Track 10

トラック10:『朝焼け、睡眠、頭撫で』

;ボイス位置:5 【真夜】 「じゃあ、ぼちぼち寝るとしましょうか」 ;SE:ベンチに座る音 ;ボイス位置:9 【真夜】 「ほら、ボクの膝使って良いっすよ」 【真夜】 「ご心配なく、ボクはエナドリと缶コーヒーで目がギンギンに覚めているので、寝られないんすよ」 【真夜】 「客観的に見てアホかもしれません……でも、カフェインをキメている瞬間だけが、"生きてる"って感じられるので」 【真夜】 「だから、ボクの分も眠ってください。ボクは星空を見上げながらぼーっとしておきますから」 ;SE:頭を膝に乗せる音 ;ボイス位置:3 【真夜】 「お兄さん。ボクの膝、枕としてどうっすかね」 【真夜】 「一応体形にはそこそこ気をつかってるんすよ。深夜に散歩しておやつ食う事もそこそこありますからね」 【真夜】 「まあ腹筋が割れるほどは頑張ってないっすけど」 【真夜】 「そこそこの柔らかさであれば、まあ良いかなって思います」 【真夜】 「気に入ったら買い取っても良いっすよ。1日2000円で」 【真夜】 「いや……このまま8時間、膝の上で寝られる事を考えると……時給1000円に、深夜料金をプラスした方がいいかも……?」 【真夜】 「1250、かける8……10000円になりまーす!」 【真夜】 「あれ? もしかしてこの仕事って、一か月で30万稼げる……? 天才的な仕事では?」 【真夜】 「お兄さんの専属枕に就職しちゃうかぁ~」 【真夜】 「ああ、すみません、こんなに騒いでたら寝れないっすよね」 【真夜】 「冗談ですのでご心配なく。起きたら財布の中身が無いなんて事も無いっすよ」 【真夜】 「あれだったら、ガッコも住んでるとこも近所なんで、すぐに特定できちゃいますし?」 【真夜】 「というわけなので、背中はお任せください」 【真夜】 「子守歌は歌えませんけど、代わりにたわいのない話をして」 ;SE:頭を撫でる音 継続 【真夜】 「眠りにつくまで、頭を撫で続けてあげますから」 【真夜】 「ふぅーむ。さて、眠りのお供に、なんの話をいたしましょうか」 【真夜】 「お兄さん、今日はぐっすり眠れそうっすか?」 【真夜】 「本当は……お兄さんに声をかけるつもりは、あんまり無かったんすよ」 【真夜】 「でもなんか……いつも見かけるより少し暗かったので、気になって」 【真夜】 「何があったかは言わなくて大丈夫っす」 【真夜】 「生きていれば、辛い事の一つや二つあると思うんで」 【真夜】 「雨の無い人生なんて無いっすからね。ボクみたいなのはいつも曇り空をキープしてますけど」 【真夜】 「そりゃあね、個人差はどうしても出てきますよ。同じ人間はいませんから」 【真夜】 「この世界はやはり、どうしても理不尽であるって事を受け入れないと、生きていけないと思うんすよ」 【真夜】 「ボクはそんなに人生経験があるわけじゃないですけど、大人だろうと子供だろうと、理不尽が降りかかる事はある」 【真夜】 「かくいうボクも、子供なりに色々ありました」 【真夜】 「大人になったら忘れてしまうかもしれませんけどね」 【真夜】 「忘れられるのなら、まだ幸せなのかも」 【真夜】 「ささやかなきっかけや、ふとした拍子に、過去の理不尽がトラウマとして蘇る事もあるかもしれません」 【真夜】 「でも……こうして夜風に当たりながら、物思いにふけっている間は、そういういろんな事、全部忘れられるんです」 【真夜】 「お兄さんは、忘れる事が出来ましたか?」 【真夜】 「もしそうであるなら、幸いです」 【真夜】 「こうして知り合ったわけですし、また真夜中にお会いしたらお話でもしましょう」 【真夜】 「お望みなら、耳をかく事も、耳を吹く事も、耳をマッサージする事もしてあげますから」 【真夜】 「その際はもちろん、コンビニで駄菓子とか奢ってもらっちゃいますけどね」 ;ボイス位置:3 囁き 【真夜】 「期待、しててください」 【真夜】 「また会える日を心待ちにしていますよ」 【真夜】 「案外、すぐの事かもしれませんけど。それはそれで」 【真夜】 「ふふ……だんだん身体の力が抜けてきましたね」 【真夜】 「はい。おやすみなさい。夢でまた会いましょう」 【真夜】 「(三分ほど息遣い)」