思います。
代わりに、夢を見ることによる、〝サキュバスの気配〟を感知しやすくするのです。
そして、実際に夢を見たら……すぐにそのことを、教会にご連絡いただきます。
これが、教会からのお願いです。
ただ……
もちろん、万が一ということもあります。
耐性を無視するような、強大な力を持ったサキュバスが現れ……再び、あなたが呪いに囚われてしまう可能性も、ゼロではありません。
……個人的にも。そうなっては困ります。
そこで……
私と結婚をしていただきたいのです。
私たち、シスターが受ける、悪魔に対する加護を、あなたに施しながら……
私の聖処理シスターとしての魂を、あなたに混ぜ込むのです。
そうすれば……サキュバスへの感度を上げつつ、必ず呪いを防く体にすることができます。
聖処理シスターはサキュバスの天敵です。魂から聖処理の気配がすれば、サキュバスも手出しはできないでしょうから。
これを、教会では〝聖なる結婚〟……〝聖婚(せいこん)〟と呼んでいます。
聖婚には、聖処理と同じく、段階を踏む必要があります。
引き受けていただけた場合は、教会の近くに住居がありますので……
そこでしばらく、私とあなたで同居をします。
ええ。言わば、〝聖婚生活〟ですね。
聖婚のプロセスは、聖処理と似ています。
基本的には、毎日、体の繋がりによって、魂の絆を深めていくこととなります。
つまり、再び、事務的にえっちをすることにはなりますが……私たちはもう、気心の知れた恋人同士です。
いちゃらぶえっちになるように……私も努めます。
また、聖処理のときと違って、気晴らしに街に出たり、元の家に帰ったりすることも問題なく可能です。
無事に聖婚を終えた暁には……十分な謝礼が出されるそうです。
私たちのための新居も、教会が用意してくれる……と言っていました。
もちろん、聖婚の後……サキュバスの感知を手伝ってもらった場合にも、謝礼が出ます。
条件としては、そこまで悪くはないかと思いますが……いかがでしょうか。
…………。
……以上が、教会に勤める聖処理シスター、アレットとしてのお話です。
ところで、お話は二つある、と最初に言いましたね。
続いて……あなたの恋人としてのお話をさせてもらっても構いませんか?
ありがとうございます。
私と……
結婚して欲しいです。
あなたのことが大好きだから……
あなたのことを愛しているから。
あなたと聖婚をして、夫婦(めおと)になりたいです。
……この想いを先に言ってしまうと、愛情を人質にして、お願いを強いているようでしたので。
先に、シスターとしてのお話をしました。
でも、あなたと夫婦になりたい、というのは、嘘偽らざる本心です。
さらに言えば……これは、非常にいい機会である、とも考えています。
本来は、神にこの身を捧げた私が……
教会と神から祝福されながら……男性と結婚できるのですから。
あなたと子をなすことだって、できるのです。
……それに。
サキュバスという悪魔に、万が一にでも……あなたを盗られてしまう心配もなくなります。
私としては、ぜひ、あなたと聖婚をしたいのですが……
……いかがでしょうか?
…………。
ん……
んちゅ……んちゅ、ちゅっ、ちゅぅ、ちゅう……んちゅう、んちゅう……。
はぁ……。
……ありがとうございます。
では……
私と結婚を……
……聖婚を、しましょう。
あなたの都合さえよければ、明日にでも聖婚生活を始めようかと考えていますが……いかがでしょうか?
……分かりました。ありがとうございます。
あなたには、また面倒をおかけしてしまいますが……
素敵な聖婚生活になるように……私も、聖処理シスターとして、恋人として、努めさせていただきます。
愛情と、淫語をたっぷり込めた……
あまあまおまんこができるように、頑張ります。
あなたも……おちんぽミルク、たくさんぴゅっぴゅしてもらえると、嬉しいです。
では、私は一度教会に戻って、準備をしてきます。
また明日、お会いしましょう。